感想かりかり。

内容を要約すると、「ぬるぬるい三角関係は好きですか?」
私は好きです。ぬるんるんの生ったかでまたっりでぐろぐろでどろどろでぎったぎったの殺しあ・・・、
三角関係が。
さておき。
一巻の時点でもう既に「いつもの」で済ますことが可能なくらいノリを確立していましたが、この巻から「多重独白」*1という今思いついた造語で表せられる技法に変化しています。 これがこの作品と妙に相性がよく、より「いつもの」ノリを際立たせることに成功しています。 やっぱり知らない第三者がみたらタッキーは「通報シマスタ」級なんだなとか。
しかし、ここまで何の気負いも持たずにほけーっとのめり読める本も珍しいな〜。 
すさまじくお手軽に読めるというのは長所にも短所にもなりえますが、この作品にとってはそれが大幅にプラスになってるという印象ですね。

内容を要約すると、「トントントトトン スタタタタ」
今のミステリー文庫作品とほぼ同様に、基本的に「ミステリー」な要素がうすい、というかあとがきがミステリーだそうです。 まあそうだな。 以下、作者が誰か分かっている調で書きます。
宅配便物というべきかいやしかし奇譚物ともいえるなぁ、と思いながら軽く読み返してみると、やっぱりこれは作者の十八番、少年成長物語。 どっちらかというと某八百万に近い感じですね。
結構きっちりとその過程が書かれていて非常によい出来です。
それはさておき。
この作品は作者の原点であるがゆえに、いつも以上に文字使い、文字数合わせに気を使っています。 それ以上にトリッキーなのが、読点の少なさ。*2
それがこの作品の流れの良さにつながって、面白さを引き出す要因となっている、かな?
しかし、これが何で封印扱いになったのか少し疑問。 良作なのに。
ちと、や×い要素というか児童虐待を連想しそうなのがやばかったのか? 3〜4年前と今とではやっぱりいろいろちがいのかしらん?
まあ事情はどうであれ、こうして出版の憂き目じゃない日の目を見ることになった事を素直に喜ぶとします。

*1:複数人の独白をつないでいく技法

*2:これは一応仕掛けの一部であることが最後のあたりで明らかになりますが。