半坪ビオトープの日記

須賀神社


鴨川市の中心地、駅のすぐ北東に須賀神社がある。主祭神として須佐之男命を祀り、罔象女神(ミズハノメノカミ) ・源義家を合祀している。

創始年代は不詳だが、社伝によれば天正年間(1573~93)の頃、京都より勧請したという。さらに明治14年に近くの水神社と白幡神社を合祀した。拝殿向拝の彫刻は、波の伊八三代武志伊八郎信美の作である。虹梁側面や木鼻の獅子鼻・象鼻、持送りなど彫刻が随所に施され、なおかつ唐様の屋根が前にせり出し蕪懸魚が付されているのも、一層重厚さを感じさせる向拝の構造である。

初代伊八に比べれば迫力がやや劣るとはいえ、二重虹梁の上の麒麟が雲の間を駆ける姿は、とても興味深い。三代伊八は文化13年(1816)生まれで、初代伊八が文政7年(1824)に没しているので、直接初代に伝授されてはいないと思われる。

拝殿の中を覗いてみると、幣殿には三方が設けられ、その奥には本殿が垣間見られた。

拝殿・幣殿に続く本殿は、流造にしては珍しく、屋根に千木と鰹木を乗せている。

随所に組物が駆使された、たいへん重厚な本殿である。

とりわけ、本殿切妻部分の構法、彫刻が複雑に施されていて興味深い。二重虹梁の手前に繋虹梁を設け、大瓶束には大きな笈形が付いている。特異なのは、その大瓶束に獅子鼻が二段付いて、大瓶束が見えなくなっていることである。さらに破風板の合掌部の拝み懸魚や両脇の降り懸魚の意匠も、一般的な蕪懸魚や猪目懸魚などではなく、雲を意匠化したような風変わりなものとなっているのがたいへん珍しい。

社殿の右脇に、力石と風変わりな鬼瓦が置かれていた。