五番街84丁のあれこれ

セントラルパーク

マンハッタンはほぼ碁盤の目のように道路が整備され、基本的に、東西の筋は南の1st St.から北に行くに従って、数字が増えていきます。南北の通りは東から1st Ave., 2nd Ave.と増えていくのです。今日は、滞在するハーレムの125th St.からミッドタウンの41st St.まで、バスに乗って出かけました。110thを越えると右手(西側)にセントラルパークの緑が目に飛び込んできます。その辺りから、左手には手入れされた美しい町並みが連なります。89th St.のグッゲンハイムは、93年の初N.Y.訪問時に偶然訪ね、Frank Lloyd Wrightの存在を知った、曰くの建物。このとおり改装中のため、大好きな外観が被われており、残念でした。

84th-80th St.のThe Metropolitan Museum of Artは、今日のメイン。一旦下車して歩き回ったことについては後述するとして、59th St.でセントラルパークが終了すると右手にかの有名なプラザホテル、これも改装中です。その向かいにはCBSのスタジオとその地下にあるApple NY2号店の話題のモニュメントが目立ちます。ちなみにここをセントラルパークの西端まで行くと、先月訪れたマンダリンホテルも入っているタイムワーナービルが熱いコロンバスサークル。

五番街に戻り、ティファニー、トランプタワーを通り過ぎ、50th St.には全米一という聖パトリック聖堂が。後ろの席でおじさま二人が「彼女がせっかく写真撮ってるのに、窓ガラスが汚れているよ」などと心配してくださっていましたが、まあ何とか綺麗に写っていますでしょう。目的の41st St.の西側には威容を誇るニューヨーク市立図書館。ライオンがトレードマークです。

そこに東に入るとちょっとした日本人街といいますか、おすし屋さんやレストランが。その中のこじんまりしたマーケットで、食料品を買い込んで帰途に着きました。帰りはMadison Ave.を北上します。この通りもなかなか栄えていました。Midtown, Upper East, East Harlemと進むにつれて、混雑していた車内にどんどんゆとりができていき、110th St.で私以外全員黒人になったのには、感慨深いものがありました。建物のメインテナンスもそれほどきちんとしておらず、従姉によると道路の舗装状況も違うのだとか。見事なほどの住み分けを肌で感じました。
バスの中の写真で、印象的な広告がありました。キャッチコピーは’Planning is Power’。大学の卒業式を迎えたらしい女性の写真の横に、”I plan to be a great mother some day. Until then, I’m using birth control.” と、妊娠調節に関するものでした。

 Metropolitan Museum of Art

目当ては、以前訪ねた1993年9月には閉鎖中で心残りだった日本美術コーナー。書院には狩野派(たぶん探幽)の三組の掛軸がかけられ、俵屋宗達尾形乾山酒井抱一はじめ琳派の作品が所狭しと飾られています。一点だけあったイサム・ノグチの作品も光っていたし、現代作家による茶道具の展示も少数ながら見ごたえがありました。作品札に表示されている<最近収蔵しました>という文字から、どんどん収蔵品を増やしている様子が窺えます。監視のおじさまによると三ヶ月に一度展示替えをするそうで、それだけの収蔵品があるということ、さすが全米一の美術館だけあるなあ、と感激でした。

American WingにFrank Lloyd Wrightコーナーがあったのも、思いがけない収穫。最近とみに気になる帝国ホテルの一部が展示されていました。ぼろぼろになってマヤの遺跡みたいです。奥は復元された部屋。中央に何も置かないインテリアの配置が、当時は新しかったとか。

昼食をとった開放的なAmerican Wing Cafeも素敵でした。隣接するCourt Yardから燦燦と陽が入り、窓は殆どがガラスで開放的な景色で、とても気持ちが良い空間。

その近くにあった甲冑コーナーでは、別々に展示されていたイタリアのライオン型と日本の巻貝型の冑にご注目ください。お国柄が一目瞭然でしょう。
 
一番人気だと思われたのは、印象派を含む近代のエリアでした。最近気になるのは、肌色の表現が何とも美しいルノアールの人物画。亡祖父宅を思い出す一品もあり嬉しかったです。先月シカゴで見たスーラの’A Sunday at La Grande Jatte’の十分の一ほどの習作にも出会いました。シカゴのは画中の人が私の1.5倍はあろうかという迫力だったのを考えると、段階を踏んで大作に取り組んだということがよく分かります。

非常に大きな美術館で、一日ではとてもまわることができませんでした。従姉によるとエジプトコーナーにはスフィンクスがいるそうですし、次の機会に期待です。入館料の20ドルは推奨料金で1ドルでも大丈夫らしいということもメモしておきます。