神奈川県・逗子の小坪漁港へ、地魚&まぐろを食べに

 前回行った「横浜市中央卸売市場 本場」で魚がおいしかったこともあり、
「今度は、獲れたての魚を食べたいよね!」ということになりました。
獲れたてといえば、漁港です。といっても近くに漁港なんて思いあたりません。我が家の窓からも海は見えますが、京浜東北線沿いの根岸湾にあるのは工業系の風景。漁港どころではありませんね。
すると夫が、「すごく小さいけどさ、逗子に漁港があるじゃん! えーと、確か小坪漁港だったかな。あそこへ行けば旨い魚が食べられるんじゃん」と言いました。
「あー、小坪ね。あったあった!! いいねぇ。超ローカル。行ってみようよ!」


というわけで、3連休の真ん中の日曜日に家族3人で神奈川県逗子市の小坪へ行ってきました〜。 
逗子市のホームページによれば、小坪漁港の歴史はたいへん古く、鎌倉時代からある逗子市唯一の漁港として、鎌倉(幕府)に魚介類を供給していたようです。
ということは、頼朝さんや政子さんもここで水揚げされた魚を食べていたんでしょうか? かなり歴史と由緒ある土地柄。1000年近くも昔から続く漁港だと思うと、海を眺めているだけでもありがたく思えてきます(笑)。


ところで、小坪漁港は南側は海に面し、残る三方は山に囲まれたような地形にあり、知っている人でなければたどり着けないような、まるで隠れ里みたいな港なんです。周りには、獲れたての地魚を売る鮮魚店や食堂が数軒あるくらい。ひなびた漁村といった趣で、すぐ近くにある逗子マリーナの瀟洒な雰囲気とはずいぶん異なります。あたかも、昭和へタイムスリップしたみたい。

小さな漁港です。



小坪港にほぼ隣接している逗子マリーナ。港との対比が面白い。


海鮮の食堂は数件が点在。ぐるっと一回りして、なるべくローカルな店をセレクト。地元の人とおぼしきお客さんでにぎわっている「ゆうき食堂」へ。刺し身を筆頭に、揚げ物や煮物、チャーハンなどバラエティ豊かな品揃えです。なかには、「豚ロース薄切りソースカツ丼支那そばセット」(1000円!)なんていうびっくりメニューまであります。地元らしきガテンなお兄さんが注文してました。
「さて、何食べる?」と娘の顔をのぞき込むと、
「え、まぐろでしょ、まぐろ!! まぐろじゃなきゃやだし」と娘。
「マグロって遠洋漁業だし…。遠い海の魚だし…」と私も遠い目。


テラス席(?)ともいえるテーブルが店の外にも。次回は、ぜひ支那そばに挑戦したいです!



小坪に来てまでまぐろと言う娘に苦笑しつつ、まぐろの刺し身にあじのフライつきというボリューム満点の定食を娘と私用に注文。
あじが好きな夫は、地あじの刺し身定食をチョイス。待つこと数分。トレーにのりきらないほどの皿がのった定食がやってきました。
「わ、すごい量! ご飯がてんこ盛り。2人で食べきれるかな?」と娘。
「まぐろが最後でちょっと少なめだから、かつおものせといたよ〜」と店員さん。
「わーん、うれしい」私。

あじフライと刺し身一点盛り定食(1100円)。 大ぶりのあじフライ2つと、こぼれんばかりのまぐろ&かつおの刺し身。やや小食な大人1名+小4女子は、これだけでお腹はぱんちくりんに。ごはんは、どれもデカ盛りです!



あじの刺し身定食  冷ややっこと温泉卵までついて、980円也。たっぷり添えられた白髪ねぎといっしょにいただきます。



 赤身のまぐろに加えて、かつおの刺し身がたっぷり7〜8切れ。おまけにのせておいたからね、という量ではありません。
立派な一品料理といえるボリュームです。しか〜も、かつおは、娘が刺し身の中では2番目に好きな魚。
いやがうえにもテンションは上がります。さっそく割り箸を握りしめ、今にも食べようとしています。
「ちょっ、ちょっと待ってよ。写真だけ撮らせてね…」と夫。
「早く、早く撮ってよ!」
空腹のせいもあり、少々殺気立つ娘です。
せまいテーブルの上でトレーの位置を変えながら、手際よく撮影は終了。その間、1〜2分です。そのわずかな時間も待てない! とばかりに、娘は夫をせかします。
「ママ、まぐろはね、わさびがついちゃっているところ以外は全部私が食べるんだから食べないでよ!」娘。
「はいはい、そんなことは分かっています。私はかつおあじのフライでじゅうぶんです(笑)」。
 しばし沈黙。黙々と箸を動かす娘と夫です。一息ついたところで、
「まぐろ、どう?」私。
「うん、おいしいよ。厚みがあって、水っぽさは全然ないね。むっちりしていて味が濃いかな」と娘。
まぐろは小坪の地のものではありませんが、やはりふだん食べているものとは違っておいしいようです。
皿からあふれんばかりに盛られたまぐろを、トレーに落とさないように慎重につまんではご飯といっしょに口に運びます。


結局娘は、ひたすらまぐろと白いご飯を食べて、ごちそうさま。結構好きなはずのかつおにも、副菜の温泉卵にも箸をつけませんでした。その理由を聞くと、
「だってさ、何よりまぐろをおいしく食べたかったから他のものは食べなかった」んだとか。まぐろとご飯を食べていたらお腹がいっぱいになってしまったようです。
 もちろん、小坪で獲れた地あじだって負けてはいません。地あじの刺し身定食を食べた夫によれば、
「身はプリッ。肉厚。丼飯をおかわりできそうなほど旨かった」そう。(さすがにアラフィフなんだし、そんなことはしませんが…ね。)


 帰りには「ゆうき食堂」からすぐ近くの鮮魚店へ。あじやいか、たこ、かんぱちなど小坪漁港で水揚げされた魚が並びます。
種類は少ないですが、磯の香りが漂う獲れたてのピチピチさんです。あれこれ買いたいところですが、クーラーボックスもないし、とりあえずあじを買うことに。
昼にあじを食べたから私はサザエにでもしたいところですが、
あじがいい!」という夫のリクエストであじをゲット。ちょい小ぶりのが4尾で、500円。3尾はたたきにして、1尾は娘のために塩焼きにしておいしくいただきました。
ごちそうさま〜。

海に面した鮮魚店「谷亀」。目立った看板も何もありませんが、次々に人がやってきては魚が売れていきます。地物がいい!



文・渡辺ゆき
写真・小林キユウ



【本日のメニュー】
あじの刺し身定食980円
あじフライと刺し身一点盛り定食1100円


【データ】
ゆうき食堂
住所:神奈川県逗子市小坪5-2-11
電話:0467-24-1682
http://tabelog.com/kanagawa/A1406/A140602/14002599/