代表監督を選ぶということ

病床のオシム監督について回復の兆しが見えると言う報道があり、少しほっとした気持ちになるのも束の間、どうも後任監督の人事がきな臭いことになっています。


岡田監督が誕生へ サッカー日本代表 スポナビ


現実的に考えて、岡田さんの名前は当然出てくるとは思っていました。過去にそこそこの実績がある監督で、代表監督経験もあり現在ドフリーの監督と言えば現状では岡田さんぐらいしかいない。岡田さんが就任するなら、今の代表クラスの選手たちならアジアに関しては現実的な戦いで切り抜けていくでしょう。でも、何か割り切れない。
週刊ポストなどにも記事があるようですが、協会(というよりも川淵氏か…)がオシム監督を解任したがることはありうることだと想像していたので、どうしても裏を考えてしまいます。
以下はまったくの私の推測ですが、まずはオジェック監督という観測気球を上げて「2回連続でJクラブからの監督強奪はまずいでしょう」という雰囲気を作り、なおかつ「監督交代もやむなし」と受け入れる土台を作ってから本命の岡田さんの名前を正式に出す。「オシムサッカーの継承」などというお題目を唱えながら、実際には自分たち(川淵氏か…)がコントロールしやすい体制を作る。


路線継承、素早い決断 岡田氏代表監督に 朝日新聞

日本協会が後任選びの条件として重視したのは「継続性」「カリスマ性」「経験」の3点だ。

小野委員長「岡田氏しかいなかった」 一問一答 サンスポ

−人選のポイントは。

 「土台をしっかり大切に、そこから積み上げていける人。しかも強烈な求心力、リーダーシップを持った人物であること。与えられた期間は短い。コミュニケーションの問題でチームがうまくつくれないことだけは避けたかった。何人か名前は出たが、第一には岡田さんしかいなかった」

ここで言う「コミニケーション」が「コントロール」にしか思えない。


世界的にも有名で人望があるオシム監督の選手起用について、川淵氏ごときが文句を言っても何の効果もないことは明白ですからねぇ。川淵氏にとっては、代表の人気が落ち集客人数が減り視聴率が下がるのは我慢できないことでしょうけれど、結局は自分が選んだジーコ監督時代に自分たちがまいた種である。そして、もっとさかのぼればJリーグ責任者時代に自分たちで作ったJリーグが日本に根付いた結果として当然のように代表中心からリーグ中心にサポーターの関心がシフトした結果だと思うので、代表チームの選手構成を代えたところで集客が戻るとは思えない。その辺りが見えないのか、許せないのか。自分がコントロールできる(と思っていた)ジーコ監督をがっちりと守ったようにはオシム監督を守らないであろうことは予想していたので、いつかこんな日が来るとは思っていたのですが、まさかこんな形とは、ね。


どうも監督選びについて、私は冷静には語れないので、こちらで…。
次期日本代表監督について 武藤文雄のサッカー講釈
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岡ちゃんは「日本サッカーの宝」  電気じかけの三日坊主

天皇杯 浦和 - 愛媛

テレビ埼玉で放送していたので、見てしまいました。
今日この試合が駒場スタジアムであることは知っていたのですが、「テレビ中継はないだろうな…」と思っていたら、さすがテレビ埼玉、きちんと放送してくれました。ただ、実況が浦和寄りなのは当然ですが聞き苦しかった。実況の方も解説の方も浦和の試合は多数見ているでしょうが、愛媛についてはきっとそんなに見ていないのでしょう。ほんの数日前に愛媛と対戦したヴェルディ好きとしては、「そんなに愛媛(=J2)を舐めてかかるとやられちゃうよ」と思いながら見ていましたが、本当にやられちゃいましたね。実況と解説の方はカップ戦の怖さで片付けようとしていましたが、J2は怖いですよ。


2年間J2を中心にサッカーを見てきましたが、J2というリーグは不思議なリーグで、チームの順位とチームの強弱(=試合の質)は必ずしも一致しない。予算がなくて選手事情が苦しいチームほど、実は良いサッカーをしています。組織だった守備、勤勉な中盤、実直なまでのサイドアタック、最後まで衰えない運動量と闘志。ただ、良いサッカーが必ずしも勝利=順位に結びつかないのは、予算があって前線に良い選手=決めてくれる選手を置けるかどうかというチーム事情だと思っています。今日の愛媛だって鳥栖だって草津だって湘南だってその他のチームだって、チームとしてはとても良いサッカーをしています。その中でチャンスを作って、それが決まれば勝利に結びつくけれど、いかんせん決まらなければ結果には結びつかずに惜しかった試合で終わってしまう。J2の順位を分けているのはサッカーの良し悪しではなく、そんな前線のディテールの違いだと感じています。予算の違いかもしれません。


そこで今日の愛媛ですが、「前線であれだけフリーにしてくれたら、そりゃ決めるよね…」という見事な2得点でした。25日にヴェルディを苦しめてくれた愛媛に対し浦和がどんな試合をするのかと見ていたのですが、見事にやられてしまいました。シーズン終盤で優勝争いをしていて少しでも選手を休ませつつ勝ち上がりたいという複雑な状況の浦和に対し、リーグ戦の順位も関係なくこの1戦に自分たちの存在意義を表したい愛媛。モチベーションの違いは明らかでしたが、個々の選手の技量の違いとモチベーションの違い、どちらが結果に多く影響を与えるのかは非常に興味深いところでした。結果はモチベーションでしたね。リーグ戦の優勝まであと一歩で、つい先日ACLの決勝を制しクラブワールドカップへの出場が決まっている浦和にとっては、天皇杯の存在意義を見つけることは難しかったのでしょう。


浦和はすぐに最終節の横浜FC戦を控えていますが、こちらも横浜FCには失うものは何もなく、その上意地を見せたいホーム最終戦ですから、浦和にとっては厳しい戦いになるのでしょうか。運命の12月1日まで、あと3日です。