大塚英志「世界まんが塾」

世界まんが塾

世界まんが塾

フランスやらシンガポールやら、世界各地で「日本式のまんが」の描き方を教えるワークショップを開催した記録。
絵の描き方やキャラの作り方ではない、ストーリーの作り方でもない、「まんがの描き方」を教えるとは何か。石森章太郎の「龍神沼」を文章のシナリオ形式に書き直したものを教材にして、参加者にそれを「まんが」にしてもらうのだ。完成原稿ではなく、人物背景を書き込んだ絵コンテを作らせて、それを添削指導するという形をとる。シナリオのどこからどこまでを1ページにおさめるか、コマを割ってアングルを決めて、見開きをどう構成するか。これをフランス人や中国人にやらせてみて、日本マンガの表現技法とか特質がいろいろと現れてくる。
映画がカットとカットをモンタージュでつないでいくように、コマとコマをつないでいくのが日本のまんがだ、ということなんだが、豊富な作例で解説されると、実際に読みやすかったり読みにくかったり、面白かったり分かりにくかったり、実感できて大変興味深い。同じセリフ、同じシーンでも解釈が違えば別の話になる、という実例もあるし、文化の違いや共通点が図らずも見えるのも面白い。
そういえば短い簡単なシナリオを課題として、コマ割りをしてみましょうというほったゆみ「はじマン」というのもあったな。シナリオをいかに絵コンテにするか、という「コマ割り」の面白さというのは、もっともっと語られていい。