つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

恐る恐る1年3カ月ぶりの中国訪問

 3月1日から5日まで中国を旅行していました。上海から長江上流の常州、さらに張家港という街を訪れ、当地のビジネスマンと話してきました。ビジネスの詳細はここでは触れませんが、いずれも中国側は商売熱心で、いろいろな案件が持ち込まれました。浅学菲才の小生が応じられるかどうか分かりませんが、精いっぱい応えたいと思っています。
 常州では、大規模開発された西太湖科技産業園区を見てきました。ここは、膨大な土地(最大90平方キロ)を4、5カ所に区分し、金融園区、諸学校を呼び込んだ学園区、IT関係企業を集中させた技術開発園区、世界の商品を陳列させるような自由貿易区園区を造っています。そのほか、高層の共同住宅も用意され、職住接近で生活できる。その規模の大きさに驚かされました。
 長江の沿岸都市である張家港市も街中が整然としており、広い通りと植樹帯が印象的。あたかも欧州を思わせるような錯覚にとらわれるほど、中国離れした美しい街でした。張家港は、大行政区で言えば、江蘇省の中の蘇州市に属します。市の中に市があるのは日本人には理解しがたいのですが、行政的には蘇州市張家港市となります。この張家港市は地方都市とはいえ、人口は120万人に達するそうです。
 ここでは、地元で名士のビジネスマン、富豪たちと会食する機会を持ちました。彼らと意見交換すると、いずれも強く主張するのは、日本の技術力や企業や工場内の管理能力の高さ、そしてすべてにおける人間への優しさ、安全への信頼性でした。何度も日本を旅行し、しっかり見るところは見ているのです。GDP規模を中国に抜かれたからと言って、日本も捨てたものではない。
 実は、今回の中国旅行は1年3カ月ぶり。本来なら、昨年もっと行っていたはずですが、なぜかためらっていました。それは、いささかの不安があったからです。現在、中国で日本人がスパイ容疑で5人拘束されています。中国アナリシスト仲間の小生の友人は「中国には当分行かん」と言っているし、先日の講演会で、中国政治が専門の大学教授が「学術交流する我々も中国訪問をためらっている」と吐露していました。
 小生はスパイ活動など一切していませんが、中国情勢についての分析を人に話したり、文章にまとめています。また、「こんなに脆い中国共産党」などといった題名の”反共産党的”な書も出版しています。中国では、情報を聞き出すという面で記者とスパイは紙一重。このため、小生も当局に狙われ、拘束されるのではないかと友人、内人が心配していました。結果として今回は杞憂となりましたが、今後もその心配は消えないでしょう。
 上海では、今回同行した上海人の友人の家族と食事を共にしたり、日系企業に勤める大学での教え子だった元留学生に誘われて浦東地区陸家嘴の超高層ビル、上海タワー(上海中心)に登ったりしたのも良い思い出となりました。600メートル以上という頂上部から見た市街地の景色がモヤに霞んでいたのは、残念でしたが、、。


 上の写真は、浦東地区陸家嘴に並んだ3棟の高層ビル群で、左から金茂大厦、金融中心(森ビル)、そしてそれよりずんと高い上海タワー。上海タワー頂上部から見下ろした浦東地区と市内西部の風景。