奈良国立博物館「平城京遷都1300年 大遣唐使展」
私自身、過去を振り返ると小さいとき、小学生のとき、中学生のとき、高校のときとそのつど訪れた記憶のある奈良公園ですが、博物館に行ったのは過去に一度だけ「正倉院展」を家族で見に行ったことがあるだけです。しかも、正直当時の記憶はあまり覚えていなくて、メインの正倉院展よりも、常設館でやっていたコレクション展のほうが記憶に残っている状態でした。当時の時でも「さすが国立の博物館のコレクションだなー」と印象深かったということを考えると、やはり仏教美術のレベルの高さが学生ながら感じたのかもしれません。
とまぁ、それ以来の訪問となった奈良国立博物館なんですが、実際に現地に行ってみて驚いたのは年配者が多いのは予想してたんですが、他にも学生の多いこと!さすが観光地だけあって修学旅行生が大勢博物館にも訪れていました。学生的には奈良公園の鹿の方が楽しいのかもしれませんが、授業の一環なんでしょうか?それとも自分たちで立てたプランに入っているのか?とにかく、遣唐使展に結構な人数がいてました。これは、神戸で見た「コロー 光と追憶の変奏曲」展でもあった光景で、正直、中学高校ではなかなか展示物からなにかを感じ取るというのは難しいんじゃないかと自分自身の過去を振り返って思ったりします。
前置きが長くなりましたが、今回の遣唐使展の私の感想を言いますと、「展示内容としては入館料の値段なりの価値が十分あるほど多数の重要文化財・国宝が展示されていたものの、私自身の知識不足からそのありがたみが半分ほどしかわからなかった」というのが正直なところです。実際、これほどの多数の国宝を見たのは「国宝 三井寺展」以来でしたし、中にはボストン美術館から27年ぶりに里帰りしたという巻物など興味深い展示も多数ありましたが、いかんせん、漢文の篆刻など、そのありがたみが私にはまだまだわからないものも多数展示されており、なかなか難しかったというのが実情です。あと、仏像も多数展示されていましたが、遣唐使の時代のものが中心ということもあり、まさに「仏」と言ったものが多く、どちらかと言えば「人間味」が出ているようなものが好きな私としてはこれまた難しかった面もあります。また、「おや!?」と気が付いたのは、大阪市立美術館所蔵の石仏の仏頭が数点展示されていたのですが、これは実は、昨年に「小野」展を見るために、大阪市立美術館に行った際に同時開催のコレクション展として1Fのワンフロア全てを使って展示されていた印象が強かったので、中国における制服民族や文化の違いによる仏像の顔の表情がこれほど変化するものなのか!という発見は、あの数点の展示ではなかなか難しいと思いました。もっとも、今回はあくまで「遣唐使」に関連しての展示なのでこれでOKなんだと思います。
展覧会以外で感じたこととしては、「奈良国立博物館」は大きいということです。今回特に新館、本館全てを使っての展示であったので、じっくり見るとすればゆうに3時間以上はかかると思います。私は、2時間程度かかりました。
最後に「で、結局、どうなんだ?」と聞かれるならば、興味がある人ならぜひとも行くべきで、私のような「メインじゃないけど・・・」みたいな人でも、これだけの多数の重要文化財・国宝を見る機会はそうそうないので一見の価値は十分にあると思います。
興福寺・北円堂
で、土産(以前に親戚の方からもらった、最中の「みむろ」という商品が非常に美味しかったので(笑))を買うために、JR奈良駅方面に歩いていると、気が付けば興福寺の境内に入っていました。で、看板には「通常非公開の北円堂を公開中」との表示がありました。で、これまた、偶然の機会なんで行ってみようということで、拝観してみました。まぁ、想像よりも小さなお堂で入る前は「これで拝観料¥300なのか???」と思ったんですが、中に入ってみると運慶の作とされる巨大な像が複数鎮座していました。正直、私は、先ほどまで見ていた「大遣唐使展」での仏像よりも明らかにこの写実的で動的な迫力を感じる鎌倉彫刻の像の方が「おぉ」という感覚を持ちました。なかなか、お堂の大きさだけでは判断できないもんだなーと感心しました(笑)。
国立国際美術館「ルノワール〜伝統と革新〜」
本日のメイン、「ルノワール」を見た感想を最初に言いますと「思っていたよりも、作品が多くまずまず良い内容だった」というように感じました。
具体的に上げていきますと・・・、これは私自身がルノワールのことを名前と「印象派」ということしか知らなかったのもあるんですが、元々、「食べていくため」と言う理由もあり最初は陶磁器の絵付け職人として働いてきたこと、また、最初期の画風はその後の印象派とは似つかないまさに「お手本」のような緻密な絵画であったという点、晩年には古典的な手法に回帰してゆくという流れなどなど、幅広い作品を見ることが出来ました。
しかし、私が見ていて感じたんですが、手法の変遷があるにせよ、人物が風景画ともに共通するものとして「動き」があるものが、どちらかといえば、古典的な緻密な描写よりもこちらに「グッ」と伝わって来るのが感じられました。ダンスをする男女や感受性が高い繊細な心の持ち主であろう友人の娘の肖像など、見るものにその雰囲気がバシバシと伝わってくるんですね(←もっとも、「古典的な緻密な描写」が合わないというのではなく、昨年のルーブル美術館展で見たような驚嘆のレベルの超緻密な静物画など、圧倒的な描写でこちらに「手を出せば手に取れるんではないか?!」というほどの「写真以上にリアル」なものもあるので、今回のルノワールに関しての私の感想としてはという意味になります)。しかも、興味深いのは、これら良いなーと感じた絵画に関しては大抵が海外の美術館所蔵作品であるという事実にも驚きました。まぁ、ルノワール自身が海外の人なんで当然と言えば当然ですが、展示内容を見ている限り日本国内でも相当数のルノワール作品を所有しているという事実を考えると私の個人的な今回の興味深い発見でした。
あと、このルノワールという人は、60歳にして第3子を授かったり(←奥さんは42歳の時だったようです)と、「なかなかやるなー」という驚きもありました。
しかし、晩年にはリウマチをわずらい手が不自由になり、手首に包帯を巻いてそこに筆を固定して絵画を描くと言うキャンバスのやわらかい絵からは想像できない苦しい晩年であったわけですが、それでも、描くことを止めずに常に変化を追及していた姿勢は、これまで見てきた様々な画家全てに共通するものであると改めて感じました。
今後の展覧会予定
私の今後の展覧会予定と、既に鑑賞済み展覧会の情報を更新しました。(今後の注目の展覧会の予定(4月30日更新))