のんびりNCロードスター日記

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「ヒョイヒョイ」「ヒタヒタ」

先日10/31の紅葉(もつ煮)ツーリングの記事にnoryさんからコメントいただきました。

同じ車で、殆ど仕様変更も無いのに・・何故『ヒタヒタ』と『ヒョイヒョイ』なんでしょうか?タイヤの違いだけなら17インチの方が後者であるはずなのでは?ばね下重量ですか?

 
 <ZD14-54 F2.8-3.5、1/60秒、F3.2、絞り優先、66mm相当、Capture One 4.8.3>

疑問に思われるのも御尤もなのですが、乗り比べると一瞬にして違いを感じることが出来ます。
その動きを表現するのに私が用いた言葉は以下の通りです。
 (a) 「ヒョイヒョイ」 : 身軽に物事を行うさま。
 (b) 「ヒタヒタ」: 密着するさま。ぴったりと。

よく自動車雑誌などでは、ロードスターの動きを「ヒラリ感」という言葉で表現していますね。これも「身軽に体をひるがえすさま。」を表しており、私が感じた「ヒョイヒョイ」はこれと同じような意味だと言えます。では、(a)と(b)のようなな違いを生んでいる原因は何なのでしょうか? 私には大した知識も経験もないので、コジツケ&当てずっぽうな点もあるかもしれませんがご了承ください。

noryさんが「17インチの方が後者(ヒョイヒョイ)であるはずなのでは?」と予想している根拠は、『扁平率が低い17インチ(215/45)=ハイトが低いタイヤの方がヨレが少ない⇒ステアリングレスポンスに優る』ということだと思います。確かにそういう傾向もあると思います。ここでは、各タイヤのサイズ表記に注目してみます。
 (A) YOKOHAMA ADVAN A11A : 205/50R16 87V
 (B) PIRELLI P-ZERO NERO : 215/45R17 91Y
まず、(B)はタイヤの幅が1cm大きいので接地面が大きくなり、特に発進時やパーキングスピードではより大きな操舵力が必要です。これが走り出しの第一印象に決定的な違いを与えていると思います。
また、サイズも然ることながら速度記号やロードインデックスが異なります。
速度記号 "Y" は何と300km/hまでOKなんですね。"V" だと240km/hまでです。ちなみにNCのRSグレードに標準装着されている17インチは "W" なので270km/hまでOKです。当たり前ながらロードスターの動力性能ならば、どれも十分な性能ですね。むしろ "Y" だと過剰な感じです。
ロードインデックス(LI)は "91" だと一輪あたり615kgまで耐えられますが、これも過剰だと思われます。"87" だと545kgまで。ちなみにRSグレードの17インチタイヤは "84" と16インチよりもLIが低いです。
上記のことから、(B)は「高い荷重(≒重量)を与えた場合に最大のグリップ力を発揮するタイヤ」であると考えられます。つまり、ロードスターの車重では荷重移動だけでグリップ力を発揮することが難しいと予想されます。この結果、操舵初期のレスポンスがダルになることに繋がっているような気がします。
しかしながら、ひとたび旋回し始めれば(スリップアングルが付き縦方向と横方向の摩擦力の合計値が上がるため)太めのサイズもあり高いグリップ力を発揮できることから、コーナリングが安定しているのではないでしょうか?
これらのことがhashi-tetsu号の「ヒタヒタ走る感じ」を生んでいるのだと思います。

そして忘れてならないのは、noryさんからもコメント頂いている『(ばね下)重量』でしょう。ただし、今回のツーリングでは比較的フラットな路面であったことと、それほど飛ばしていないこともあって、足のバタつきはあまり感じませんでした。hashi-tetsuさんによる計量では一輪あたり、(A)+純正16インチホイールが16kgであるのに対し、(B)+17インチホイールは17.2kgです。前後の車軸という、車両の重心から離れた位置にあるタイヤ+ホイールの重量が一輪あたり1.2kgも重くなることは、ヨー慣性モーメントの増大に繋がるでしょう。これも操舵初期のレスポンス、そしてグリップ力の限界を超えた際のコントロール性には結構影響するのではないかと思います。

以前、ロードスター専門誌の記事で、NC開発の副主査(現在は貴島主査の後任で主査になっているはず)の山本修弘氏も

「この車重で17インチのタイヤ性能を引き出すことやマッチング自体も相当に難しい」

といった旨の発言をされていたようです。開発時も17インチタイヤのマッチングに苦労しており、タイヤメーカに多くの注文を出し、相当数テストしたようです。ロードスターを知り尽くしたプロがそのようにおっしゃるのですから、私のような素人が17インチタイヤでマッチングを図ろうなんて無理な話。私が「履けるホイールが見つからない!」と嘆きつつも16インチに拘る理由の1つなのでした。

 
 <ZD14-54 F2.8-3.5、1/80秒、F7.1、絞り優先、54mm相当、Capture One 4.8.3>