「米兵が悪いのは当然として」「少女にも責任が」

http://www.asahi.com/national/update/0212/SEB200802120008.html
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/080212/plc0802122007008-n1.htm
http://koerarenaikabe.livedoor.biz/archives/51126750.html
このような事件で「被害者少女にも責任が」などと言ってしまうのはセカンドレイプも甚だしく鬼畜のなせる業である、ということは自明なので論証は不要と思っていたのですが、そのような前提は案外共有されていなかったようでびっくりです。
というか「米兵が悪いのは当然として」と留保しておけば少女をディスってもいいのだと考えている自称中立厨があまりにも多いので、なんとか分りやすくそのような議論には問題があると伝えられないかを頑張ってみました。
とりあえず、彼らの論法を整理してみました。

  • A→B
  • 夜8時に繁華街を歩いてました→米兵にレイプ→少女にも責任が

ロジックが分りにくいので、いくつか追加してみました。

  • A→B
  • 夜8時に繁華街を歩いてました→米兵にレイプ→少女にも責任が
  • 基地移転に反対しました→補助金カット→市長にも責任が
  • ホテルで集会を開きました→右翼が街宣して迷惑→日教組にも責任が
  • 白人に席を譲りませんでした→逮捕→ローザ・パークスにも責任が

やっぱりよく分かりません。確かにBは全てAを行ったことにより予想される事態ではあります。しかし、Aをしたことで彼らが被らなければいけない「責任」とははて、いったいどのようなものでしょう?
「責任がある」という言い方で彼らが言いたいのは、少女も「悪い」ということでしょう。もっと言えば、夜の街で遊んでて、声をかけた米兵についていったらいたらレイプされても仕方が無い。しかし、「仕方が無い」とはどういう意味でしょうか。当然「日本で地震が多いのは仕方が無い」の「仕方が無い」とは区別して考えなければいけません。なぜなら、地震は天災ですが米兵は意志をもった人間であるからです。とすれば、この場合の「仕方が無い」とは、お前にはレイプされるだけの理由があるんだぜ、レイプされても「仕方が無い」ことをしたんだぜ。という意味にしかなりえません。つまり、夜の街歩く→レイプには正当性が存在するということになってしまいます。もちろん同じ論法で行けば基地に反対→補助金カットにも正当性が存在するということになる。それ酷くね?まあ、おそらく彼らはそのようなことを語りたいわけでは無いでしょう。なにしろ、「米兵が悪いのは当然」なのであって、レイプにはもちろん正当性は無いはずなのです。
では、責任っていったい何さ?僕が思うに、それは社会に対しての「責任」では無いでしょうか。彼ら自称中立厨が好きな言葉の一つに「躾」があります。少女は躾が身についていなかったということで非難されているのです。では躾とはなんでしょう?たとえば犬が夜吠えないように躾をするといいます。でも犬にしてみれば別に夜吠えるのを止める理由は無いわけで、躾は犬が夜吠えるのは近所迷惑だからでするのです。つまり、躾とは対象を社会に対して従順なるために……と書くと、反発を食らうのは必至です。少なくとも少女に知らない人についていってはいけないと教えるのは少女のためになることでは無いかと。
なるほど。確かに知らない人についていったらこのようにレイプされる可能性は高いです。ついていかないのが賢明な判断というものですね。軽率にもついていった少女は賢明ではありませんでした。おお、確かに責任があるではありませんか。これは叩かなくてはいけません。もちろん、政府に逆らって基地移転に反対した岩国市長も、白人に席を譲らなかったローザ・パークスも賢明ではなかったので叩きましょう
…って書くと、本当にたたきかねない人たちだから頭が痛くなるわけですが。まあ何が言いたいかと言うと、白人に席を譲らなかったら逮捕されるのが理不尽なのと同様に、夜に街を遊んでいたらレイプされるのも理不尽なわけです。しかし、社会の理不尽さには文句を言ってはいけない決まりが日本社会にはあります。特にこの沖縄の件では、藪をつつくと沖縄にある米軍基地の比率は75%であるなどの理不尽さが出てきてしまうので、これはなんとしても「レイプ犯罪なんてなくなりようないんだから自衛するのが賢明でありゲンジツシュギテキであるのでそうしなかった被害者はバカ」という話に持ち込まなくてはいけません。そこで少女の「責任」という概念をでっちあげるのです。そして米兵は地位協定で安全なのは無視。被害者少女はセカンドレイプ
まったく、「加害者の人権ばかり保障されて被害者の権利がないがしろにされる」世の中であります。一般人の方はもっと怒ってよろしいのでは。