伏吟課杜伝格

六壬天地盤が伏吟のとき初伝が自刑の場合は、中伝に陽日は三課を、陰日は一課を取る。伏吟課は初伝が刑するものを中伝、中伝が刑するものを末伝と、刑によって伝を伝えて行くのが基本である。また明示されることはあまりないが、三伝全てが異なるように三伝を取るという裏の規則がある。そのため初伝が自刑の場合は、伝の流れが塞がってしまうことになる。杜伝格の名前はそこからきており、『杜』は奇門遁甲の杜門の『杜』と同じく『閉じる』の意味で使われている。

ふと思ったのは、八専日(五重日)の場合だった。一課と三課が同じなので、伏吟課杜伝格が発生した場合に中伝が取れなくなる可能性がある。そこで八専日全てを調べてみる。まず甲寅日。これは初伝に寅がたつので自刑ではない。丁未日、己未日は初伝が未で、これも自刑ではない。庚申日もまた申が初伝で自刑ではない。癸丑日は賊剋があって丑が初伝にたつけれども、丑は自刑ではない。このように八専日全てで伏吟課杜伝格は発生しなかった。

さて八専日で杜伝格が発生しない理由を少し考えてみると、十干の奇宮が自刑になる乙日と壬日には八専を構成しないから、ということになる。これは二十四山で十干の隣の十二支に寄宮させるが仲支は避けるという、寄宮の規則が上手く行っているということでもあるのだろう。

ハードとソフト

大石真行さんは、暦をハードウェア、その暦をベースとする占術をソフトウェアに例えて話すことがある。例えば最近の『節というもの』のエントリだ。

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暦法の数だけ暦があり、占術がある。暦法天文学の進歩や政治的な理由で変遷して行くが、それによって作成される暦に大まかな互換性があるところが厄介なところだ。恒気法二十四節気の節月と定気法二十四節気の節月は80%以上の互換性があるだろう。

暦のベースとなる天文データの作成者と占術家が分離しきってしまった現代では、この互換度で良しとする人が大多数を占めている。しかし状況はPCやその上で動くソフトウェアの進歩によって変わってきた。冬至の節入り日時がわかっていれば、恒気の二十四節気の節入り日時はExcelでだって作成することができる。

ただしExcelの日付関係の関数は閏日についてかなりいい加減で、私が今でも使っているExcel 2007は1900年1月1日から1日づつ足して行くと、存在しないはずの1900年2月29日が出てくるので御用心*1。以前、危うく間違った暦を納入するところだった。

*1:この現象は中村正三郎さんチクっておいたからこっそり直されているかもしれない。