3/1ヴァシュティ・バニヤン@リキッド・ルーム

ヴァシュティ・バニヤンのライヴへ行ってきました。2005年に35年ぶりとなる新作『ルックアフタリング』を発表したというだけでも驚きだったのに、まさか来日公演まで実現してしまうとは・・・。まさに奇跡の来日といえるわけですが、あまり大げさな表現はヴァシュティの形容にはふさわしくありません。アルバムで聴ける通りのインティメイトな歌声は、優しく会場を包み込んでいったのでした。


編成はヴァシュティに加え、ギターにGareth Dickson、ピアノ、アコーディオン、フルート、カリンバを担当したJo Mango の3人。満員となったリキッド・ルームにヴァシュティはやや照れくさそうな感じで登場してきました。
1曲目は「Hidden」。そして『ルックアフタリング』からの曲が数曲続きます。ヴァシュティの柔らかい声にあっという間に魅了されました。当初はやや緊張気味だったものの、ステージが進むにつれてアルバムと変わらない・・・いや、アルバムより声がしっかり出ていました。新作発表後ライヴを展開してきた成果でしょうか。声が出ている、といっても彼女特有の儚げな雰囲気、まるで隣で歌っているかのような親密感は薄れていないのですが。
中盤は長らく幻となっていた伝説の1st『ジャスト・アナザー・ダイヤモンド・デイ』からの曲が中心。私も含めて演奏中は静かに耳を澄まして歌に聴き入ります。この雰囲気、先日のカヒミ・カリィのライヴと似ているのですが、カヒミの場合は現代音楽的緊張感が終始張り詰めていて、曲が終わってもしばらく「拍手していいのかな?」といったためらいが客席にあったのに対し、この日の観客は曲が終わると熱い拍手と歓声をあげていたのでした。今のヴァシュティの音楽は(本人は意識していないと思いますが)エレクトロニカと通ずる雰囲気があるのですが、全体に流れる親密感、深い安らぎはヴァシュティにしかないものです。目の前で音楽が鳴っているのに、ここではない、不思議な懐かしさのある場所へ連れて行かれるような感覚に何度も襲われました。大げさな表現は似合わない、と書いているのになんですが、“音楽の魔法”とはこういうことをいうのでしょうね。


サポート・メンバーもそれぞれ1曲ソロを披露。主役の世界を壊さない穏やかな曲で好印象でした。なかでもカリンバ弾き語り(!)のJo Mangoは声も私好みですっかり気に入ってしまいましたよ。彼女のアルバムはいつか入手したいです。
夢心地のうちに本編は終了。アンコールは文字通り“アンコール”で、一度歌った曲を3曲再演奏しました。もちろん大歓迎に決まっています。歴史的一夜(また大げさな表現を・・・(^_^;))に立ち会えた喜びをかみしめつつ、最後となった「Here Before」に耳傾けていました。


終演後はRYOSEIさんとショック太郎(id:bluemarble)さんとで一杯。音楽談義に花を咲かせました。

<セット・リスト>

1. Hidden
2. Lately
3. Here Before
4. Just another Diamond Day
5. Winter Is Blue
6. Glow Worms
7. Jog along Bess
8. Two Trains(Gareth Dicksonギター弾き語り) ※el-surさんにご指摘いただいて訂正しました。
9. Rose Hip November
10. Window over the Bay
11. Where I Like to Stand
12. My Lung (Jo Mango のカリンバ弾き語り)
13. Against the Sky
14. I'd Like to Walk Around in Your Mind
15. Wayward <アンコール>
1. Just another Diamond Day
2. Jog along Bess
3. Here Before