漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

風呂敷をゆるめる

■雨が降ると途端に寒い。明日は出かけたいんだけどな。晴れろとまでは言わないが止んでもらいたい。

不登校相談会の冒頭で、札幌自由が丘からフリースクールに通う子の様子を話してもらった。「フリースクールに来てもすぐに元気になるわけではない。ひとり誰ともかかわらないでいることも多い。それが、あるタイミングでふっと輪の中に入る瞬間がある。見ていると、絵だったりゲームだったり、その子が好きなこと、得意なことをほめられたことがきっかけになっているようだ」という話が出た。

■風呂敷の端をつかんで左右に強く引っ張れば、紐状になってなにも入らない。力をゆるめてたわみをつくることで、ものを入れる余裕ができる。人も同じかなと思う。「気を張る」という。そんなときは、引っ張った風呂敷のようになっているのじゃないか。ピンと張りつめて、周りを受け入れる余裕がない。両手の力が少し抜けて、ようやく他人が入る隙間が生まれる。

■好きなこと得意なことが媒介になることが多いというのは、正確には絵やゲームそのものではなく、「絵だったりゲームだったりが好きな自分」が受け入れられた、ということなんだと思う。

■周りと打ち解けたら安心というわけじゃない、その後も浮き沈みは繰り返される。風呂敷にものを入れ過ぎればやっぱりたわみはなくなるので、どこまで持てるかは腕力の問題だったりもする。経験を積んで力が増せば、さらに大きな風呂敷も持てるだろう。

■と、以上はたとえ話で、細かな心情や状況は無視している。それでも、「今のその人を支持する」ことが重要なのは動かないんじゃないかな。教育行政にどうアプローチするか悩んでるけど、そんなときこそ根っこの部分を確認しておこう。