オートポイエーシス 第三世代システム


河本英夫
青土社
1995/07/17
自己組織化はもう古い!
ホメオスタシス〉〈自己組織化〉を乗り越える第三世代のシステム論〈オートポイエーシス〉。システム論の全歴史を通観しつつ、生物学・社会学・心理学・経済学・法学・科学論・歴史学・文学などあらゆる分野の常識を覆すこの革命的システム論を初めて明確に定式化。
はじめに
I 動的平衡系 第一世代システム
1 システム論前史
機械論と生気論…有機構成の成立−還元主義の否定
2 動的平衡
有機構成の意味内容…ホメオスタシス−自己維持する有機体…ベルタランフィの一般システム論
3 多階層関係論
アリストテレスからケストラーの「ホロン」まで…キュヴィエとビシャ…ハルトマンの階層関係論…基本的視座としての「関係」
4 構造主義生物学
多元論と厳密科学の両立…五つのテーゼ…構造主義生物学への疑問…多元主義の諸問題…多元主義と現実的コード化
II 自己組織化 第二世代システム
1 生成プロセス
個体発生−前成説と後成説…化学の分子形成と弁証法
2 動的非平衡システム
結晶化と相転移プリゴジンの「ゆらぎ」…免疫システムと「自己」…システムの境界
3 シェリングの自然哲学
関係主義のアプローチ…「先験的過去」と「精神」…シェリングの動力学…有機体論とシェリングのポテンツ…物質構成の二傾向…双極性
4 階層生成
要素の相互作用による階層生成…円環形成による階層生成…核融合反応…自己触媒システム…ハイパーサイクル…システムの共生…階層間変動…自己組織システムの関数化
III オートポイエーシス 第三世代システム
1 オートポイエーシスの視点
オートポイエーシスの四特徴…システムには入力も出力もない…神経システムをめぐる諸解釈と問題点…作動によって存在するシステム
2 オートポイエーシスの機構
機構の定義…産出プロセスのネットワーク…産出プロセスと構成素の循環…システムの実現−位相学的構造分析
3 作動するシステムのコード
ベルクソンクリプキの問題提起…近代科学的コード化の限界…設計図のないコード化−職人グループの事例
IV オートポイエーシスの展開
1 システムの自在と普遍性
多元性と位相空間…システムと環境…構造変換とシステム分化の自在…自在さと普遍性の諸特徴…ルーマンの「複雑性の縮減」の問題点
2 心的システムの位相空間−認知の行為存在論
心的システムの概要…特殊神経エネルギー説…ユクスキュルの「動物から見た世界」…位相空間の形成
3 システムのカップリング
システム間関係…相互浸透…社会システム−コミュニケーションを産出するネットワーク…自己言及的作動…心的システムと社会システムの相互浸透…オートポイエーシスにおける自己と他者
4 自己言及と観察システム
オート・レファレンスによる表象の産出…時間意識の誕生…構成素間の系列化…言語の導入…自己意識の産出と観察者の出現…観察者と自己言及…心的システムの構造構築…観察者の限界と観察システム
終章 システムの日常 カフカ『プロセス(審判)』をめぐって

あとがき

オートポイエーシス―第三世代システム

オートポイエーシス―第三世代システム