20060503

  • マイクロソフトは、検索エンジンビジネスを強化するために、Yahoo!と手を組むのではないかとの観測が流れている。完全な買収ではなく、MSNを Yahoo!に売却してYahoo!の株式を保有するという形態が噂されている。もし実現すると同社の今までの戦略を大きく変えることになる。今までは同社は自力で競合企業に立ち向かうのが常だったからだ。マイクロソフトは今まで多額の資金を投じて検索エンジンを強化してきた。しかしGoogleYahoo!と比較してシェアは低下しており、最近の業績発表ではMSNの売上は減少、赤字に転落するなど、インターネット広告市場の拡大という好機を生かせずにいる。もしマイクロソフトYahoo!と手を組むことになると、両社の強みを生かせるとの見方がある。マイクロソフトの技術力とYahoo!の集客力だ。マイクロソフトは多額の投資を行って検索エンジンを強化しているがトラフィックを集めることができないために広告収入を獲得することができない。現在ではYahoo!への出資はまだ社内での検討事項となっており、昨年は両社の間で話し合いが行われたものの、現在では真剣な交渉は行われていない。
    観測気球?
  • 中国の家計における貯蓄率は非常に高い。米国などは過剰貯蓄が対米貿易黒字につながっているとして貯蓄減らしを中国に求めてきた。先日は貸出金利の引き上げを行ったが、預金金利は据え置きにしており貯蓄に対してマイナスのインセンティブを与えている。しかし中国の貯蓄は表面上見えるよりも少ないとの指摘もある。その上都市部に住む若い世代を中心に、貯蓄を全く行わずに消費に夢中になる層が登場している。ただ確かに貯蓄は減少しつつあるものの、それが米国の利益につながるとは限らない。中国で販売されている米国製の商品は少ない。その上、所得の多くが教育費や住宅費、医療費などに支出されるという事情もある。
    中国の貯蓄率が異常に高かったのは、市場経済への移行で将来の見通しが不透明になったことに対する対応でもあるらしい。市場経済に慣れるにつれて低下していくということになるのだろうか。
  • 生命保険を転売する動きが広まっている。このような行為は医療費を捻出するために重度のAIDS患者の間では以前より見られたが、現在は健康面での問題が少ない高齢者の間でも広がっており市場が急拡大している。このような行為は life settlementsと呼ばれており、投資家が資金を貸し出し、生命保険に加入させ、一定期間を過ぎると、投資家が債務棒引きと引き替えに生命保険を受け取る。被保険者が亡くなった際に、投資家は保険金を得るという仕組みだ。しかし見ず知らずの第三者が生命保険金を受け取るのは、問題ではないかとの声も出ており、当局でも対策を検討している。保険会社は保険購入者より保険を引き取ることができるが、この場合安い価格でしか引き取ってくれない。しかし外部の投資家だともっと高い価格で引き取ってくれる。そのため資産を単に高く買いとっているだけとの主張も業者からは聞こえる。
    日本でもこのような行為は認められるのか?保険金殺人を誘発しそうな気がする。
  • 米国よりも欧州のほうが喫煙率は高い。この原因を調べた経済学者がいる。まず価格差に注目した。しかし米国よりも英国やドイツのほうがたばこの価格は高いのが現実である。次に所得に注目した。低所得者はたばこを買うことができないが、高所得者は健康に気を遣うようになるためにたばこをそれほど吸わないと考えられる。確かに所得で大陸間の格差は一部説明できるがまだまだ説明できない部分がある。大きな格差の理由として、欧州のほうがたばこが健康に与える害を過小評価しているという事実がある。ただこれはたばこを吸っている人たちが自己を正当化するために信じ込んでいる可能性も高いが、たばこを吸わない人たちでさえ、欧州では米国よりもたばこの害は少ないと考えているようだ。また見栄という説明できない理由も考えられる。たばこを吸うことで食欲が抑えられ、ダイエットになるのだ。実際、肥満の比率は米国よりも英国・ドイツのほうが遙かに低い。
    http://www.nber.org/papers/w12124が引用元らしい。日常生活に潜む因果関係を分析するのも経済学の大事な仕事なのか。「ヤバい経済学」(ASIN:4492313656 )もそんな感じかもしれない。しかし欧州ではタバコに対するイメージはそれほど悪くないのは意外だ。