湯築城と道後温泉本館で用いられた基準寸法が同一、これは何を意味するのか

先日NHKテレビが、道後温泉本館の最初から今に至るまでを様々な角度から特集していた。その中で一つ、大いに注目すべき事実が有った。本館の設計・施工を担当した坂本又八郎氏が採用した寸法取りは、廊下幅が6尺、柱の太さ5寸、柱間隔(芯~芯)は6尺5寸だと言う。
実は湯築城の基準寸法は全期間を通じて197cmである。つまり建物の柱間隔(芯〜芯)が197cmという寸法取になっている。この197cmと言う寸法を単位とした理由は不明である。現在の1間よりかなり長く、鯨尺では1間が約228cmなのでこれも合わない。そのようなわけで197cmの由来が分からなかった。
そんな時、道後温泉本館の柱間隔が6尺5寸と聞いて驚いた。曲尺の1尺は30.3cmだから、6尺5寸は196,85cm、四捨五入して197cmとなる。中世の城である湯築城明治27年(1894年)に建立された道後温泉本館が、同じ寸法基準を採用していたことは非常に興味深い。
これは曲尺湯築城築城時にはもう使われていたことを意味するのではないか。。それにしても湯築城が廃城となって300年も経った後に、同じ寸法取りが使われたのは興味深い。我々が知らないだけで、曲尺は意外に早くから使われていたのかも知れない。この尺度の歴史を知りたいものである。