Folding

一足先に落ちるまで/爪先立ちで待ちながら/暗くなったら四つ数えろ/静かになったら四つ数えろ/オモテミアワセ、トモシアワセと/ギギは盲目、ピーは寡黙/フォボスを殺した報いが祟り/業の深みに手足を取られ/その身を暗渠にまかせれば/アガペの懲役くらわされ/ズールーグールの一丁目/ジロクイッテン一番地/真純正から血を吸われ/調べをつづる骨も無し/乳房を頭上に掲げては/卒倒の海に直立す/獣の血筋と結ばれテンホ/地球のタガが外れてテンホ/肉と処罰の黄昏に/獲物の皮と声盗み/阿呆鳥は夜に飛べ/受胎告知の奈落の彼方へ/木偶の震えに暗転し/木偶を抱いて滑り込め/オモテミアワセ、トモシアワセと/ギギは饒舌、ピーは高潔/此の世で最も憎むべきは/ナイガシロにしたおのれの嘘を/誰かに負わせて殺しておいて/その魂に花手向け/涙流して語った嘘を/此の世で最も愚かなことと/また再びナイガシロにしたおのれの嘘を/誰かに囁き一服盛っては/その魂のよろめきに/手を差し伸べて語った嘘を/此の世で最も悲しきことと/また再び/ナイガシロにしたおのれの嘘を/誰もが無為に美徳を語り/その魂は屑の最果て/その魂は嘘と成り果て/何とデタラメな墓石であろう/ズールーグールの一丁目/ジロクイッテン一番地/阿呆の峠の一里塚/肩につなげた両足で蹴り/宙ぶらりんに揺れながら/空ろの節の抜けた底まで/蛇の棲み処へ轍を辿り/蛇の棲み処の穿ちの二つ/砂に屠られ、砂と交われ/オモテミアワセ、トモシアワセと/ギギは跛行でピーは纏足/双子の黒子の瞳は一対/双子の黒子の耳も一対/双子の黒子の口ふたつ/双子の黒子の棺桶一基/オモテミアワセ、トモシアワセと/ギギは盲目、ピーは寡黙/咀嚼の時間に整列し/無実の者を解体しては/無用の時間に入れ替わり/不実の者と抱擁す/獣の血筋と結ばれテンホ/地球のネジが外れてテンホ/肉と処罰の黄昏に/獲物の皮を木偶に着せ/阿呆の峠の途上に吊るし/受胎告知の奈落の彼方へ/木偶の震えにシルベ傾き/木偶を抱いて滑り込め/オモテミアワセ、トモシアワセと/ギギは饒舌、ピーは高潔/一足先に落ちるまで/爪先立ちで待ちながら/暗くなったら四つ数えろ/静かになったら四つ数えろ/オモテミアワセ、トモシアワセと/ギギはハコウでピーは纏足/

L’amour Est Bien Plus Fort Que Nous

今日は晴天/何処も晴天/今日の無残を忘れようと/明日の甘みだけを想えば/真理は不明で永劫に不明/誰何びとであろうとも/真理は盗まれ真理は欺く/端緒に滅びる言葉よ/意味に滅びる言葉よ/お前に伝えよ/阿呆面さらしやがって/断罪無き卑しき過去め/腹腹時計の竜頭を回し/凍結停止の負債に廻し/他人の果実を喰らわんと/他人の無実を我が手に得んと/無実は不明で永劫に不明/誰何びとであろうとも/無実は犯され無実は嘲る/愚鈍にかしずく具体よ/光にかしずく具体よ/お前に伝えよ/舐めくさりやがって/国歌なる卑しき蝙蝠め/ガス栓吐き出す腐臭の如く/死体を前に嘆きおののくが如く/殺しの明日は鮮やかに/だから本日は晴天なり/今日も晴天/何処も晴天/

Sentinela

天使、ダビデの尻を辱め/無涯、無響に眠れ/オイル、月に烙印燦めいて/拉致、処刑の踏み絵を/其の骨神々/其の傷、闇間に/共に歩みて共に死す/背後、潰された子の腕/無情、無調に咽び/オイル、月に烙印燦めいて/流砂、舌下の墓標にて/高き窓、夜開き/執行のベルが鳴る/暗転/其の骨神々/其の傷、闇間に/共に歩みて共に死す/

Astro Black

蝙蝠御免/両翼を射抜かれ磔のお前/百獣を統べる玉座を望めば/百鳥を引き裂く牙を与え/両牙を戒め口枷のお前/百獣を欺く舌を望めば/百鳥の飛べぬ帳を下ろし/両翼を奪われ獄舎のお前/此の世を劫火で焼き尽くし/再び夜と翼を与えん/此の世の虚界を翼で切って/未知の高みより見下ろすお前/太陽の速贄/蝙蝠御免/

Enlightenment

今や此処よりお前は羅列される言葉語りの読者であろうとする/今や此処よりお前は羅列される阿呆語りの読者であろうとする/地下室へ向かう階段狭しと処刑のスライド幾重にて/緋銅色に印された顎の摘み上げ渦巻きに/o獄行きとm獄行きの選別投棄の誤差を見て/腐肉行きと蒼靄掛かりに挟まれ流紋帯び帯びて/生物身体のあらゆる曲折地の交差に立つは白濁の極点/例えば真に正しき空の不在しかり/或いは真の正しき時知ることの不在しかり/見立てられた掛け替え無しの現状真実の/まるで手袋を脱ぎ捨てるが如き非在来/狂人の繰言はいつも正しく取るに足らない/今や此処よりお前は羅列される言葉語りの読者であろうとする/今や此処よりお前は羅列される阿呆語りの読者であろうとする/語る者は予め生を与えられず/一体に如何なる廃屑と看做し/言葉を持ち合わせずして発することなく/だからおれは幽霊を殺す/幽霊を殺す音/おれが陵辱される音/音楽が殺される歌/偽善は許されねばならない/音楽は殺されねばならない/

Foetus

路傍に打ち捨てられて/萎れ腐った黒衣乞食の屍骸の如し/異常歪に錆骨飛び出し破れた蝙蝠傘の皮膚捲り/其の内臓を覗き見れば/未だ端然たる支骨の並び譜頂きに/果たして呆けた空に覗き返され/しかし唯、一心に地平45度の宙天仰ぎ/有らん限りの記憶の背中を覗き見れば/合わせ鏡の蝶つがいが囁きに/「それは向こうのおまえの背中なのだ」と/斯くて此処より地獄の顎へ急ぎ歩め/そしておのれにバクシーシを与え給え/

Starless

夜の海月の明滅に群れ為す蛾どもを従えて/全て処罰の下に集え/光を知らぬ愚かの頂に立ち/高潔と静謐の精神へと向かう/此れぞ無用の極地にて/改竄と複製の毎秒に眠り/国歌は裏声で歌え/輝きに細めた瞼を裏返し/瞬く白眼に砂を注げば/ルルドの未明にポリグラフの爪囁き/光を知らぬ愚かの頂に立ち/高潔と静謐の精神へと向かう/此れぞ無用の極地にて/喪失と偽証の毎秒に眠り/国歌は裏声で歌え/夜の海月の明滅に群れ為す蛾どもを潰しては/全て処罰の下に集え/