電力とジェネレーション

電力使用制限令が解除されたことに伴い、そもそも節電はする必要がなかったのではないか、という議論がある。これは電力会社がどこまでインフラを支える義務があるのか、という問題に帰着する。

電力会社は電力を供給する「義務」はあるのだろうか。

電力会社が節電要請をしなければ、民間企業は電気を野放図に使い、全国規模の大停電が起こっていたかもしれない。これは、日本経済の信頼性にかかわる問題である。しかし、後になってみれば、あれは必要なかったのでは、という議論も出てくる。そのときの判断で、少しでも電力が足りないという可能性があったため、停電をさけるために使用制限令を出した。しかし、出さなくて停電が起こったとしても、それは分かっていて使った民間企業の責任だし、そこに電力会社が責任をとる必要はないだろう。インフラというものを考える時、国営でなければ最後の責任の所在が曖昧になる。民間企業がインフラを死守しなければならない義務はあるのか。半官半民のありかたとは存在するのか。

ある程度年齢がいった人は、電気なんてなくても、経済成長しなくても生きていけるならそれでいいじゃない、という。でも、経済が縮小傾向にあるなか、就職戦線にいる若者にとっては、経済成長で雇用を確保することの重要性が痛いほどよくわかっている。そこにはかならずジェネレーションギャップが生じるし、国民的合意など土台無理な話だろう。

現役世代とは何を指すのか、誰のためにどのような国の在り方を描いていくのか。課題先進国におけるビジョンの在り方が問われている。どこかの国のマネはもうできない。

鏡の中の民間企業

企業活動の目的は利益を得ることである。(正確には利益を得ることで社会貢献をし、存在意義を確立することか。)

であるならば、国の存在意義も第一義的には利益を上げることだと言っていいと思う。もちろん利益という形が金銭価値だけではないということはありうる。(だって金銭価値というのは「物」と「物」とを交換する際のツールにしか過ぎないから。個々人の価値観はお金では測れません)

国が利益を上げる(付加価値を生み出す)ことで、国民全体が金銭的な意味も含め豊かになる、ということが国のミッションだろう。

ところで、「経済成長って必要なの」という議論はいつもある。


○経済成長賛成派の主張
1.経済成長でより多くのものを交換することができ、高付加価値の社会が実現できる。
2.経済成長をしているということは、それぞれの民間企業が利益を生み出しているということである。
3.今までも経済成長によって、人々の暮らしは豊かになってきた。

○経済成長反対派の主張(反駁)
1.経済性著を重視するあまり、競争力のない産業を無視してしまう。
2.競争力のある大企業を優遇し、格差が広がってしまうのではないか。
3.経済成長とともに、環境問題や格差の問題など、別の弊害が出てきた。

思いつく限りで一人ディベート形式で挙げてみた。このディベートでは経済成長賛成派のほうが強いか。

いずれにせよ、日本の産業が競争力を維持していくためには、「高付加価値」な製品(サービス)を「効率的に」生み出していくことが大事である。経済成長しなくてもいいかもしれないが、スラム化していくのはさすがに避けたいであろう。

愛知にて

豊田市美術館産業技術記念館ノリタケの森にいく。

豊田市美術館
?駅から遠い
駅から1.3km。遠い。しかも坂道がある。しかし、環境的には非常にいいところ。高台にあるので眺めもいいし、自然もいっぱいある。こういうハコモノはいいと思う。
?スレートがすばらしい。
エネらるどグリーンのスレートが素晴らしい。周りの環境とマッチして、ものすごくスタイリッシュだ。谷口吉生得意の水の扱い方も非常にすがすがしく、来てよかったと思えた。
?展示が面白い
割れている陶磁器を展示していた。きれいだとは思ったが、自分にも作れそうとも思った。木のオブジェと砂岩のオブジェは自分でも作れそう、作りたい。

産業技術記念館
?繊維産業
繊維産業の変遷を見た。自動車よりは興味が持てないが、実際に織物をしている現場が見れるので面白い。
?自動車産業
シャシーの構造など、実際の機構が動いているのが見えるので非常に面白い。リアリティがある。どうやって自動車を作るのかが分かった。
?ミュージアムショップ
ガイドブックを買った。「自動車はかくして作られる」に興味を持ったが、出先なのでアマゾンで買おうと思う。

愛知は産業の都市。豊田が主導でこのようなミュージアムを作ることは非常にいい。行政主導では中途半端なものしかできなかっただろう。このようなものが流行っていくようなしくみづくりをしなければならないだろう。

social hospitability

日本人なら知っておくべき社会保障のこと

 社会保障について、専門外だがすこし勉強をしたので書いておく。

1.社会保障給付費について
 社会保障給付費は2008年ベースで94兆円、このうちたしか27兆円近くが税金で賄われている。また、この金額は増加傾向にある。どうするんだ日本!個人的には、自分の年金の一部は自分で賄えるぐらいの仕事を定年後の老人にしてもらわざると得ないとおもうんだがどうか。だが、何の仕事ができるのか。会社に居座るのは老害だし、さりとて力仕事はできないし。うーん。産業構造の高付加価値化シフトが必要です。

2.病床規制について
 日本は、都道府県ごとに医療計画なるものを策定しており、その医療計画に基づいて、どの地域はどのくらいの病床を作れますよ〜という「病床規制」なるものを設けている。この病床規制は、もともとは1970年代に老人の医療費を無料化した際、病院側が立て続けに病床を増加させてしまい(つまり治療する必要のない老人を受け入れて、軽い治療をしておくことで儲けようとしていた)、結果として医療費の値上げにつながってしまったので地域で病床数に制限をかけることで、無秩序な病床の増加、医療費の増大が起こらないようにしたものである。しかし、これが病院間での競争を阻害しているとして、現在撤廃をする方向で議論を進めている段階。


3.医療のサービス産業化について
 日本の医療は高度であるにも関わらず、医療ツーリヅムの世界では韓国に大きく水をあけられてしまっている。日本も医療のサービス産業化をめざすべきだ。特に、高齢者対策関係は、課題先進国である日本の強みになるはずだ。

electric book

電子書籍について

 現在の著作権法上では、再販売価格維持制度というものが存在し、それが本を電子書籍にする際のネックになっているらしい。再販売価格維持制度とは、小売りをする際に、定価で売ることを義務づけるもの。ちなみにこの再販売価格維持制度は諸外国では撤廃されており、日本でも撤廃の議論はなされている。

 再販売価格維持制度は、もともと著作権者の利益を守るために作られた制度であると考える。確かに昨今の音楽の違法行為ぶりを見ると、これで音楽業界は食っていけているのだろうか、むしろ、アイドルのCDや一部のファンだけがCDを買うようになり、音楽業界が衰退していくのではないだろうかと思ったことはある。本に関しても同じ議論がなりたつだろう。

 しかし、私は、電子書籍の普及には再販売価格維持制度のほかにももっと術があるのではないかと思う。生活者視点で考えると、そもそも、電子書籍って必要だろうか。私は本屋というハードがすでに存在している以上、ネット上の仮想本屋に行くよりも、ちょっと散歩がてら本屋に行ったほうが何倍も便利だと思う。よって現状では電子書籍はいらない。
 しかし、電子書籍がほしいと思うときもある。それは電車等で本を持ち歩いている時や、内容を検索したくなったとき、また、前に読んだ本をもう一度ふと読みたくなった時だ。電子書籍の利便性は、電子書籍端末だけではなく、PCの技術、ネット検索の技術、そしてもしかしたらARの技術等も含めて、パッケージでもう一段階の発展が必要なのではないかと思う。

think about enegy

エネルギーについて思うこと

1.福島について
 3.11以降、原子力に関する話題が絶えない。福島事故が起こした被害は甚大で、原子力発電所の事故そのもの以上に、その破壊力が多くの人にとって「想定外」だったのではないか。
 中性子爆発が起こり日本に人が住めなくなると言っていた輩はどこに行ったのか知らないが、それでも現実の被害というのは予想を上回る。福島を見捨てるということを言い出す輩もいるが、実際に福島に行ってみたらとてもそんなことは言えない。警戒区域だって、見た目には自分の田舎に帰ってきているようなものであり、そこを永遠に見捨てるというのはばかげてるように感じる。かといっていつ帰れるのかという計画が立たなければ、別の地に暮らし、別の地でコミュニティが形成されるわけで、警戒区域への立ち入りは、いわばお盆に実家に帰るぐらいの頻度になってしまうのではないだろうか。
 福島のことを考えると本当につらいが、自分としてできることをやる以外にはないだろう。福島のために、日本経済の復興を考える。

2.新エネルギーについて
 学生時代からもともと新エネルギーがやりたかった。なぜなら、新エネルギーの開発が、インフラフリーの開発、ひいては、宇宙開発につながると思うからだ。人間は、地上のインフラから解放されることで、より自由な場所に住むことができ、現代社会が抱える物理的な制約の一つである土地・交通問題を、解決し、あらたな文明の発展に踏み込んでいけるのではないかと思うからである。

 というのは夢物語というか、はるか先の希望のことであって、そいういった思惑を持ちながら新エネルギーっていいよね、と言ってみたりする。だから、私は新エネルギーが環境にやさしいとか、新エネルギーが原発依存からの脱却に必要だとか言った議論は避けておく。

 さて、日本が新エネルギーを促進させていくために現在ボトルネックになっているのはなんなのだろうか。マクロな目で見れば政治的課題や、全量買い取り制度などの制度面での課題があるが、ミクロな面ではどうだろうか。あなたがこれからあなたの家に太陽光発電をつけたいと思うかどうかだ。

 私は現時点では太陽光発電を自分の家につけようとは思わない。何が悲しくてなけなしの給料をはたいて、リスクを背負わなければならないのだろうか。体感評価でいえば、初期費用回収期間は1年ぐらいじゃないと危ないような気がする。

 そうであるならば、価格面以外の優遇策を導入すべきではないだろうか。たとえば、太陽光発電を導入すると、容積率を少し緩和してくれるだとか、そういうことである。まだまだばらまきに頼らなくてもできることはあるのではないか。

energy problem

エネルギー問題!

エネルギー問題!

松井賢一のエネルギー問題を読む。
筆者はエネルギー経済研究所にいた人で、豊富なデータに基づき、非常に理性的な論理を展開している。エネルギー問題にありがちな、太陽光賛成、原発反対といった思考停止に陥ることなく、淡々と論を進めている。
石油埋蔵量がなぜ何年たっても一定なのかと言えば、それは産油国がもうちょっとでなくなりますよと資源価格の高騰をあおるいっぽうで、OPECなどが、石油産油国の安定的な発展のために埋蔵量も常に一定に維持し続けているという背景がある。
このように、科学は政治によって曲解される可能性が有る中で、今後のエネルギー政策を考えていく上では、現在が石油から原子力・新エネルギーの時代に変わってきたということを認識したうえで、今後どのようなエネルギーベストミックスを見つけていくかということを常に議論し続けていくことが必要であろう。