ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

ユダヤ教の叡智とヘブライの調べ

エレン・カッツ(著)母袋夏生・阿部望(訳)『ユダヤ人が教える正しい頭脳の鍛え方』("The Secret of the Jewish Mind")角川書店2005年)は、大変おもしろい本でした(参照:2009年1月10日・1月30日付「ユーリの部屋」)。まだお読みになっていない方のため、自分への励ましと復習も兼ねて、ここにポイントの一部抜粋を記そうと思います。ご興味を持たれたら、是非、本を手にとってお読みください。(ただし、私は回し者では一切ありません!)

聖書は宗教を信じている人たちだけのものにしておくには惜しい、優れた財産(p.8)
高い知性と賢明さから生まれた能力
←さまざまに異なる状況下で学んだ。周囲からうとまれながらも生きのびて成功をおさめ、影響力をもつようになった
(p.25)
自分から見てとうてい不可能と思うことをイメージしろ。どうやってそれを実現したらいいか現実に即して考える。(p.62)
目覚めている。安逸をむさぼらない。(p.74)
先入観や固定観念に囚われることのない自由さ。流行には原則的に逆らう精神。(p.75)
新しい現象を違った目で創造的に考える(p.76)
他の土地に行くと、手かせ足かせから解放され、先入観や社会規範から自由になれて、本来的にもっていた能力が開花する(p.78)
ユダヤ教学問としつけを最重要のものと位置づけている。(p.79)
どんな社会でも教育を最優先するとは限らない。モシェ・イブン・エズラ「学問を怠れば、蒙昧に苦しむ」(p.86)
中世、アラブ諸国にいたユダヤ指導者たちは、『世俗』の学問の大切さを熟知。ヨセフ・イブン・カスピ「真なる信仰は科学に基礎をおかなければならない」(p.87)
仕事の後で本を読もう。知的能力や知性は必ず育つ。何歳になっても学べる。ラビ・アキバは40歳まで字が読めなかった。(p.90)
ユダヤ教の根本には、自明なことは何一つないという考えがある。もの怖じしないで批判的な質問をする。(p.91)
ユダヤの学習法は、ものごとを縦横無尽に眺めた調査研究と辛辣な質疑に基づいている。(p.93)
信じているから〈賢く〉頭が働いた。(p.121)
トーラーを全身全霊で学ぶ。精一杯学ぶ
→アドレナリンの分泌よくなる
(p.167)
トーラーの言葉は、自分の知識を低くする者に実現する(p.186)
ラビ・ハニナ「謙虚な者だけが新しいものを学ぶことができる」人の評価を気にしたり、自分の知恵を示そうとはしない。(p.187)
裕福なユダヤ人は施しをしている人々を常に援助
ユダヤ人の知性に貢献
(p.201)
祈りによって集中できる(p.205)
たえず学びつづけること。何事も自明のことと受けとめないで質問すること(p.292)
15条(pp.293-294)
(1)記憶を信じて信頼すること
(2)白い紙に黒い筆記具ではっきりきちんと書くこと
(3)相方と声に出してリズムをつけて勉強すること
(4)身体を動かしたり歩いたりしながら楽しく学ぶこと
(5)気分が乗る、インスピレーションの湧く場所で学ぶこと
(6)気が散るようなわずらいごとから解放されていること
(7)祈禱や歌のようなモチベーションをうながす章節などの集中法を取りいれること
(8)簡単でおもしろそうなことから取りかかること
(9)疲れた5時間より、生き生きと爽やかな2時間の学習をすること
(10)勉強するときは波に乗れ。波が砕けたら休息し、頭脳を完全に休ませること
(11)印象的なキーワードを見つけて、アイデアやテーマをまとめるようにすること
(12)連想で物語をつなげるためのキーワードのつながりをつくること
(13)グループ別、年代順など論理的にテーマを整理すること
(14)記憶には頭文字、反意語や同意語を駆使すること
(15)反復練習や暗記を繰り返すこと

知性をどうやって周囲の人々のために使うか、それが肝心(p.297)
ユダヤ教が知的好奇心を満たす賢い宗教であるのは確か(p.298)
「自明なことは何一つない」疑問をもつこと。質問することが奨励されている(p.301)

(抜粋終)

もう一つ、上記と関連して、お勧めしたい曲があります。マックス・ブルッフ(1838-1920)は非ユダヤ人でしたが、ヨム・キプールの夕べにユダヤ人が唱える祈祷文「コル・ニドレイ」を主題とした、とても美しいチェロと管弦楽の曲を作りました。リバプールユダヤ人共同体から依頼されてのことだそうですが、10分ぐらいの非常に優雅な曲です。私は、Pierre FournierのチェロでCDを持っています(Kol Nidrei, Op.47, Adagio nach hebräischen Melodien für Violoncello und Orchester)(参照:2008年4月11日付「ユーリの部屋」)。
ヨム・キプールの祈りとは、次のようなものだそうです。

「ヨム・キプールより一年を経て、再び巡り来るヨム・キプールの日まで、我らの誓願はとこしえに我らの上にとどまる。されど、我らが果たしえざりし誓約を衷心から悔い改めるならば、すべての誓いや義務は無効とならん。我らはすべての契約、義務より解き放たれん。」


牛山剛ユダヤ人音楽家―その受難と栄光―ミルトス双書1991年)p.22, 26, 27)

過眠症かもしれないぐらい寝ることが好きな私ですが、もしも、不眠症に悩む方がいらっしゃるようであれば、この曲を夜聴くと、あるいは安眠が約束されるかもしれませんよ。というのは、冗談ですが、それほどきれいな曲です。
図書館で、アブラハム・ラビノビッチ(著)滝川義人(訳)『ヨム・キプール戦争全史並木書房2008年)の予約を入れておきました。楽しみです。