ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

花粉症の季節にクンデラを読む

昨年の今頃も、鼻づまりや鼻水、くしゃみなどと格闘していたのでした。
いろいろと工夫はしているのですが、やはり、環境問題とも関わっているのでしょうね、この花粉症。気づいたのが18歳の大学入学時から。当時は、(なぜ沈丁花の咲く頃になると、いつも鼻風邪を引くんだろう)と不思議に思っていて、それでも、あまり薬を飲むものではない、ときつく言い渡されていたため、ティッシュペーパーを一人でさかんに消費していたのでした。
朝、目覚めると鼻がつまって起きられなかった結婚当初の数年よりは、症状はかなり軽くなっているのですが(参照:2007年9月3日付「ユーリの部屋」)、確実に、花粉の飛ぶ時期が長くなったこともあり、どうもいけませんね。
今回は、去年と同日に学会発表がありました(参照:2008年3月10日付「ユーリの部屋」)。発表前は準備に気が張っているし、発表当日は、とにかく一応の義務を果たさねば、という感じなので、薬とサプリメントで補って乗り切るのですが、その後は、ほっと安心するためか、午前中はどうもぐずつきます。昨年の場合は、ちょうど今頃が東京出張でしたが、花粉症ならぬ鼻風邪だったので、結局は毎年、同じような症状が繰り返されているわけです(参照:2008年3月14日・3月16日付「ユーリの部屋」)。
食事も、乳製品や脂っこいもので反応するらしいことがわかっているので、極力避けていますし、野菜を多くして、睡眠不足にならないように気をつけていますけれども....。それと、洗濯をきちんとして、干す時間も天候をにらみながら調整して、掃除もまめにして、ほこりがたたないように努力はしています。
あ、そういえば、マレーシアにいた頃は、花粉症って出なかったんですよ。車や工場から排出される大気汚染は日本以上にひどいのですが、四季がないからなのでしょう。また、イスラエル旅行の時も、出発当日には、鼻風邪のような症状だったのに、そのまま飛行機に乗り込んで、テル・アビブに到着した途端、すっかり鼻水が止まってしまったのにも驚きました。
結局のところ、環境を変えるしかないのかなあ...この時期には日本脱出、とか。

「休める時は休んだらいいよ」と言ってくれる主人のことばはありがたいものの、少しは時間を有効に使おうと思い、ごろごろしながらも、ミラン・クンデラの『存在の耐えられない軽さ』を読み終わり(参照:2008年11月18日・2009年2月25日付「ユーリの部屋」)、リムスキー・コルサコフのCDなどを集中して聴いていました(参照:2009年3月4日付「ユーリの部屋」)。
ミラン・クンデラも初めてならば、チェコ文学に触れたのも初めてでしたが、やはり、一読に値するとは思いました。共産圏での自由と創造の抑圧と相互監視の問題、ロシアに占領されたチェコ人の抵抗と順応のあり方、現代文学の一つの型、というものを学びました。構成が、安部公房の『棒になった男』をどこかで想起させるような込み入ったもので、一見、恋愛仕掛けの筋立てのようであって、実は非常に理屈っぽく哲学的で、実存および実存の扱われ方の重さと軽さをシニカルに鋭く問う思想だと感じられます。
少しだけドイツ語が繰り返し出てくるのですが("Muss es sein?", "Einmal ist keinmal"など)、この短い表現を、これほど考えさせられたことも初めてでした。また、故加藤周一氏の最後のテレビ番組ETVで見た、チェコ滞在当時の「プラハの春」の状況を想起させられました(参照:2008年12月15日付「ユーリの部屋」)。チェコ人アナウンサーが地下放送で、世界各国に向けて、チェコ語でもロシア語でもなく、ドイツ語を用いて、"Bitte, informieren Sie." と呼びかけ、「私達の国は、ロシアに占領されました」と、命がけで繰り返していた様子を思い出させます。あのアナウンサーも、恐らくは処刑ないしは処罰の対象になったでしょう。あるいは、うまくくぐり抜けて亡命したか、どちらかです。
共産圏の最も嫌だった点は、家族や親しい友人の間でも、誰もが相互監視の下にあり、互いに不信に陥っていることです。そうまでして守らなければならない独裁イデオロギーというものは、いったい何なのだろうか。そして、権力を握った者が、人の自由な創造性を奪い、一つの硬直した視点で、人権弾圧を平気で行うことです。そんな国に生まれなくて本当によかった、と思うと同時に、数十年その実験体制下にあった国々は、事実上、その多くが崩壊したとされる今でも、恐らくは根深い禍根が残っていることと思います。

一度は東欧へも行ってみたいのですが、その前に、まだいろいろと勉強しなければなりませんね。リムスキー・コルサコフの音楽を聴いていると、ショスタコーヴィチの嘆きが一層よくわかるようにも思います(参照:2007年8月28日・2007年9月20日・2007年9月29日・2007年10月13日付「ユーリの部屋」)。

というわけで、まとまりませんが、花粉症の時期、なんとか乗り切りたいものです。