ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

イスラエル総選挙の結果

昨日1月22日のイスラエル総選挙の結果です。ダニエル・パイプス先生が時々典拠として引用されている電子版新聞“Ynet News.com”(http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4335946,00.html)によりますと....。

According to a tally of 99% of the votes, the results are as follows:
• Likud-Yisrael Beiteinu: 31
• Yesh Atid: 19
• Labor: 15
• Shas: 11
• Habayit Hayehudi: 11
• United Torah Judaism: 7
• Hatnua: 6
• Meretz: 6
• United Arab List-Taal: 5
• Hadash: 4
• Balad: 3
• Kadima: 2

とのことです。原文では、カラフルな棒グラフ付でした。ご覧ください。

これを見て時の流れを感じたのは、私が某大学と仕事で関わっていた数年前には、「カディマ党」に今後の希望を託す聖書学の先生がいらしたことです。今では何と2席のみの得票。当時は今より遙かに素人だった私ですが、直感的に(中道というのは、イスラエルのような厳しい環境ではあまりマッチしないのではないか)と思っていました。労働党も善戦したとは思いますが、かなり議席が少ないように見えます。その他、複数政党制を取るイスラエルは、まるで日本のようで、これまた非常に勉強になります。
一つ、日本のメディアで気になるのが「極右」という表現。どうも英語メディアの一部がそのような表現を使っているので、直訳風に左から右へ流しているだけなのではないかと思われますが、右か左かというのは、基本となる思想路線もさることながら、現実には文脈に応じて相対的に変化するものでもあります。「極右」の反対が「極左」だった時代もあったわけで、(だから何なの?)という...。何事もレッテル付けは、最も恐ろしい単純思考。問題を感じるのは、「極右」とのみ政党名を挙げているだけで、その政党がいつからどのような背景で生まれてきたのか、どのような人々によって支持されているのか、その主張は何なのか、全く説明が欠けていることです。これでは、小学校の学級委員選挙みたいなノリで(それ以下かもしれない)、説得力を持ち得ません。
パイプス先生は、まだ髪の毛が黒々とされていた頃から、「米国の二大政党制と違って、イスラエルの政治環境は滑りやすいから、自分は長い間不満を溜めてイライラしながら見ていた」とおっしゃっていました。この辺りの感覚は、パイプス氏独特の性格によるものだろうと思います。曖昧な妥協路線を嫌い、勝つか負けるかで論戦を挑み、最後には自分が勝つことに目標を定めて、共時的通時的視座を縦横に駆使しつつ、理論と事実を織り交ぜて、とにかく徹底して頑張る、こういう生き方がお好きなようです。
これ以上は、昨日にも書いたように(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20130122)、イスラエル内政には口出ししないことに決めているので、この程度でご勘弁ください。
さて、パイプス先生ですが、またもやイラン系のテレビにも出演されたとか、メーリングリストが回ってきました。今年秋のキプロス旅行の募集も公表されています。本来は4月の予定だったようですが、半年延長に。恐らく、体験学習型のコンサルタント業なのでしょう。いかにもユダヤ人らしい才覚です。
一方で、私のようにほとんど自宅で本を読んだり音楽を聴いたりして過ごすのが好きなタイプを疎んじられているのかと言えば、これまた「適材適所」感覚でいらっしゃるのか、「いつも念入りな仕事だね。本当に感心するよ」と書いてくださいました。
多分、日本人は細かいところに目が留まりやすく、細部をきちんとこなしているかどうかで質を見分ける傾向があるので、私も自然とそれに倣っているのだろうと思います。パイプス先生達のように、特に移民社会を中心とする国々を頻繁に飛び回り、テレビ出演と文筆業でならしているならば、あまり細かい所を気にしていたら何もできないし、その暇もないのだろうと思われます。特に、中東アラブ・イスラーム社会を長年相手にしてこられただけに、固有名詞のアルファベット表記だってまだ一定せず、ムスリム集団もできては解体、できては解体、を繰り返していて、事実関係を追うだけで一生が終わってしまいそうな気配。大筋が把握できればそれでよし、としなければ前へ進みません。
私は私なりの特徴を出して、ささやかな貢献をしていく他はないのだろうと思っています。それに、気づいたミスの修正は逐一提出していますが、直後にではなくとも、気がついたらいつの間にかレヴィ君(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20121225)が直していてくれて、助かります。会ったことはなくても言葉に出さない連携プレーが、あの巨大なダニエル・パイプス公式サイトを支えているのだろうと思います。