ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

リベラルな世界観の限界

中東情勢となると、どうしても参考にしたい日本人研究者は、池内恵氏(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20140920)。時々、素人の私の感覚と異なる解釈も出てくるし(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20140718)、やはり若い世代の冗長な書き方だと、世代差を感じさせる点もなきしもあらずなのだが(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20140613)、アメリカと欧州発信の情報を参考にした上で、「では日本はどうすべきなのか」を考える点で、どうしても必要な観点である。
今日も以下の部分抜粋の引用を。

http://chutoislam.blog.fc2.com/blog-entry-193.html


(前略)
米国や西欧のテレビや新聞はこの話題で持ちきりだが、日本では、祝日でニュース番組があまりないとか記者が休んでいるせいもあるのか、あまり報道がない
世界情勢で肝心なことは金曜日の夜から週末にかけて起こることが多く、印象では新聞休刊日に起こることが多い(統計的な根拠はありませんが・・・)。今回は春分の日の休日でしたねー。

それはともかく、日本のメディアを中東情勢の情報収集に使うことは、私の場合はまずない。英語では情報が洪水のように流れていて、押し流されてしまいそうだ。アラビア語のものも英語からの引用が多い。ロイターやAP、AFPといった国際メディアの影響力は世界の隅々に及んでいる。
戦争開始前後の情報は有益かどうか、なんらかの意図で操作されていないかどうか、精査しないといけないので、扱いが難しい。
(中略)


オバマ大統領のスピーチはいつも現状認識・分析において的確だし、米世論の各層に巧みに働きかけ、言質を取らせない。最高のコミュニケーションズ・オフィサーだろう。しかしそれが、超大国の最高権力者として自国民にも他国民にも多大な影響を与える米大統領としてふさわしいふるまいなのだろうか。最高レベルのレトリック・論理を駆使した発言も、状況が変わるたびに頻繁に繰り返されるうちに、「巧言令色鮮【すく】なし仁」という印象を与えるようになってきている。
(中略)


対照的に、保守派はもとから何が何でもオバマを批判するのだが、保守派の単刀直入な世界観は、「イスラーム国」の同様に頑固で単純な世界観を読み解くには適切なんだな、と思わせるコラムがあって、示唆的。それがオバマ政権批判としても正鵠を射たものとなっている。


Charles Krauthammer, "Interpreting the Islamic State’s jihadi logic," The Washington Post, Sep 18, 2014.
(中略)


毎回毎回テロをやられて、嫌になって米国は引いて行った、だから同じことをやれば同じ結果になる、という見方は、それなりに合理的であり、「狂信者の非合理的な認識に基づく暴走」とは言い切れない。その価値観や行動様式には共感できないが、現にそのような見方を持つ人が中東やイスラーム世界には多いということについては、私も自らの観察から、同意できる。
(中略)


米国のリベラル派の理念的な世界観では、こういった論理や道筋がうまく理解できないのではないかと思う。
(部分引用終)

チャールズ・クラウトハマー氏はダニエル・パイプス氏と近い関係で(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20140215)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20140626)、拙訳もある(http://www.danielpipes.org/14510/)。
最後の一文が利いている。これこそが、ここ二年半の訳業を通して自ら気づきを与えられ、その結果、私が最も欲していた日本発の主張である。