JAXA、H-IIBロケットの地上総合試験(GTV)について説明 [ROBOT Watch]

大塚さんのナイスレポが来ております。

エンジンの立ち上がり・停止については、結果は良好。しかし試験の結果、以下の一部項目については「処置要」とされた。液体酸素タンクの加圧特性では、予測よりも圧力が低かった。フライト自体には「問題なし」とされたが、予測から外れたことについて、解析を深めて現象を理解する必要がある。またアビオ機器とバルブの振動が大きかった点については、現在振動試験を実施しているところだ。

ちなみに、CFTの実施回数が当初予定の1回から2回に増えたことで、H-IIBロケットの開発費は8億円増えたとのこと。以前の記事ではMHI側の投資とあわせ、262億円とお伝えしていたが、現時点では270億円ということになる。8億円の増加には、CFTの追加のほか、エンジンの油圧アクチュエータの設計変更も含まれているとのことだ。

CFTで出た振動の件はテスト中。って、CFTは1回の予定だったんですか? 発表される前の話ですかね。

H-IIBロケットでは、クラスタ化された第1段のほか、HTVを格納するためのフェアリング「5S-H」型も新規開発されている。この従来よりも3m長くなった新型フェアリングについては、強度試験において、分離機構が破損する不具合が発生しており、開発が遅れていたが、破損部や周辺部の補強を施し、再度の試験で妥当性が確認できたという。今後、分離放擲試験を実施したのち、フライト品を搬入する予定。

あとフェアリングの件は無事OKが出たらしい。なるほど、これなら確かに打ち上げ予定日も問題無く発表できますよね。

このときのISSは、日本上空を北西から南東に抜けている。同じ日には、南西から北東に抜けるパスもあるが、種子島でロケットを北東に向けて打ち上げることはできないため、打上げのチャンスは1日に1回しかないのだ。

通常の衛星の打上げではウィンドウが設定されるが、HTVの場合はそれがない。時間ちょうどに打上げる必要がある。H-IIBロケット試験機の打上げ予定日は9月11日で、翌12日から30日までが予備期間とされるが、この打上げ時刻は1日延期になるごとに20分程度早まっていくという。打上げが12日になった場合、時刻は1時40分頃になるそうだ。

打ち上げ時刻について。ISSのパスは2度あるものの飛行方位の関係上打ち上げのタイミングは1日1回に限られ、また打ち上げ時刻は1日ずれるごとに20分早まるらしい。どっちにしろモロ夜ですね。今から絞りの練習をしないといけません。

日の丸有人宇宙船 2020年に初フライト HTV改修で数百億円削減 [産経]

ちょ、ktkr

将来の月探査を視野に、宇宙航空研究開発機構JAXA)が開発を検討している日本独自の有人宇宙船の素案が10日、判明した。今年9月に初打ち上げが予定されている国際宇宙ステーション(ISS)への無人補給機「HTV」を“有人仕様”に改良して使用。最大4人の飛行士が地球周回軌道を飛行し、帰還用カプセルで地上に戻る構想だ。2020(平成32)年ごろの初飛行を目指す。

政府が6月に決定した「宇宙基本計画」では“日の丸有人宇宙船”の開発が検討課題とされ、約1年かけて結論を出すことになっている。JAXAの素案は、HTVの技術と打ち上げ機会を最大限に活用して開発を効率化し、巨額の費用に対する反発を抑える狙いもありそうだ。

宇宙船の大きさは直径約4メートル、全長約10メートルで大型バスに匹敵。地球周回軌道での飛行を想定し、宇宙空間では太陽電池パネルを展開する。数日から数週間にわたって実験や観測を行い、将来の有人月探査に向けた技術も検証する。

以前からISTSとかで構想案(pdf)としてひっそりとやってましたがいよいよ報道されましたか… 今年春の特別公開とかでもパネル出してましたしね。でも見出しの2030年って異様に遅いな!と思ったら平成30年と西暦2020年がごっちゃになってるんですかねw

追記:

紙面を確認したらやっぱ2020年だった。ついでに上の見出しも修正されたようです。

04年ごろから有人宇宙船を検討してきた開発チームは、日本実験棟「きぼう」建設に伴い、ISS参加国の協定で年1回、計7回のHTV打ち上げが義務づけられたことに着目。打ち上げを重ねるごとに機体を改良し、帰還カプセルや太陽電池パネルなどの開発につなげる構想を描いた。

HTVを活用するこの構想は、宇宙船をゼロから開発した場合に比べ、開発期間の短縮や数百億円規模のコスト減が見込めるという。

宇宙船を打ち上げるロケットは、HTV用の新大型ロケット「H2B」を土台に改良し、安全性を向上させる。ただし、飛行士の緊急脱出システム、生命維持装置などはHTVだけでは検証が難しく、別の機会が必要になる。帰還カプセルについては、まずISSから実験試料を回収できる無人カプセルを開発し、有人宇宙船構想につなげる計画だ。

どうやら打ち上げの度にHTVをグレードアップしていくようです。まあパネルや帰還カプセルなどの要素技術は当然持ってますし新規開発リスクは無い気がします。生命維持装置や脱出システムは流石に別ですが。H-IIBの安全性向上はH-X絡みでしょうか。しかしこれはワクテカせざるを得ない。