イプシロンロケット機体概要記者説明会 起こし

上記のリハーサル後に現地で行われた記者説明会の模様もNVSさんが中継してくださったので、そこから起こさせて頂きました。

森田プロマネ
今日はリハーサル、全ての手順の確認を一通り終えたところ。ロケット系・衛星系・射場系・後方支援など特に問題なく進行。天気が不順など合ったがランチャ収納などもありいいリハーサルだったと思う。試験機なので5月からの長いオペレーション、ようやくここまで。

試験機打ち上げ目的2つ。1つはSPRINT-Aを所定軌道に投入すること、イプシロンロケットの飛行実証。打ち上げ予定日はプレスリリース通り8月27日に設定。打ち上げウインドウは13:45〜14:30。M-V以来7年ぶり。内之浦での打ち上げとしては400機目。JAXA発足以来4機目。打ち上げ時の天候などの制約については26日午後ブリーフィングにて。
打ち上げ体制はJAXA統合のシンボルとしてやって来た。開発から運用までオールJAXA
機体はオプションでPBSを搭載。精密な軌道投入。
これまでの射場作業、4月のランチャー旋回試験。今日は本物を載せて行った。モーター輸送作業。頭胴部組み立て。6/1〜29まで各段別々に組み立て、6/30〜7/21まで電気系試験。1段目とそれ以外。その後全段結合し本日のリハーサル。
写真、赤いところに全国から寄せられた皆さんのメッセージ。
当日のカウントダウンシーケンス。6:40に打ち上げ可否最終判断、7:00ターミナルカウントダウン開始。9:45退避。10:45ランチャ旋回開始、X-70 自動カウントダウンシーケンス開始。
今回は4段構成で4段は既に衛星軌道に乗っており、PBSが衛星と一緒に最終軌道に向かうという形。1回目で近地点を合わせ、2回目で遠地点を合わせる。衛星分離は打ち上げから約1時間後、軌道確定は分離から10数分後。第1回目燃焼はクリスマス諸島あたり、第2回は南米上空あたり。
イプシロンではM-Vに比べオンボードカメラも多く4台搭載。1段ロケットの燃焼、2段分離、衛星の方を見て衛星分離やフェアリング分離を映す、3段の分離を映す。映像はメモリに蓄積し圧縮して送るのでリアルタイムでは無い。ダウンリンクは少しずつ遅くなる。

質疑

鹿児島テレビ:コレまでの開発を振り返り一番印象的だったこと、イプシロン打ち上げでどんな新しいことに取り組んでいきたいか、意気込みを
苦労というとほとんど忘れてしまった気がするが、M-Vから7年色々あり固体存亡の危機などもあったが一致団結しようやくここまでこれた。終わりは最高ということで成功を勝ち取りたい。これからのロケットは性能だけではダメでより効率的・高頻度に。これにより宇宙利用を活性化。おそらく次のステップでは世界で標準化。世界をリードしていきたい。さらに進化。追跡もモバイルに。
7年間の関係者の研究成果を披露する時が来た。全国からの宇宙ファンの応援。内之浦の街の人たちの応援。色々な人たちの夢を乗せて飛んでいく。成功の確信を持って打ち上げられるよう準備を進めたい。


―産経:イプシロンの目玉、自律点検。既に機能させて試験している? 打ち上げ時も? 1〜3段既存のSRB-A等を改良など流用しているが、点検で省略していることころは?
自律点検も今完全な姿では無いので、2号機3号機と繰り返し知能を増す。現在は成長過程、最終的な姿では無い。今回のオペレーションでは開発過程ということでエンジニアとともに作業してきた。発射の過程の点検では無く製造過程での点検。踏み込んだ後は簡易な、人工知能と言うよりオートマチックな自動点検。点検を端折っているということはあまりなく、どちらかというとM-V以来久しぶりということでしっかりやっている。今回は開発過程なので。


NHK:打ち上げシーケンスウインドウ内いつでも行える?
最終打ち上げ時刻はウインドウの前の方に設定。ほぼいつでも打ち上げられる。


東京新聞イプシロンの近い将来、2号機はERG、3号機はまだ? 経産省のASNAROについては。2020年まで何機打ち上げるか
小型科学衛星3号機はこれからの選定、イプシロンの3号機か4号機になるかはまだこれから。ASNAROは鋭意調整中。できればイプシロン3号機で。打ち上げは現状5年で3機というペースになっているが、現在低コスト化研究を進めている。近い将来なるべく早く開発に移行し2017年にデビューさせたいと思っている。ここからが高頻度という勝負の始まり。イプシロン2号機は高性能低コスト版の実証版。2号機3号機と段階的に進めていく。


NHK内之浦から打ち上げる意義
いくつかの意義。情緒的な点ではまさに固体ロケットにとって街の皆さんの協力は固体の発展に不可欠であり実験班と一体となり進めてきた。固体の聖地。ここに戻ってきたという喜び。もう1つ技術的な話、打ち上げシステムの革新。簡単にシンプルに、世界のロケットの未来を切り開く。コンパクトな射場などのコンセプト。内之浦は世界で最もコンパクトな射場でありイプシロンの開発にとって最適であったと考えている。


―フリー井上:間が空いたことで部品調達に苦労したことは。調達や設計に新しい考えを取り入れてコストを抑えたことは
部品については同じ部品を買えないなど代替部品選定やそれに伴う試験があった。流用といいながら開発が行われた最大の理由。あながち悪いことでは無く、より軽くより安い高性能な部品が手に入るようになった。打ち上げシステムの改革、次は製造プロセスの改革。コストダウンにはそもそもロケットの作り方を根本的に変えていかなければ。イプシロンに組み込まれている。頭胴部の一体成形。信頼性、工程。最初から一体構造にしようという。次のステップでどんどんやっていきたい。イプシロンではノーズフェアリングは2つ割りの構造だが、円筒形と円錐形部分を一体成形にした。モジュール化・ユニット化を進めていきたい。

No.1690 :イプシロンロケット試験機公開と記者説明会 [宇宙作家クラブニュース掲示板]

柴田さんも現地で取材されていますので是非併せてご覧ください。