八百五十七回目:プロ雀士に学ぶセルフブランディングの大切さ

麻雀を打つ人なら知っていると思うが、世の中にはプロ雀士なる職業の人たちがいる。
日本プロ麻雀連盟だとか日本プロ麻雀協会だとか最高位戦日本プロ麻雀協会というような団体があり、それぞれがリーグ戦を開いたり段位認証を行ったりしている。
各団体には所属のプロ雀士が居て、それぞれ競技にしのぎを削っている。
熾烈な実力社会がそこにあるっ・・・!




と言いたいところですが、トッププロの顔ぶれをみるとここ10年ぐらいあんま変わっていない。
それも当然、高度成長時代に急速に人気を拡大した麻雀だが、娯楽が多様化していくにつれて人気は減退、1978年には全国に36,173軒あった雀荘は2007年現在で14,555軒まで減少している(警察庁の統計より)。
麻雀業界も市場規模が縮小する中、既得権益を持った爺どもがのさばって硬直化している側面は否めない。




しかし、プロの顔ぶれが変わらないのにはそれだけではない訳がある。
団塊の世代のハートを捉えた当時のプロには最近のプロにはない魅力があるのである。
それでは、主要なプロ雀士の一部を紹介しよう。

”ミスター麻雀” 小島武

”カミソリ” 灘麻太郎

"東大式" 井出洋介

"死神" 伊藤優孝

"亞空間殺法" 安藤満

"最後の裏プロ" 荒正義

"大魔神" 飯田正人

ああ、この人忘れてた。プロじゃないけど。

”二十年間無敗” ”雀鬼桜井章一




さて、めんどくさくなってきたので、詳細な説明とかは省きますが、彼らが何故トップ雀士でいられるのかを考えてみよう。
そう、見た目にインパクトがあるのである(麻雀連盟のホームページとかをご覧ください)。
そして打ち筋に個性がある(小島の「純チャン三色」、鳴きで流れを変える安藤の「亞空間殺法」等)。
とはいえ、麻雀の打ち筋なんぞ分かるようで分からないものだ。
実は僕は大して麻雀に詳しくないので、正直名前を隠して顔を見せないで彼らが麻雀を打っていたとして、誰が誰かなんて絶対に分からない自信がある。
しかし、顔を見せて「あのツモがミスター麻雀の引きだ!」とか「あの鳴きが亞空間殺法だ!」とか言われると、そんな気がしてしまうものである。
つまり、彼らのキャッチフレーズと見た目から生まれたブランドが彼らの打ち筋に個性を与えているとも言える。
麻雀は反射神経がモノをいう激しいスポーツ、彼ら老人が若いプロ雀士より強いことはないと思うのだが、それでも彼らがトップ雀士でいられるのは、ブランドに裏打ちされた彼らの個性が視聴者のハートを捉えて離さないからだろう。




プロ雀士なんて仕事が儲かるはずがない。
恐らく彼らの収入は経営する雀荘からのあがりと、著作とか漫画原作とかの印税、テレビやゲーム、雑誌の出演料ぐらいだろう。
そうなると必要なのは実力ではなく認知度となる。
すなわちセルフブランディング活動によって、如何に他者との差別化を図り、認知度を高めるかが重要となる。
彼らは「見た目のインパクト」という天賦の才と、必死の努力で身につけた(?)「視聴者を魅せる打ち筋」によって自らのブランド価値を高めることによって、プロ雀士としての成功を収めたのである。




方や僕の勤しむ銀行業務。
売るものはお金で差別化がこの上なく難しい。
となると差別化を図る上では当然ブランディング戦略が重要となる。
もちろん会社のブランド戦略が一番重要なんだろうけど、担当者個人もお客さん・社内におけるブランド価値を高める必要があるんじゃないだろうか。
例えば「ヘルスケアの○○」とか「アセファイのオールバック」とか「ド変態の石川」とかいう風に、見た目のインパクトと専門分野の確立をして、キャッチフレーズが付くぐらいになっといた方が、仕事が成功する確率も高まるのではないか。
僕は坊主で見た目のインパクトを相応に稼いでいたけど、最近は髪が若干伸びてしまったので見た目のインパクトも足りないし、専門性に至っては全く足りない。
もっと修行して見た目も中身もインパクトのある男にならなければ。




と長く書いたけど、結論は「キャラは濃い方が良い」ってことですね。