メッタ斬り対談がアップ

されたようですね。「明日へドライブ」が候補に入ってるのを疑問に思うのは、かなり同感です。
http://nikkeibp.jp/style/life/topic/literaryawards/060112_4th/index4.html

またメッタ斬り古巣のエキサイトで、トヨザキ社長の「そんなに読んでどうするの?」刊行記念の二人の対談がアップされてます。トヨザキ社長のセーラー服時代から、ジュンちゃんへの毒舌まで、読みどころたっぷりで楽しめました。
http://media.excite.co.jp/book/special/dousuruno/

金春屋ゴメス(西條奈加/新潮社)★★★★

金春屋ゴメス
第17回日本ファンタジーノベル大賞受賞作。ファンタジー大賞ではあるとはいえ、設定はSFで舞台は江戸、人情味あふれる青春モノで、かつわりとまっとうなミステリ……? というなんだかエンタメ性の高い一冊であります。
近未来の日本、なぜか<江戸>が独立を宣言し鎖国するー。国際的には日本の領土でありながらも、鎖国をつらぬく<江戸>に対して日本政府はなぜか及び腰。<江戸>とは生活習慣から法律まですべて、江戸時代を完璧に復活させた国だが、鎖国していることもあって、日本人にしても<近くて遠い国>なのだ。そのため日本から<江戸>へ入国するのも希望者からの抽選で、その倍率はなんと300倍! その難関をあっけなく一度の申し込みで通ってしまったのが、本編の主人公である大学生の辰次郎なのだ。
竹芝埠頭から船に揺られて江戸に着いた辰次郎の身請け先は、なぜか長崎奉行。しかも親分は大盗賊も思わずびびる極悪非道な「金春屋ゴメス」だった…。初日からゴメスにぶっ飛ばされあぜんとする辰次郎だったが、そのゴメスから意外な指令を受ける。それは江戸に出現した致死率100%の疫病「鬼赤痢」についてだった。それはなぜか辰次郎の子供の頃の記憶がカギとなっているらしいのだが…!?
舞台が素晴らしいと思う。「いきなりタイムスリップして江戸時代に行っちゃいましたー」ではお話にならないが、この作品の舞台である<江戸>は過去の過去時代を完璧にコピーした、かつ近未来と同居している、不思議な場所なのだ。どこを見渡しても江戸時代なのに、その海をちょっと渡ればそこは高層ビルひしめくトーキョーが存在するという、時空がねじ曲がったような舞台設定が楽しい。
そして特筆すべきはキャラクター造形。辰次郎とともに日本から江戸へやってきた時代劇オタク・松吉や海外旅行マニア・奈美はもちろん、愉快で気持ちのいい金春屋の仲間たち……そこらへんの味わい深いキャラたちを一気にかすませるほどのインパクトを持つのが、ゴメス。主人公でもないのに小説のタイトルとなるのもうなずけます。昔からの子分にまで「厚顔無恥、冷酷無比、極悪非道で誉れ高い」とか「人間かどうかぎりぎりのところにいる」と評されるゴメス。しかもそれが●●●とは…。
ストーリーも上手い。<江戸>という舞台を上手く生かしているし。読んでて楽しかったです。
さてこれがデビュー作ですが、これをシリーズ化してくれると嬉しいかも。だって濃いよゴメスは。一作では語りきれないよ。続編書いてくれたらぜひ読んでみたいです。


著者を検索してみたらこんな記事が出てきました。
http://www.yomiuri.co.jp/book/news/20050802bk04.htm
わりと近くに住んでそうだ…。

宇宙舟歌 (未来の文学)(R・A・ラファティ/国書刊行会)★★★★★

宇宙舟歌 (未来の文学)
この人の作品を読むのははじめて。…なのだけど、おっもしろいねぇ。今まで読んでなかったのが悔しいくらいだよ。SFでこんなに笑えるのは「銀河ヒッチハイクガイド」以来!?
この作品はあの「オデュッセイア」を下敷きにしたものらしい。とはいえ「題名は聞いたことあるけど、中身はまったく知らん!」というわたしが楽しめるのだから、そこらへん気にしなくていいです。ま、知ってたらもっと楽しいかもしれないから、これを読んだ後、物語のアウトライン的なものがあれば読みたいなぁとは思いましたが。
物語はさながらジェットコースターのよう。ロードストラム船長とそのクルーたちが宇宙を冒険するのだけど、行く先々が思いっきり変な星ばかり。欲望の赴くまま過ごしてしまう星でだらけきって抜け出せなくなったり、愛想はいいのにやたら闘いを強要してくる巨人族となぜか死闘を演じたり、ギャンブルの星で調子に乗って大借金をしてしまったり、美しい歌声にだまされて女のペットになったり、二本足で歩く羊たちの為に戦ったり……? もうわけわかんない。わかんないんだけどでも、めっちゃめちゃ楽しい。
当初の目的地であった自分たちの世界に降り立ったラストもいいんだよね〜。やっぱそうじゃなきゃね、男の子は!なんて意味不明に安心したり。
しかもこれを読みながら思い出したのが「ワンピース」だし。太古の昔から男の子を夢中にさせるのは、無意味な大冒険なんですねぇ。あ、でも男の子限定の物語じゃないですから。一応(たぶん?)女の子(っていう歳じゃないけど)のわたしもめちゃめちゃ楽しかったんで。
未読の人はぜひどうぞ。ページを開けば頼んでもないのに勝手に、ロードストラム船長がとてつもなく危険でおかしい旅に連れて行ってくれます。