斜陽館に行ってきた。


 さて、斜陽館について。斜陽館とは、太宰が生まれる2年前の明治40年に落成した豪邸。太宰はこの家で生まれ、そして育ったのである。まさに聖地。


 きのうの日記にも書いたが、斜陽館は青森県津軽地方の金木というところにあり、青森からは約2時間かかる。そして八戸発夕方17時の新幹線に乗るには、お昼12時がタイムリミット。そんなスケジュールで僕は斜陽館に向かった。


 青森駅から朝8時発の臨時列車「海彦 山彦号」に乗った。臨時列車だからなのか知らないが、乗っている人間は僕以外全員いわゆるテツオさんで、電車が駅に停車するたびに車両を飛び出してアグレッシブにシャッターを押していた。


 そして五所川原からは、津軽鉄道に乗り継ぐ。1両編成のオレンジ色の電車、通称「走れメロス号」に揺られ約25分で金木に着く。


 駅からは徒歩7〜8分ほど。至る所に道しるべが出ており、見つけるたびに胸が高鳴り、早足になる。


 入館料は500円。津軽三味線の演奏を聴く900円のチケットもあったが、時間の関係上遠慮した。



 さすが大地主の家、お屋敷である。太宰は『苦悩の年鑑』の中で、「この父はひどく大きい家を建てた、風情も何もない、だた大きいのである」「何の趣も無い」と述べているが、風情と趣しかない家のように思う。1階の太宰治誕生の部屋ではテンションがあがったし、2階の襖や掛け軸は溜め息が漏れるほど素晴らしかった。


 この日は、「斜陽館」の他に、お向かいの観光物産館「マディニー」で、太宰らうめんを食べ、最後に「太宰の暮らした疎開の家」に立ち寄って帰ることになったのだが、まだ他にも太宰スポットはあったようだ。太宰がよく遊んだ「芦野公園」には、太宰文学碑が建てられ、毎年太宰治生誕際が行われているそうだ。また、太宰が通った小学校の通学路には、太宰の全作品名を記したプレートが掲げられている太宰治思いで広場」もあるのだとか。さすが地元である。この2つのスポットはさすがにまわる時間がなかったし、そもそもその存在も知らなかった。悔いが残るが、たった1度の訪問でコンプリートしてしまうよりかは、遣り残したことがあった方が、浪漫があっていいように思う。またいつか、まあ30年後とかになるのだろうが、津軽へ旅行に出てみたいと思っている。そう、そのときは6月19日の誕生際に参加してみたいものだな。

津軽の旅行は、五、六月に限る。津軽では、梅、桃、桜、りんご、梨、すもも、一度にこの頃、花が咲くのである。


太宰治津軽』より


太宰治記念館「斜陽館」
 【住所】青森県五所川原市金木町朝日山412-1
 【電話番号】0173-53-2020
 【入場料】500円
 【開館時間】[5月〜10月]8:30〜18:00 [11月〜4月]9:00〜17:00
 【休館日】12月29日


◆五所川原市 太宰治記念館【斜陽館】