クリッピングとメモ

2016-09-27 はれ。火曜。

[]『楊貴妃』みた。溝口の珍品、というポジション?

溝口健二 大映作品集Vol.2 1954-1956 [DVD]

溝口健二 大映作品集Vol.2 1954-1956 [DVD]

つんどく状態でハードディスクに録画されていたのを見る。溝口健二監督で、大映と香港の映画会社との国際合作映画、なのだけれど、唐代の大時代劇のスケール感がゼロで、なんかたんなる日本の撮影所のセットの中で、慣れない不自然な中国の書割を立てて、慣れない不自然な唐代コスプレをして、京マチ子とか森雅之とか山村聡とか杉村春子とかがミニコント的な?芝居をする1時間半ほどの作品。これはやはり、大作、というのではまったくなくて、やはり珍品というポジションじゃないかなあと。

[]通勤電車で読む『図解雑学ゲーム理論』。よい本だというので。自分的に納得感があったのは、囚人がなかなかでてこなかったのがよかったのかも。

ゲーム理論 (図解雑学)

ゲーム理論 (図解雑学)

ゲーム理論というのは、何度か入門の入門みたいな本を見てみたりしたけれどいまいちピンと来なくて(http://d.hatena.ne.jp/k-i-t/20100525#p1)、なんかうまくいってなかったのだけれど、この本がよい本だということなので見てみた。で、なるほどよかったかもっていうか、ゲーム理論に対するしっくりいかなさがちょっと減ったような気がする。それは、良い本だよという先入観を与えられたからというのが最大の理由だろうけれど、まぁあと、自分が今までの本でゲーム理論に対してスッと入っていけなかったのがたぶん「利得」の扱いで、なんか勝手に利得を「3」とか「−1」とか決めちゃって勝手にマトリックスを描いちゃって、それで「分析」もへったくれもないだろう、そんなもんきみのさじかげんやろうが、というかんじでイライラするところから入っていたってのがある。それが、この本だと、いろいろ出てくる例でだいたい、「利得」というのが実体的な「金額」だったり「顧客数」だったりするので、まぁそれならわかると。

それで気づいたのだけれど、この本で「囚人のジレンマ」の例が出てくるのは前半基礎編の一番最後、しかも囚人そのものが出てくる例はちらっと言及されてるだけで多くは環境問題の例(利得は金額で表される)で説明されてる。これ、なにげに自分的にはすっきりいくわけで、なぜかというと、そもそも囚人の出てくる例というのは、自分だけ自白したら無罪とか相手だけ自白したら懲役25年とか、両方黙秘なら懲役1年、両方自白なら懲役5年とか、その年数を利得の点数にしているのだけれど、なんかいかにも適当に作ったっぽい数字だってのもあるし、また、懲役1年とか懲役5年とか25年とかいうのは実体的な数字というわけでもないかんじがして、つまり25年は5年より20年多いですとか5倍ですとか、そういう加減乗除ができる数字なかんじがしない。もっと質的な違いを表現してるような気がして、そういうものをマトリックスにしても意味ないかんじが直感的に、するわけである。なので、いままで読んだり触れたりしてきたゲーム理論入門の本とか文章とかは、いきなり囚人が出てきて無意味にみえる利得マトリックスを振り回して囚人のジレンマだとか言って、ドヤ顔されたあたりで相当イラッときて、そのあとどんどん応用とか言って、「ゲーム理論は何にでも応用できます」みたいにドヤ顔で、漢軍が「背水の陣」を敷いて趙軍が攻撃するとき漢軍の利得が「100」で趙軍の利得が「−100」ですみたいな、その数字の根拠はなんなんや、そもそも単位はなんなんや、みたいな例をあれこれ出していちいちドヤ顔するような、そういう印象があったのだけれど、この本は囚人がなかなか出てこなかったのがよかったのかも。なんか、後半の発展篇のほうまで、まぁ自分的にはゲーム理論家になるつもりもないのでさらーっと読んだだけにせよ、とりあえず「それはそうなるやろうな」というぐらいの納得感がなんとなく持続したまま読み続けられて、あたかもなんとなくわかったかのような読後感を得たのは精神健康面でよかった。

2016-09-26 はれ。月曜日。

[]『なぜあなたは論文が書けないのか?』読んだ。

なにかの広告かなにかで見かけて読んでみた。読んで気づいたのは、著者の人は医学の人で、出版社もたぶん医学系、なので出てくる例も医学の論文、ということで、そのへんは自分や学生さんの卒論に直接あてはまるということにはならない。のだけれど、理系の論文の書き方ということで、まぁ「理科系の作文技術」的に構造が明快で、それでじつは自分自身が学生のころに「論文の書き方」をさいしょに習ったのは心理学の実験系の卒論のガイダンスかなにか(心理の授業も覗きにいっていたのでたぶんそのとき)で、つまり自分の中で論文のイデアというのはじつは実験系の論文なのだった。なので、いま学生さんにもそのように教えたり卒論指導していたりするわけで、まぁその意味では、思ったよりは遠くないことが書いてある本でもあった。とくに、じっさいに論文の構成に従って書き方の呼吸みたいなものを、架空の大学院生との問答みたいな形でレクチャーしているパートは、なかなかよくて、たとえば「実験結果を淡々と客観的に述べる」のが建前としても、ホンネとしてはやはり自分の言いたい結論に向けてきちんと方向付けた書き方をするほうが読者に親切なわけで、たとえばそのへんの呼吸について書いていたりするので、共感して読めた。

2016-09-21 小雨の水曜日。授業がはじまった。

[]通勤電車で読む『もし京都が東京だったらマップ』。

とうとう授業がはじまってしまったので通勤電車で。以前、Webで拡散されてたのを見たことのある(http://chicamo.jugem.jp/?eid=72)、京都の各エリアを東京の各エリアに例えたマップの、作者の人が書いた本。マップだけだと書きっぱなしってところもあるので、本でその背景込みで説明しているかんじ。で、著者の人は京都生まれで建築を勉強してから東京の不動産ベンチャーに就職してシェアハウスを作る仕事をしつつ5年ほど住んで、それから京都に戻ってきて不動産やさんをやっていると。そういうわけで、不動産屋さん目線だと確かに、街とかエリアごとの感じをぱっと捕まえることは必要だし得意だろう。そこから、京都駅=品川駅とか、北山=青山・代官山とか叡山電鉄出町柳元田中〜茶山〜一乗寺がJR中央線沿線の中野・高円寺・阿佐ヶ谷・荻窪に該当するとか、まぁそのたぐいの見立てが出てきて、へえそうなのかというかんじだけれどさしあたりおもしろい。巻末に三浦展との対談が載っているけれど、三浦展は「京都って高円寺に似てるよね」ぐらいの目の粗さで見ていて、そのあたりはやはりこの著者の人のほうがきめの細かい感覚でマッピングしている。

2016-09-20 台風で見学実習が延期。火曜日。

[]『ワイルドフラワーの見えない一年』。仕掛けで勝負する松田青子の超短編集。帯にいわく「私たちの思考を貫く50の物語」。

ワイルドフラワーの見えない一年

ワイルドフラワーの見えない一年

某日、研究会帰りに地下鉄駅から地上に出て、ちょっとあざとく文化的な本屋のあるビルに。で、新書とマンガと、あとこの本が売れていたのでこの本を。

もともと某雑誌の評論から『スタッキング可能』に流れて読んでみて(http://d.hatena.ne.jp/k-i-t/20150426#p1 http://d.hatena.ne.jp/k-i-t/20151110#p1)覚えた松田青子という人の、超短編集。以前、この本にも収められている超短編のシリーズが掲載された文芸誌をたまたまぱらぱらと見たことがあり、まぁそのときは、なめてるな、と思ったわけだけれど、まぁそれはそれ。『SuddenFiction』などという本も昔あったわけで、嫌いではなかったわけなので、こういう超短編の小説はそれはそれでアリとは思ってるのだった。で、この本、やはり仕掛けで勝負する松田青子、という当初の印象は大枠かわらず、まぁ仕掛けと少しの批評性、というかんじ。印象はわるくなかった。

2016-09-14 くもったり少し降ったりの水曜日。散髪。