認知症は、認知障害と同一ではない点に注意。
「痴呆」に替わって提案された新しい呼称。
現在では認知症の治療薬として、「アリセプト」などが使われている。
定義としては、「成長に伴いいったん獲得した能力を、脳に障害を負う事で不可逆的に失う症状」を指す。
一般的に、年齢を重ねると血管が硬化・劣化して脳血管型認知症(いわゆる「脳卒中」←脳梗塞・脳出血)を生じる例は昔から確認されていたが、20世紀後半からは社会全体の長命化に伴ってアルツハイマー型(認知症報告例の割合の、じつに半数以上を占める)・レビー小体型の認知症患者が多く報告されるようになった。
アルツハイマー型では『記憶や判断能力・計算や筆記』などの社会的能力が失われ、一方でレビー小体型は被害妄想や幻覚や転倒が典型的な症状だが、どれも「まとまりのある話ができなくなる」・凶暴性の発現や不潔行動・異食(ティッシュなど食べ物でない物を口に入れる)が特徴的な行動として挙げられる。最終的には寝たきりとなり、発症して約10年以内に死亡する例が大半である。
平成12年以降は、認知症患者はケアマネージャーによる認定に基づき要介護度(現在では軽度〜重度で1から5までの段階が設けられ、受けられる医療保険サービスや『老人ホーム』への入居優先順位などが段階ごとに異なる)認定が受けられるが、いずれにせよ要介護2以上の症状は「24時間体勢での看護・監視」を行う必要が生じる事を意味し、介護に携わる患者の家族は医療・心的負担が増したり『介護離職』など労働力の喪失を強いられるケースもある。
中には『老老介護』(配偶者間では、80代が同年代の配偶者の介護を行わざるを得ない例もある)や、極端な例では『介護疲れ殺人』に至る痛ましい事件も近年ではしばしば報じられる。
また、こういった認知症患者は判断能力が弱っているため、そこへ付け込む悪徳商法も社会的問題となっており、こうした事態から患者や財産を守るために家庭裁判所が認定を行う『成年後見制度』などの法整備や、これら法的制度の社会への認知・浸透は急務であると言える。
識者からは、「認知症は生産活動を阻害している大きな要因の一つである」と指摘する声もある。