(1)シカゴ

7時前に家を出てみたはいいが、財布に20ドル札しかない。これでは学外のバスには乗れない! と一時は途方に暮れたものの、とりあえず後に来るスクールバスで地下鉄駅まで。そこで崩すことができ、予定からは若干遅れながらも、空港にたどり着けた。

これまでは手堅く計画を立てて、それをこなせないという状況が続いていたが、今回は計画する時間があまりとれず、ハプニングもあり、結局消化不良に。というか、1泊もしないのに無理だったのだろう。
まずは空港。オヘア空港というのは世界有数の空港ということで、使い勝手に優れていると思いきや、Buggage Claimなしでダウンタウンまで1時間半近くかかる。遠いだけでなく、案内表示も途切れ途切れ。空港内のトランジット交通からエルに乗り換えるのだが、表示が少なく、表示だけではたどり着けない可能性アリ。ウロウロしだす前に人に聞くか、地下に潜るべし。地下鉄だけでもかなりの時間乗るのだが、高速の横とか地下とかで、見るべきものが何もないのも苦痛の一因となった。アムトラックより飛行機が安かったので飛行機にしたが、時間が限られている状況を考えると裏目に出てしまった(と少なくともこの時点では強くそう思った)。

ユニオンステーションからシアーズタワーを越えて美術館へ。この通りをはじめ、街の一部はマンハッタンに匹敵するほどの高層ビルを擁している。マンハッタンに比べると全体に新しいビルが多く、トロントや、ややもすれば日本にも近い感じがし、割と早歩きで通り過ぎていいような街。ただ、京都で十字路に立つと三方、四方から山が覗けるように、シカゴでは高架鉄道を見ることができる。
高架鉄道"L"は空港からの路線はそうではなかったが、郊外でも効果を走ることが多く、ダウンタウンを走るさまは若干、銀座線を彷彿とさせる。鉄道素人の僕から見るその特徴は、高架が鉄柱だけでできていて、駅はほぼ全ての駅で板張りで日本の私鉄のもっともマイナーな駅に匹敵するくらいの質素さであることと、急な湾曲。こうも長い距離を高架で走り続けるとなると、道路に沿わせるしかないのだろうが、ダウンタウン以外でもよくくねっている。

美術館から、その隣のミレニアムパークをぶらぶらし、エヴァンストンへ。ノースウェスタン大学を目指して歩いてみようと駅を出るが、metraでは最寄だが、Lだと2駅も前になるDavis駅で降りてしまいすっかり時間を使ってしまい、大学に辿りつくや否や、帰らざるをえなくなった。
エヴァンストン行きは散々だったわけだが、この足として乗った鉄道metraというのもなかなか味がある。長距離線のようで、なんといっても全車両がダブルデッキ(駅でタブルデッキが15ホームに整然と並ぶと壮観!) 。その2階は、窓に引っ付くようにボックスが左右についているのだが、その真ん中に通路がなく、1階の通路が吹きぬけ状態になっている。2階から、そこに足を投げ出してPCを使っている人が多く、他の地方の人には異様な光景だろう。この電車もよくくねっていて、時折、前の車両と4割ほどズレることがある。

ノースウェスタンからはピザ屋。もはや旅といえば、美術館とピザのような・・・ ここで混むかと思ってエヴァンストンを早めに打ち切ったのだが、すんなり消化。残るはシアーズタワーだけだとダウンタウンに戻ると、警備員が道を遮断していた。なにやらヘリの街中での訓練にぶちあたったようで、ひたすら付き合わされた(上の写真はビルの間をすり抜けるヘリ)。10時のアムトラックとタワーを両立できるか気をもんだが、ギリギリで両立。かえって、タワーが空いていて並ばぶ時間が少しで済んだのかも。それでもアムトラックに乗り込んだときには乗客のほとんどが既に乗り込んでいて予想通りの混み具合。2席を確保することが禁じられていた。
僕が鉄道好きだったら、満足できたのかもしれないが、消化不良の旅となった。しっかりと計画を立てていれば、という感じ。

The Art Institute of Chicago

ゴッホの『自画像』やエル・グレコの『聖母昇天』、スーラの『グランド・ジャット島の日曜日の午後』など、著名な作品を多く所蔵し、その他でも粒ぞろいで充実している。ミレーの作品が充実していた。葛飾北斎喜多川歌麿の作品も保有しているほか、数はさほど多くはないが、かなり著名なものがいくつかある。代表的なのはグラント・ウッド『アメリカン・ゴシック』のようだ。残念ながら、ホッパーの『ナイト・ホークス』がボストンへ貸し出されている他、ウォーホールの『毛沢東』、北斎の『神奈川沖浪裏』が展示されていないのが残念。
代表的な作品をフロアのわかりやすいところに置いたり、画家ごとに同じ部屋に割とまとめて置かれていて、とても歩きやすい。モネの"Grainstack"を壁一面に6枚並べて置いたり、北斎歌麿を西洋画のコーナーで、それらの絵をモチーフにした作品と並べるなどの工夫も見られる。ウェブサイトの"colletion"コーナーに展示場所も細かく載っているので、効率的に回ることができる。
この建物の側面の上部に画家の名前が刻まれていて、北側にVan Eyckとあったので、エイクを見逃したのかと後悔したが、調べてみると、所有していないようだ。
すごく開放的で子供が多かったのも印象的。フラッシュOK(たぶん)、荷物検査、持ち込み制限なしとラフなのはいいが、警備員が少ない分、動き回っているのが少し鬱陶しい。

Millenium Park

シカゴの新しい観光スポット。美術館の北、真横に位置するのでついでに行け、オブジェを楽しむ性格から、美術館の別庭のような感じ。
代表作Cloud Gateを身ながら酒を飲みながら食事できるグリルがあったり、ベンチで軽食もとれる。そこで放心する目的でなければ、楽しむのにさほど時間はかからない。しかし、Cloud Gateが雲をモチーフにしていたとは気付かなかった。

Spacca Napoli

ナポリピザの店。
LだとBrownのDamen、もしくはRedのWilsonから徒歩15分ほど。ダウンタウンからは4,50分といったところ。「真のナポリピザ協会」認定店。236番目と、割と最近の加盟のようだ。にぎやかな店内がいかにもピザ屋っぽく、外で食べることもできる。僕が食べたのはBufalinaという、マルゲリータのチーズとして水牛を使っているもの。モツァレラチーズというからには水牛が基本なのだろうが、アメリカでも、普通のマルゲリータは牛乳を使うのが普通のようだ。一見してチーズの量が多く、ソースが真っ赤でなくベチャついているとわかるが、トマトソースをミルクで乳化させたようになっていて(邪道なのかもしれないけど)、それがチーズの美味しさとともに絶妙な味になっている。この店では、カットしていない状態で出されるので、いちいちナイフを使って食べなければならないので、初めは面倒だったが、かなり細く切って巻いてしまえば、かえってスマートに食べることができる。デザートに頼んだティラミスも美味しかった。基本的にピザに前菜があるくらいだが、ビールが少なく、ワインは割と揃えているようだ。
店は割と大きいが、よく気がつき気持ちよく応対できる店員が多くいるので、勝手がわからなくても気分よく食事が楽しめる。6時半についた時には既にかなり賑わっていたが、7時過ぎても待たずに席につける状態だった。オススメできるお店だった。

Sears Tower

生き馬の目を抜くように高層ビルが建っているので、もはや世界一の高さの展望台を有しているわけではないようだが、
シアーズタワーより東のビル近辺には超高層ビルが立ち並びそれを真下に見下ろすことができるが、その他のブロックはかなり低いことが、このタワーに登ると即座に分かる。そして、その低い地域が遠くまで広がり、道沿いの電灯や建物のあかりで、単色ではあるがとてもきれいに見えるというのも、シカゴにあるこのタワーの見どころ。展望台といっても外気に触れることができないので、写真をとろうとするとガラスに屋内が映り込んでしまうのが難点。エレベーターが、他の高層ビルのように上に引っ張るような感じを与えず微妙に揺れながら昇降するのが少しスリリング。