「どうぞよろしくお願いします」(サンモールスタジオ)


SAKASU ZAKASU 第一回公演
「どうぞよろしくお願いします」
(脚本:松坂早苗、演出:福島三郎)

を見た。8月29日(土)の夜公演で、午後7時開演。開演前のアナウンスによれば、上演時間は、1時間50分(休憩なし)。


サンモールスタジオでの観劇は、はじめて。シアターサンモールのすぐ手前(新宿方面寄り)、階段を下りて行き、下りきるとすぐに客席の入口といった感じ。ロビーといっても受付程度で、ひと休みするようなスペースではないので、そのまま客席へ直行。(座席数は100ぐらいだったのでしょうか?)

二つ折りのプログラムの、キャスト&演出家のコメントに、例外なく、「どうぞよろしくお願いします」が使われているのは、お約束なのか、あるいは偶然的必然か…

この芝居のタイトルは、「どうぞよろしくお願いします」だが、チラシ等を見るに、かぎ括弧も含めてタイトルになっていると思われる。


セットは小岩家の居間で、客席からは見えないが、上手側奥に台所、下手側に玄関があるつくり。玄関に入ると、廊下と2階への階段があり、すぐ右手が居間、という構造らしく、客席からは、居間を通して2階へ上がる階段の一部が見える。


真彦(恩田隆一)と町子(松坂早苗)夫妻は子どもが出来ず、不妊治療をしている町子をよそに真彦は浮気をしている。同居している真彦の父・四朗(辻親八)は、密かにフィリピン人ダンサーとの結婚を考えている。婚約者の卓也(梅里アーツ)を四朗に会わせるため実家を訪れた美空(春日井静奈)は、卓也が会社を辞めて農業をはじめようとしていることを知らずにいる。真彦の同級生で酒屋を営む田村(権藤昌弘)は、娘のほのか(春山椋)を連れて妻が家を出たという。

いかにも日本的な家を舞台にした家庭劇といったつくりだが、主眼は、上記の4組のペア(夫婦だったり、婚約していたり、結婚を考えていたり)が抱えている問題を浮かび上がらせて、それぞれが自分たちの関係を見つめ直すという展開にある。それでいて、4組の男女の全員が舞台に登場する訳ではない、という手法が、なかなか洒落ている。

日常と地つづきのひとこまであるはずのドラマを、台風という設定を上手く使って、日常からどこか隔絶した時間の出来事のように見せていたのが効果的で、職業差別、慈善活動、食の問題、自治会といった微妙にして、だれもがどこかで関わっていそうな問題を織り込んでいながら、観劇後に嫌な気持ちが残らないさじ加減が、上手い。

劇中で気になったり、どうしてこういうことをさせるのだろうと思うようなことに、ちゃんと落ちがついていたのも、面白かった。(面白いといえば、逆立ちしたのを見てあばれはっちゃくというのが、個人的にはウケた(笑))


終盤に、父親を迎えに現れるほのかは、舞台の空気を換える外からの風のような役割りで、卓也へのリアクションなど、おもしろい。(せっかくのおいしい役どころだから、もっとおいしく演じてしまってもいいような気もした)

田村ほのかちゃんは、学校では、生きもの係なのだ、と。

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