白石嘉治さん講演会 (4/11)


明日、白石嘉治さんの講演会があります!!
会場に来られないかたは、ユーストリーム中継もやっていますので、以下のURLをご覧ください。

http://ustre.am/WupH


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イベント詳細
日時 4月11日(木) 18時半開場、19時スタート(20時過ぎくらいまで)
場所 東池袋 りべるたん
最寄り 有楽町線東池袋駅4番出口
※カンパ制 500円(飲み物食べ物つき)

当日講師
大学講師 白石嘉治さん(著書『不純なる教養』 講演会『学費は無料であるべきだ』など)

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それからもう一つ。

先日、ゆとり全共闘のみなさんと、日本学生支援機構にちょっとした要請文をもっておしかけました。その回答がまいりましたので、こちら側からの反論もふくめて、講演会の資料がてら載せておきますね。

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① 要請書


独立行政法人 日本学生支援機構
理事長 遠藤勝裕様

学生をより支援するための奨学金改善要望書
3.22奨学金抗議実行委員会

 始めにこれまで独立行政法人日本学生支援機構(以下、支援機構)様の尽力により、非常に多くの学生が学ぶ機会を得てきたことに強く敬意を示します。
 ご存知のことと思われますが、世界160カ国が加盟している中で日本を含むわずか2カ国のみが留保してきた国際人権規約のA規約(社会権規約)第13条の留保が昨年撤回されました。国際人権規約のA規約(社会権規約)第13条には高等教育の無償化が記されており、日本は1979年以降、国際的な圧力が強まる中でも長きに渡って留保という立場を貫いてきました。
 留保を撤回したといえど、長年積み上げられた教育に対する国家的姿勢のもとに日本の教育の常識は世界的常識とはいまだかけ離れたところにあります。そして、この事は支援機構様の行っている奨学金貸与事業にも当てはまります。世界的に見たときに奨学金とは給付のものを指し、支援機構様の行っている奨学金事業は学生ローンに分類されるものです。奨学金という美名を用いて若者に借金を負わせるという現状は今すぐにでも改善されなければならないという強い危機感を持っています。
 留保を撤回した今、名実ともに世界基準の教育へと歩みを進めるときがきており、その中で支援機構様がどのような姿勢でいるのかということはこれまで以上に重要なこととなります。教育がすべてものの権利となるように、支援機構様には今後世界基準の学生支援の方向へと共に舵を切ることを望むとともに、以下の3項目を要望いたします。

【要望項目】
1 世界基準である給付型の奨学金の設置へと歩みを進めること
2 現在の奨学金貸与事業は世界的には奨学金とは呼ばず、内実は学生ローンであることを明記すること
3 返済の滞った者の個人情報をブラックリスト化しないこと

以上の要望に対し、4月12日までに文章による回答を求めます。

3.22奨学金抗議実行委員会

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② 日本学生支援機構からの回答書


平成 25 年 4 月 5 日
●●●●殿
独立行政法人日本学生支援機構

先般本機構に提示された要望書につきお応えします。本機構は法令等により定められた 諸制度に基づき学生の支援を行うために設置されている文部科学省所管の独立行政法人で す。実務を担う私共としては日々学生の皆様方と実務を通じ接しており、またホームペー ジやコーノレセンタ ー などへの様々な声も承知しているところです。本機構ではそうしたこ とに対し、可能な限りお応えをしてきておりますので、そうした観点から要望事項につい てその考え方を下記に記します。

要望項目 1について
給付型奨学金制度につきましては、機構に寄せられる多くの声からもその必要性を認識しています。このため文部科学省では平成 24 年度予算の概算要求の際に給付型奨学金制度 の新設を盛り込みましたが、厳しい国家財政状況の折、残念ながら実現しませんでした。 一方で、経済的に厳 しい状況にある奨学生の将来の生活を守る趣旨から一定の所得が得ら れるまで返還を猶予する「所得連動返還型無利子奨 学金制度J が導入され、現在、約 3 万 人がその適用を受けております。
また、現行制度においても大学院生の無利子奨学金の業績優秀者に対する返還免除の制 度が設けられております。
なお、大学においては授業料免除や減免等の実質的な給付支援も行っています。

要望項目 2 について
現在の第一種奨学金、第 二種奨学金は共に貸与制ですが、民間金融機関で行っているよ うな、貸与希望者の返還能力を判断して貸し出しを行う、いわゆる「ローン」とはその内 容が異なります。まず第 一種奨学金は無利子です 。第二種奨学金についても在学中は無利 子であり、返還に入ってからのみ 利息が発生し、その金利も法令により 3%が上限と定めら
れ、現在は利率国定型で1.08%、利率見直し型で 0.20% と低い水準にあります。これは教育施策として第 一種奨学金、第二種奨学金ともに国費が投入されているためです。
さらに卒業後の経済的状況などを考慮し、返還の猶予の措置などセーフテイネットが設け られています。これらの点もいわゆる「ローン」とは異なるものです 。

要望項目 3 について
個人信用情報機関への登録は平成 22年度から導入しているもので、返還を促すと共に奨 学生が多重債務者になることを防止するものです。奨学金の返還中、登録の対象者は延滞 3 か月以上の延滞者ですが 、これについては奨学金の申込時に「確認書兼個人信用情報の 取扱いに関する同意書 J を提出していただいております 。本機構としてはこうした事態に至らないよう 3 か月以上の延滞に入る前に再三の注意喚起をするなど慎重に事務を行って います。それでもなお 3 か月以上延滞した場合に同意に基づき登録しています 。
本機構が、貸与した奨学金の返還につき色々とお願いをしていますのは、返還金が未来 ある次代の奨学生への貸与原資になっているためです 。こうしたことを理解していただけ ればと思います 。
一方で、様々なご事情により、奨学金の返還が困難な方もおられます 。こうした方々に対 しては、引き続き前述のセーフテイネットの活用等を通じてきめ細かく対応していきたい と考えています。
なお、持参された「 資料日本の奨学金 J にありますように、諸外国の奨学金制度に私共 が学ぶべき点が多いことも承知していますが、各国の進学率、人員さらには学校の種類な ど社会的枠組がそれぞれに異なっております 。因みにわが国の奨学金制度では、専修学校(受給者 18.0 万人)、工業高等専門 学校(同 0.7 万人)、短大(同 5.7 万人)、大学(同 96.0万人)、大学院(同 8.7 万人)計 129 万人(平成 23 年度)もの学生が奨学金をベースに勉 学に励んでいるのが現実です 。この現実を踏まえ、制度改善に向け引き続き多方面に働き かけていくことを重ねて申し上げます。

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③ 回答書にたいする反論


【ちゃんと】日本学生支援機構からの回答を解説!!【支援しろ】


皆様、こんにちは。
私たちが提出した要望書に対する日本学生支援機構(支援機構)からの回答が届きました。

回答書の文面を見ていただければわかると思いますが、その回答はホームページに書かれている内容を繰りかえしただけのものです。私たちの、誠心誠意、懇切丁寧に、時に怒りを前面にした「ちゃんと学生を支援しろ」という抗議に対する回答は内実ただのコピペです。

これだけでも激おこぷんぷん丸ですが、ここでは支援機構が述べている「支援」の不備を指摘してするために回答を一つずつ検討していきます。日本は現在爆弾低気圧が猛威を奮っていますが、ご一読いただけますと幸いです。

一、給付型の奨学金を創設すること
 支援機構側はここで要は給付型の奨学金は財政難で導入できないということを言っています。これだけでも相当にひどい話です(繰り返しになりますが「奨学金」とは国際的には給付のものを言います)。しかしそれだけでなく、所得連動型の奨学金を導入したではないかと何故か「立派に支援してるだろ」オーラを出してきています。

所得連動型の奨学金について説明を入れておくと、この制度は卒業後年収三〇〇万円以下であれば、無期限で返済が猶予されるというものです。これだけ読むと確かに立派な「支援」のように見えます。

しかしちょっと待ってほしい!!

この制度が適用されるのは二〇一二年度以降の入学者で、かつ第一種奨学金(無利子)を借りた者だけです。要は支援機構の長い歴史のごく一部のさらに条件を満たした極々一部のみに適用される制度です。


私たちは、あくまで給付型の奨学金の導入を求めています。
しかし、もし今後、学生支援機構が所得連動型の奨学金に力をいれていくというのであれば、ましてやそれが「経済的に厳しい状況にある奨学生の生活を守る」ためのものだというのであれば、当然、いま現在経済的に厳しい状況にある奨学生にたいしても、所得連動型の返還制度が適応されてしかるべきだと考えております。現行制度では、返還猶予は五年間だけ認められておりますが、この五年間という期限を撤廃し、低所得者にたいする無期限の返還猶予を認めることを切に求めます。


二、現行の奨学金がローンでしかないと認めること
 支援機構は、現在の第一種、第二種奨学金は、返還猶予などの「セーフティネット」があるから、ローンとは呼べないと述べております。

結論を先に述べると「セーフティネット」があろうがなかろうが、支援機構の奨学金はローンと大差ないものです。

第一点目でも述べたように、現行制度では返済猶予は五年間に限られており、五年を過ぎると容赦のない取立てにさらされ、現在年間三〇〇〇件以上の返還訴訟が裁判所に申し立てられています。

一体これのどこが「セーフティネット」なのか。

そもそも、「セーフティネット」への年度ごとの申告によって、奨学生が受ける精神的負担について、学生と「実務を通じて接し」「様々な声も承知している」日本学生支援機構はどう考えているのか。

本当にこれがローンではないのか、学生支援と言えるのか、コピペ回答ではなくきちんと考えていただきたい。


三、奨学金返済滞納者のブラックリスト化をやめること
 これもまたひどい話ですが学生支援機構は奨学金返済延滞者のブラックリスト化をやめるつもりはないとのことです。

その理由として、奨学金を借りる前に同意にサインしているというのが、そもそもこれに同意しなければ、奨学金を借りることはできません。
経済的な理由で進学が困難な若者の前に支援を称して現れて「この書類に同意すれば進学する分だけのお金を貸すよ」と迫る。そして「支援機構のお蔭で大学に行ける」「次代の奨学生への貸与原資のために返済しないとブラックリスト化する」と抑圧する。

一体これのどこが学生支援であり、教育なのか! 本当に下劣な行いだと思います。


さらにこれは二点目とも関係しますが、ブラックリスト化が前提になっている以上、いわゆる「ローン」となんら変わるところはありません。さらにいえば、ローンである自覚がないままに、学生に奨学金という名の借金を貸付け、その将来を返済という軛で拘束するものである以上、ある意味では、より悪質な借金といえます。現行の制度のままであれば、やはりローンの文字を明示するべきであると言えます。


私たちは、あらためて日本学生支援機構が先の三つの要望を即時実行することを求めたいと思います。