さいたま市大宮盆栽村&大宮盆栽美術館 〜盆栽の楽しみ方〜

盆栽村

さいたまは大宮から、鉄博に行きたい気持ちをぐっとこらえて東武野田線に乗り換え、大宮公園駅で下車、ようこそ盆栽ワンダーランドへ!

盆栽屋さんが軒を連ね、多くの植木職人・盆栽師が住む一帯。
なんでも昔東京(千駄木や染井野あたり)にいた植木屋さんたちが、震災や戦火を逃れ、良い土と水があり、都心から程よい距離の大宮に根を下ろしたんだそうな。

先生に案内していただき、盆栽園を巡る・・・が、盆栽屋さんは殆どが写真撮影禁止。。

なので名前だけ。(HPがあるところだけリンク)


九霞園さんは、外から一見すると普通のおうちのようなのですが、さにあらず。吉田茂元首相やらの歴史上の要人や皇室ゆかりの盆栽なんかがさりげなくあったりするすごいところでした。


清香園さんは、女性の若手社長がガンガンやっているかんじで、庭園もきれいでオシャレ。有料ゾーンを分けてつくっていたり、盆栽教室に力をいれているようで(青山にも教室をもっていたり)、ビジネスとしてうまくやっているなあという印象。(盆栽で収益を考えたらやはり教室開催がいちばんなのかも・・・)


盆栽というとカミナリオヤジさんのような人が「コラーっ」っていうかんじで怖いかと思ったけど、そんなことはなくて、皆さん親切。
どこの盆栽園さんも質問をするととても丁寧に説明をしてくださり、ずっと「ほー」とか「へえー」とか唸ってた気が。。

大宮盆栽美術館


ひとしきり村を観て回ったあとは、さいたま市大宮盆栽美術館へ。

こちら、今年3月にオープンしたばかりの、世界唯一の公立の盆栽専門の美術館だそうです。

ここでもキュレータの方が特別に館内レクチャーをしてくださいました。(先生のちから?)

お話によれば、市が「美術館」と銘打って構えるにあたって、「アート」としての位置づけや役割、そしてそれを来場者に「見せる工夫」をしている・・・とのこと。コンセプトがしっかりしていて、広さや作品の点数は多くはないものの「盆栽美術館」の名に相応しいアカデミックな施設でした。

通常屋外で管理する盆栽を室内展示するため、毎日展示スペースから出し入れをするのだとか!
「普通の美術館で毎日展示入れ替えなんてありえないです(笑)」とのこと、そりゃそうだ。

もちろん季節ごとにも展示は入れ替えるとのことで、何度行っても楽しめそうです。

それと、ミュージアムグッズが結構かわいくて、ちょっとほしくなりました。



*** 以下、講義内容メモ。


盆栽とは?


盆=器(鉢)、裁=植える(植物)


盆栽は鉢と植物を一体的に鑑賞する園芸文化。
現在のようなスタイルが確立されたのは明治時代の中期で、華道や茶道のような他の日本の伝統文化に比べると新しく、流派や家元制のない自由な世界。

もっとも重視されるのは、季節感と洗練性
→簡素化して余韻を持たせる(=洗練性)。時の移ろい(=季節)を感じさせる。

他の「園芸」との違いは、植物そのものの花や成長を楽しむのではなく、植物を通じて自然風景をイメージして楽しむ、というところにある。そこにある植物そのものではなく、頭の中でイメージする風景を楽しむ。だから鉢と植物のバランスや、全体から感じられる「風情」が大切。

評価は鑑賞する本人が決める
→業者が商業的な取引のためにつける価値(希少性や樹齢の古さで値段がつく)はあるが、「良い盆栽、悪い盆栽」という基準は無い。流儀のない自由な世界なので、見る人それぞれが気楽に、自分のイメージで楽しむことができる。

盆栽の楽しみ方

盆栽を見るときのコツは少しかがんで目線を盆栽の根元(鉢と植物の境目あたり)に落とし、上向きに見上げるようにする。そうすると、自然の景色をイメージしやすくなる!
最初から自然のイメージを感じるのは難しいが、沢山の作品を見ること、そしてより深い自然観察も「見る目」を養うことになる。




盆栽には「創る」、「飾る」、「観る」の三つの楽しみ方があり、それぞれに方法や道具が用意されている。創作(若い時期)→展示(中年)→鑑賞(経験を重ねた熟年)といったように一生を通じて楽しめる。(愛好家の中には自分では作ることはしないで、鑑賞だけをする人もいる)


「床飾り」
→床の間に四季の風情を表現する盆栽を飾り、お客様をもてなす展示方法。「主木」、「添え」、「掛け軸」の三点セットで一服の風情を演出する。

盆栽の種類

  • 松柏(しょうはく)盆栽

松類(五葉松、黒松、赤松)、イチイ、杉、シンパク、トウショウ など

  • 雑木盆栽

葉物(紅葉、カエデ、ブナ、欅、ツタ、シデ類)
花物(梅、桜、サツキ、ボケ、藤、バラ、サルスベリ
実物(柑橘類、林檎、柿、アケビ、ザクロ、カリン)

  • 草物盆栽

山野草、竹、コケ類、シダ類、水草類、多肉植物など
※従来季節感を演出するための添え物であったが、近年山野草の寄せ植えとして独自のジャンルを確立。女性作家の活躍が多い。