交響組曲『RiSiNG SUN』徹底視聴、感想及びそこから見える世界

鬼武者 Original Sound Track〜交響組曲「日昇 RiGiNG SUN」聴き始めるの完結編

第1楽章
都節と呼ばれる声から開始→尺八の息が琵琶や笙に締太鼓の一打→人の陰の部分を尺八、筝の不穏な調弦、笛の息づかい等で、前との絶妙なコントラストを対置され、ここで提示された様々なコントラストという概念の要素がこの作品全体の重要なポイント→1本の尺八のひびきから12本の尺八を呼び、和太鼓の一打が、大オーケストラを迎え入れ、冒頭の尺八のフレーズを引き延ばしてスぺクタルな局面へ突入→ファンファーレ→ハーモニーのザクエンツに乗って英雄のテーマが提示クライマックス→オスティナートによる経過句→邦楽の冒頭部分が異なる楽器編成で引き延ばされて再現→英雄のテーマの変奏後ファンファーレが変奏され、長三和音と短三和音で和音のコントラストがついている→スぺクタルな局面に戻りコーダでザクエンツが変奏される。ここのメロディは、後の楽章でも大変重要な役割を果たす。

要となるフレーズは、
1:冒頭、尺八で奏されるフレーズ
2:12本の尺八、10本のホルンによるホラ貝を連想させるフレーズ
3:オーケストラの全奏の後、ハープ、チェレスタ、弦楽器群による跳躍のフレーズ
4:トランペットソロによる3のフレーズの変形
5:トランペットとトロンボーンによるファンファーレ
6:冒頭、尺八で奏されるフレーズの上昇音型の変形ともいえる英雄のテーマ(メインテーマ)
7:10本のホルンで不気味に表現される、5度下降型のフレーズ
8:英雄のテーマ(メインテーマ)を哀しく変化させたストリングスによるフレーズ

第2楽章
前半の静かな「夜の音楽」(佐村河内守談)と後半の激しいアレグロ。第1楽章で表れた様々なフレーズの変奏。ここの冒頭のフレーズは、作中最も前衛的な作風の滾 TAGiCHのホルンのフレーズで使われている。また鬼神調は、この第2楽章の中間部の再現。穿 UGAは、この第2楽章の大きな変奏にあたる。マーラー交響曲第5番 第2楽章冒頭と、後半アレグロ冒頭は、共通項が多い。

第3楽章
前の余韻を受けて「能楽」の囃子、コラージュ→尺八の冒頭が再現→笙の代わりに弦楽器が増4度上で表れる変奏→筝によるアルペジオを伴いながら木管楽器がその旋律に加わる→ホルンによる第1楽章要となるフレーズ5の雄大な変奏→圧倒的なコーダでは太鼓・小鼓を伴う華やかなかけ声、ハープやチェレスタのアドリブ、木管楽器と弦楽器による和音が加わる→金管低音群による英雄のテーマ(メインテーマ)が本来の姿であるアダージョで厳かに歌われる→全オーケストラによるハーモニーを経て、終結部の篠笛によるカデンツァ風の和音と、ティンパニ・和太鼓・大太鼓による一打が、華やかな音楽絵巻の幕を締める。コーダにおけるメロディの対斜はあまりにも見事。

この全3楽章は、第1楽章:提示部、第2楽章:展開部、第3楽章と捉えることもできる。よって、この3楽章全体で、緩徐楽章、諧謔色の無い舞曲を内包したソナタ形式と捉えることができる。

ここまでが、解説の要約したもの。

ゆえに、巨大編成による演奏時間がコンパクトな交響曲という解釈もできると思う。その色彩は、ヴィーン世紀末や、メシアンからの影響を感じ取れるかもしれない。それは、第3楽章の筝によるアルペジオを伴いながら木管楽器がその旋律に加わるあたりや、グロッケンシュピールチェレスタの使い方に表れているように思えてくる。一瞬だけど、非常に耽美で、官能的な雰囲気になる場所でもある。また、普通であれば、やらないオーケストラ編成の中で、無駄なく、緻密にまとめたことが純粋に素晴らしい。無論、この編成は、氏の要望で実現した。彼が指向する音楽を理解するに当たり、交響曲第1番"HiROSHiMA"とこのサントラは、外せない。
氏自身はありとあらゆる嘘をついていたわけであるが、この作品には、苦闘する者への祈りが込められている。戦いの音楽であり、勇気の音楽である。


全曲視聴は、コチラ。

冒頭から22分30秒までが、交響組曲Rising Sunに当たる。それ以降が、劇中曲になる。
そして、ゲームでしか流れない曲もある為、ゲーム映像リンクは、コチラ。


鬼武者の称号獲得およびノーダメージクリア。
この動画を見て、楓調のような曲が生まれた意味を知った。
大袈裟に感じた方も動画で流れるシーンを見ればきっと納得する。
また、サントラ未収録の曲だと、20分9秒頃から聴こえてくる、不協和なピアノが良い。

上記動画だと聴けない曲も一通り聴ける動画集
幻魔鬼武者 字幕付きプレイ動画 超特級・幻魔鬼武者に挑戦Part1-15に分割

言葉が英語ながら、全ムービー集

劇中含めても音の映像のマッチングは、見事。ただし、発展途上からか、CGが負けている印象はぬぐえなかった。劇中シーンを見ると、音抜け優先の音色選定の意図も見えてくる。アクション作品でなかったら、音抜け優先にしない方がよかったと思えてくる。
劇中曲
基本的には、戦いの音楽であるが、のんびりしたい時は、雅、滝岨、大海辺りは良いと思う。

この曲の響きは、雅楽そのもの。


この曲は、主人公は、海外に入った時のエピソードを語り、ある子に、海外へ行ってみなさいというシーンで使われた。金スマでも一回は、流れていた。この曲は、音色の影響からか、マルセル・デュプレ、J.アラン辺りのフランスオルガン音楽のようにも聴こえる。

人によっては、楓調や絆も挙がると思う。


ストリングスの使い方は、ヴィヴァルディにも近いかもしれない。


自らを鼓舞するときは左馬介、疾風、野分立など。特に、主要メロディがぶつかりあう鬼武者はテンションアップに最適だと思う。



金スマでは、楓調、疾風辺りがよく使われていた。この疾風は、派生作品、幻魔鬼武者では幽幻塔で聴ける。
緊迫感を煽るときは、侍、炎、麻乱、滾は最適であろう。



また、音・楽with something鬼武者 佐村河内守でhesher氏が述べている通り、

本編の物語と照らし合わせても、西洋クラシックと和風の組み合わせが絶妙なことが判明する。

音・楽with something鬼武者 佐村河内守

西洋と東洋がぶつかりあうから、止揚統合へ。新しい結びつきを教えてくれる。西洋と東洋を包含した色彩感は、この作品ならでは。
聴き込むほどに、理想の作品が、何か見えてきた。
それを、教えて頂いたことに、感謝。