モーニング娘。'14コンサートツアー秋 GIVE ME MORE LOVE 〜道重さゆみ卒業記念スペシャル〜 at 日本特殊陶業市民会館 フォレストホール(昼)

前回のEVOLUTION(2014年春)は、前々回のCHANCE!(2013年秋)とうまく差別化できてなかった印象が強かったのだが、今回は道重さゆみの卒業とシングル・アルバムを軸としていて、かなり好みの内容だった。特に、メドレーの使い方がとても正しくなっているように思う。


が、何よりも素晴らしかったのは、冒頭近くの、メンバー紹介映像だろう。これまでとはまったく違う叙情的な演出になっているのだが、こうした映像が作られるようなグループになったのは、ひとえに道重さゆみの手腕によるところが大きいのではなかろうか。そういう意味で、彼女がリーダーになったモーニング娘。のまさしく集大成的なライブと言えるだろう。


来週には、12期メンバーも発表され、またちょっと雰囲気の違う公演になるはずで、そういう意味では夜も見とくべきだったなーと後悔。

てさぐれ! 催しもの あんこーる at 渋谷公会堂

兎にも角にも、これだけの大きな箱で、ちゃんとバンドメンバーも入れて、イベントを開いてくれた製作陣に感謝したい。

おかげで、ファンの誰もが落選の恐怖を覚えることなく参加でき、しかも会場はきっちり埋まるという最良の環境で、最高のパフォーマンスを楽しむことができた。

出演者たちはみんなそれぞれ良かったのは言うまでもないわけだが、やはりなんといっても荻野可鈴は素晴らしかった。ソロパートでは現役アイドルらしくきっちり盛り上げ、トークもがんがん入っていくが、ちゃんとそれぞれのキャストをサポートしつつ笑いに繋げていくのは、本当にすごい。ぜひ、中退などせずに、続編でもその元気な姿を見せてもらえることを願ってやまない。

てさぐれ!部活もの あんこーる|日本テレビ

怪獣映画・特撮作品・そして邦画史上に残る最良の三部作に愛をこめて

この夏はギャレス・エドワーズゴジラの公開にあわせて、過去の様々な怪獣映画がテレビで観ることができるわけだが、いよいよ、明日(もはや今日だが)から、3週にわたってNHK BSにて、いわゆる平成ガメラ三部作がオンエアされる。

日本の怪獣映画ということになると、もちろんゴジラが代表格ということになるのだろうが、1980年代以降に公開された日本の怪獣映画というくくりでは、主役はなんといってもガメラだ。

1995年に公開された「ガメラ 大怪獣空中決戦」を皮切りに、「ガメラ2 レギオン襲来」(1996年)、そして「ガメラ3 邪神〈イリス〉覚醒」(1999年)の三作により、ガメラ現代日本で活躍するに相応しい怪獣として再定義され、公開から20年近くたった今でもその輝きはまったく失われていない。


平成ガメラ三部作の魅力とは何か。


これは、色々な人が色々な解説してくれていると思うのだが、自分にとっては「怪獣映画でやって欲しかった要素を全部実現してくれた」ことにつきる。例えば以下の様なことだ。

  • 「現在に日本」を舞台にして、怪獣が出現したらどうなるか、ということをリアルな視点に立って描写すること
  • 架空ではなく、現存している兵器と軍隊を出すこと
  • 単なるやられやくではなく、それなりの戦力として軍隊を出し、怪獣とガチンコのバトルさせること
  • SFとして魅力的で説得力のある存在として怪獣を描くこと
  • 怪獣による破壊のシーンをより詳しく、リアルに描くこと

これらは怪獣映画としてはごくごく真っ当な要素だと思うのだが、1980年代以降では、残念ながら、ついぞ観ることができなかった(1989年の「ゴジラvsビオランテ」は割りといい感じではあったのだが……)。

そんなわけで、最初に「ガメラ 大怪獣空中決戦」を観た時は、まるで夢のようだった。なんというか、「自分と同じ趣味嗜好を持っている人が作ってくれた!」とか、「『ぼくの考えたさいきょうの怪獣映画』を本当に実現してくれた!」という感動を覚えたというか。

とはいっても、上記で挙げた要素がすべて映画の中で効果的に生かされていたかは議論の余地があると思うし、三作とも瑕疵はいくつもあって、決して完全無欠の傑作とは言いがたい。でも、スタッフ・キャストともに、最高の怪獣映画を作ろうとしていたのは観て伝わってきたし、その努力に見合うだけの傑作になっていると思う。

平成ガメラ三部作のち、いくつもの怪獣映画が作られてきて、ある程度は劇場で観ていたのだが、これに匹敵するクオリティを持つ作品はついぞ現れなかった(トトは未見)。海外だと「宇宙戦争」とか「クローバーフィールド」を経て、「パシフィックリム」の香港シーンあたりで、ビジュアル的にはようやくガメラ3の先が見えたかなあという感はある。
今後は海外作で、ガメラに匹敵する作品がようやく観られるようになるのかな、という気もするが、やはりそろそろ本家にお出まし願いたいところではる。そんなことを思いながら、伝説の三部作を見返してみたい。

リリウム観劇のススメ

ハロープロジェクトの各グループは一年のうち、どこかのタイミングで舞台に出ることにだいたいなっている。モーニング娘。の場合、ちょうど春のコンサートが終わった初夏のタイミングでやるのだが、今年は一昨年好評を博した「ステーシーズ 少女再殺歌劇」のスタッフによるミュージカルとなった。
しかも今回は、出演者は娘。とスマイレージのメンバーのみであり、本職の役者が一切出てこないという。

題して、「LILIUM-リリウム 少女純潔歌劇-」

ということで、観に行ってきたのだが、いやすごかった。
それぞれの熱演にも引き込まれたし、ストーリーもショックだった。今年のモーニング娘。’14スマイレージを述べる際には本作は絶対に外すことができないと言えるだろう。

全体的な感想について述べるには、自分は演劇について無知すぎるので、ここは大森靖子氏のツイートを引用しておきたい。

そのほか、ひとつ思ったのは、これは最近のモーニング娘。スマイレージを知った初心者が行くにはちょうどいい現場だな、ということ。
特に女性などは、コンサートの独特な雰囲気が苦手であるという人も多いだろう。
慣れてしまうとなんとも思わないし、無いと物足りなくなるのだが、拒否感を持つ人がいるのもよくわかる。

そんな人は、是非今回の舞台にいっていただきたい。さすがに舞台ということで、おっさんも普通の服であらわれるし、誰も席を立たずにじっくりと観ている。ちょっとした咳払いさえもはばかられるくらい静まり返ったホールで、娘。とスマイレージメンバーによる素晴らしい演技と歌を堪能することができるのだ。

問題は、残りの公演数があとすこしであるということなのだが、チケットもまだ一部取れる時間もあるようなので、もし気になるようなら是非行ってみることをお勧めしたい。

フォーメーションを観ることの楽しさ――モーニング娘。コンサートツアー2013秋 〜 CHANCE! 〜

2013年11月28日、日本武道館にて、今秋のモーニング娘。 コンサートツアーが終了した。自分はもろもろの都合で行くことができなかったが、24日のパシフィコ横浜など、幾つかの会場にて堪能することができた。

今回のコンサートの最大のポイントは、とにかく運動量が多い! ということに尽きるだろう。最近のモーニング娘。はフォーメーションダンスが売りであるわけだが、公演時間を目一杯使って、ところせましと踊りまくり、歌いまくっていた。

逆に、それ以外の演出は最小限にとどめていたのも特徴である。メンバー紹介映像は、冒頭の「ワクテカ Take a chance(updated)」の間奏として流れるのみ。そしてMCも短めのが2回あるのみ(うち一回は道重さゆみのみ一人MC)。アンコール後の挨拶も概ね決まりきった短めのコメントのみ。
とにかく、余計な時間を使っているヒマがあるなら歌って踊れ、という指針が徹底されたコンサートだと言えるだろう。

セットリストは、もともとは「The Best! 〜Updated モーニング娘。〜 」を基調としていたのだが、11月16日の中野サンプラザから「LOVEマシーン(updated)」「恋愛レボリューション21(updated)」が外れ、かわりに新曲の「What is love?」が入るようになった。差し引き1曲減り、結果として、全体の印象が大分変化した。

つまり、当初はモーニング娘。黄金期の代表曲を今のメンバーで歌い直すというところが「Chance!」の特徴であった。あの頃の勢いを現在の感性でUpdateしよう! というところだろうか。
しかし、黄金期の中でも屈指のというか、モーニング娘。として最も有名な2曲が外れた結果、Update色が大幅に薄れ、代わりに最新曲が入ったことにより、前回(ミチシゲイレブン)、前々回(カラフルキャラクター)との地続き感が増した。

このセットリストの変化の理由は今のところ不明。どちらも、Updateした曲調とかダンスに諸々からの苦情が来たのかもしれないし、あまりにも今回のセットリストがハード過ぎたので、1曲減らしたのかもしれない。

ただ、この変更が(自分の観測範囲では)さして問題になっておらず、普通に受け止められているあたりに、現在のモーニング娘。の強さが表れていると思う。「LOVEマシーン」を歌うかどうかは大した問題ではない、重要なのは「One・Two・Three」とか「Help me!!」とかを歌うかどうかなのだ(どうせ一曲減らすなら、どちらかをフルで歌って欲しかったが)。

自分は、パシフィコ横浜では3階の前方真ん中という、フォーメーションを観るには絶好の位置だったのだが、とにかく各人の移動がすごかった。特に「Help me!!」が印象的で、よくもまあ、こんなふうにくるくるとポジションを変えて、しかも揃えていけるもんだなと感動してしまった。サビ部分の、横に広がった状態から二列縦隊になり、再度横に広がって不死鳥のポーズという一連の動きが大変カッコイイ。

逆に、微妙だったのが「ブレインストーミング」で、特にBメロ部分で後ろでちょこちょこと移動しているメンバーがいるのだが、単にミスして焦っているようにしか見えない。このあたりの振り付けは失敗だったんじゃないかなあ。

そんなことを含めて、個々の歌やダンスだけではなく、全体の動きを楽しめるのが今のモーニング娘。の特徴であると言えるだろう。BD/DVDでも、アップは極力避けて、色んなロングの視点から楽しめるような映像になっていることを期待したい。

演じるということの空虚さ〜田村ゆかり LOVE ♡ LIVE 2013 Autumn *Caramel Ribbon* (9/16)

台風の襲来に始まり、まさかの土下座によるダブルアンコール実現で終わるという 、話題満載のライブだったわけだが、内容自体も色々なネタが詰まっていた。

前回のさいたまスーパーアリーナで行われたCCHは、これまでの音楽活動の総集編的なラインナップであったと言えるだろう。それでは、今回はというと、2012年以降(具体的にはILR以降)にちょこちょこと行われてきた演出の総決算的な内容になっていた。

ILR以降の演出というのは、一言で言うと、田村ゆかりの「もっとちやほやされるアイドル人生を送り直したい!」という妄想をかなえるためのネタ映像群である。
アイドルオーディションに合格したりとか、(ベストテンとかトップテン)で上位に来たりとか、バーチャルデートしたりとか、とにかく「若い時にこんなことをしたかった><」という妄想というか執念がダダ漏れになった映像を田村ゆかりは最近のライブやイベントでずっと流し続けていた。今回のライブは、そんな映像の総集編ということができる。

まず、ちやほやされる若手アイドルとして「神楽坂ゆか」というキャラクターを作り直し、デビュー経緯の映像を長々とライブ冒頭で上映し、さらには前座という体で本人(?)が登場し、歌も歌っていた(あとでtwitterアカウントも開設した)。また、バーチャルデートの続編も作られ、雨の諏訪湖でのデートした様子が流された。さらには、11月に出るアルバム曲のMV撮影という体で、田村ゆかりの姉妹(?)たちが参加した様子もこれまた映像で流されていた。さらにさらに、田村ゆかり平安時代の姫に扮して月を見上げる、よくわからんMVも流れていた。

ライブなのに、映像ばかりなの? と思う人もいるかと思うが、本当に映像ばかりだった。今回のライブは「田村ゆかりが何曲か歌う」→「観客が椅子から立ち上がって盛り上がる」→「田村ゆかりが舞台からはけてネタ映像が長時間流れる」→「観客が椅子に座って長時間黙って見る」の繰り返しであった。


で、自分が思うのは、どんくさい進行に対する不満もあるんだけれど、「なんでそんなに他人を演じたがるの? そんなに今の自分がイヤなの?」ということだ。そもそも、「田村ゆかり」自体も17歳教だったりとかゆかり王国ゆかり姫とか虚構性が高いキャラクターなのだが、さらに別のキャラクターを次々と演じるというのは、どういうことなのであろうか。演技という面では、声優なんだからいくらでもやっていると思うのだが、さらにワンマンライブでも別のキャラクターをあれやこれや演じたがるというのは、なんというか病的なまでの自己嫌悪というか自己否定を感じてしまう。

自分としては、田村ゆかり本人の人生の方が神楽坂ゆかなんかよりずっと素晴らしいし、魅力的だよと言いたいし、これまでの声優人生を素直に肯定したライブが観たいと願っている。でも、そんなライブは当分は無いんだろうなと諦めているし、(私の主観的には)みっともない映像を楽しめるのが今の王国民でいられるための条件なんだろう。


で、それはそうとして、ライブの演奏自体は大変素晴しいものだった。まず何よりも、田村ゆかりの調子が良かった(ように見えた)。これは、横浜アリーナの音響設備が良いということもあるんだろうけれど、声がとても良く出ていた。自分が覚えている中では、1、2を争うパフォーマンスだったのではないか。

バンドメンバーは、キーボードに安部潤、ギターに黒田晃年が参加しており、なんだか桃色男爵とThe 39'sの混合チームになっていた。全体的には、音量がキーボード寄りになっていたような気がしなくもない(途中からギターが全然聞こえなかった)。また、2011年春のMaryRose以来、久々に桃色管系が参加(しかも10人編成)し、全員が揃うところは壮観だった。特に下手側にいた4人の桃色管系メンバが実に楽しそうに演奏していたのが印象的。

セットリストは、「神様Rescue me!!」とか「Cursed Lily」あたりがあって、なんだかSCSっぽかった(そういえば台風が直撃したのもSCS以来だった)。神楽坂ゆか部分を除けば割りとスタンダートな選出だったのではないかと思う。ただし、全員での演奏はあまりなくて、大半がバンドメンバー4人(ギター・キーボード・ベース・ドラム)だったのは不満。せっかくホーン隊がいるんだから、「恋に落ちたペインター」とか「好き…でもリベンジ」とかを歌ったりしてもよかったんじゃないかなあ。MaryRoseでは「Super Special Day」のブラスアレンジが白眉だったわけだが、今回のライブではそれに対応した曲は見当たらなかった。

まとめると、今回のライブは、無駄に長くて痛くて間延びした最悪の演出だったが、音楽的にはここ数年では一番の出来だった(が、もっと良くなる余地はあった)。来年のツアーも、このメンバにしてほしいんだけど無理だろうなあ。

セットリストは以下を参照のこと
http://www.setlist.mx/concerts/14908

「恋と夢と空時計」MUSIC VIDEO

田村ゆかり曰く「谷間以外の感想はないの」とのことだが、いやそれ以外に語れるところがあるのか? というのが最初に観た時の感想だった。曲については出だしが「滑空の果てのイノセント」そっくり(しかも地味)で、映像的には、ひたすら自分撮りばかりして、その写真を壁に貼り付けるという、痛い人の描写だし。

ただ、衣装については(周りのセットから浮いていることを除けば)結構いいと思うし、田村ゆかりにしては動きがあるMVなので、飽きずに観ることはできる。ちょっとダンスっぽい動きになっている箇所があるのがポイント。Full版はもう少し色々な展開があることを期待しておこう。