南海地震に備える(1)-過去の南海地震記録と揺れ-

この日記は先日3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震を契機に,近々起こるとされている南海地震のために過去の南海地震記録から,南海地震の甚大さを伝えるのが目的である。

南海地震は日本(いや世界中)の中でも数多くの歴史記録が残っている海溝型地震である。

まず,歴史記録から南海地震の発生時期と規模などを書き記す。

684年11月29日22時頃:M8.4
↓203年後
887年8月26日16時頃:M8.6
↓212年後
1099年2月22日6時頃:M8.0
↓262年後
1361年8月3日4時頃:M8.4
↓244年後
1605年2月3日22時頃:M7.9
↓102年後
1707年10月28日13時45分頃:M8.6
↓147年後
1854年12月24日16時35分頃:M8.4
↓92年後
1946年12月21日4時19分:M8.1

これをみると,1605年以前は200-250年周期で,1605年以後は100-150年周期となり,一見,地震の発生周期が短くなったように錯覚するが,実際は100-150年周期と考えられ,1605年以前の記録は一部欠落している可能性が高いと考えられている。

また,現在の研究では,およそ300年周期で巨大南海地震が起こっていると言われている。

史記録に残る,土佐最大の南海地震は1707年の宝永南海地震である。

また沿岸域の池などの湖底堆積物調査から1361年の正平南海地震も巨大地震であった可能性が高いとされている。



前回の巨大南海地震,宝永南海地震から今年で304年目である。

つまり,仮に歴史が繰り返すと考えると,次の南海地震は巨大地震である可能性が高くなる。


東北地方太平洋沖地震では,地震計の振れは5分以上あったと記録されている。

地震計の振れは,実際の有感地震以外も記録されるため,実際の揺れ時間はもう少し短い。


では,南海地震ではどうだろうか?

前回の南海地震である1946年昭和南地震では地震計の記録が残っている。

それによると,地震計の振れは9分余りあったと記されている。

実際の大揺れは1分程度だと言う。


昭和南地震は,南海地震の中でも比較的に規模が小さいとされており,津波襲来の記録からも合致する(津波高さと規模が地震相関すると仮定した場合)。


次の南海地震が宝永南海地震規模の巨大地震と考えられているが,宝永南海地震の時の揺れはどうだろうか。


史記録からは,揺れが約1時間や35〜45分,30分余りなどと長い時間であったとされている。

しかし,これはいわゆる,余震が本震の直後から度々発生したことを意味し,本震の恐怖心などから常に揺れていると錯覚してしまっているのであろう。

現在の研究では,大揺れは100秒(1分40秒)くらい続くと考えられている。



次回は,次に来ると考えられている宝永南海地震と写真記録がある昭和南地震を紹介しようと思う。



昭和南地震直後の高知市内の様子(はりまや橋から約700m東へ行った辺り)
撮影:沢村教授(元・高知大学)