体罰容認論の息の根を止めろ!−時津風部屋力士死亡

 私の仮想敵の一つに「体罰容認論」がある。こういう事件があると多くの人は非難の声を挙げるが、しばらくすると人々はそんなことなかったかのように忘れ、「俺もよく殴られた。今は感謝している」「若者を厳しく鍛えろ」「鉄拳制裁上等」みたいな威勢のいい一般ピープルの声がこだまするようにある。それが日本の現実だ。
 日本人は基本的にマゾが多く、親や教師や先輩に殴られた思い出をオヤジ連中はニコニコして話す。非人間的なシゴキに耐えてきたことを誇りにさえ思っているスポーツ選手も少なくない。
 自分の子供を厳しく鍛えて欲しいと思っている親もたくさんいる。時太山の親もそうであったのであろう。死んでしまったからああいっているが、体に竹刀で叩かれた痕があった程度であったら、この親も「息子は厳しく鍛えられている!」とむしろ目を細めて満足げな笑みを浮かべていたであろう。スポーツ少年団等でも、「うちの息子殴ってもいいですから、厳しく鍛えてください。」等と言う親は未だ少なくない。時太山の親は自分の息子が殺されたのに被害者に成り切れない。
 そのうち、世論は時太山のことなど忘れ、また威勢のいい体罰容認論が蔓延るに違いない。その前に体罰やしごき、非科学的スポーツトレーニング等を徹底的に叩かなければならない。私も世論の空気を利用するのは嫌いなのだが、世の中を変えるためには「空気に棹を差す」ということもやらなければならない。
 日本相撲協会時津風親方に厳しい処分を下すようだ。当然であろう。

 朝青龍の件で世論の予想を上回る厳しい処分を下した手前、今回甘い処分は許されなくなってしまった。私は加えて以下のような決断を下すべきと考える。

  • 北の湖理事長の辞任。
  • 非力士出身者の理事招聘。
  • 科学的トレーニングの導入。(怪我の多さ。短い選手寿命をなんとかしろ。)
  • 中卒中心の新弟子の見直し。(廃業して中卒では今の世の中生きていけない。)