イノセンス、それは…

3回ほど機会を逃した後、ようやく観に行きました>『イノセンス』。
事前にプロデューサー自ら睡魔が襲ってくると発言してるとか、試写で爆睡するひとがいたとか聞いていたのでビクビクしながら行ったんだけど、意外に(−なんて言ったら失礼か)楽しめて、ラスト(事件のオチではなくて本当のラスト)ではすごく納得させられた気分になり、実はもう一回劇場で観たいとすら思ったのだった。
メカもの(車や飛行機)のCGが、微妙に画面に馴染んでいなくて惜しい。でも、それ以外の例えば背景にCGが使われている部分(コンビニのシーンなど)は棚に並んでいる商品のディテールやドアの木目まで見えるような世界で、遂にここまで来たのかと感動。2時間なりの作品で常にそこまでの表現が必要なのかという疑念はあっても、後半になって普通の絵の具で描いた美術のシーンが出てきたりすると逆に違和感を感じたりしたので質感をコントロールできるひとがいればこの表現はありかなと。押井さんがドラマ部分で伝えようとしたことやここまで難解なテーマやセリフを一応エンターテインメントの枠組みで成立させたはすごいと思うし、評価されるべきだと思うんだけど、敢えてこれは美術と意匠の映画だなと言ってもいいんじゃないだろうか。
検死官のシーンがあまりにもまんま「All Is Full Of Love」な世界だったのを除けば、なんかすごいものを見てしまったという感慨が冒頭から続く。あんまり観客動員が伸びてないようなんだけど、劇場で観ておくべき作品だと思いますよ。

渋谷シネフロントで全席指定だったのでチケット売り場前で列に並んでいたら、前に並んでいた40歳くらいのオッサンが30代OLとおぼしき女性と待ち合わせしていたらしく、列に呼び寄せたら、彼女があからさまに嫌悪感を示してふたりして列から離れていった。曰く、「え〜、こんなの観ないよ。アニメだよアニメ。子供向きじゃ〜ん」と。無理くりな宣伝はあまり功を奏さなかったのでしょうか。

士郎正宗といえば『APPLESEED』も来月公開されるんだけど、こっちは一転してアクション満載の娯楽作。ひょんなきっかけでプロデューサーの曽利さんとお近づきになって公式サイトを作っている。急に頼まれたもんだから時間がなくて、相当テンパリつつ公開までにどうにかコンテンツを充実させないとという感じで日々ひーひーいいながらやってます。
アクフェンとかアダルトまで参加したサントラがちょっと話題だけども、そっちはほとんどノータッチ(ライナーだけ頼まれた)です。実際に動いたのは元ソニーテクノ(現Third Ear)のチーム。
しかし、同じ原作者の作品の解釈がここまで変わっちゃうというのもすごいな。見比べるのも一興かと。