調兵山鉄煤集団「鉄法線」・蒸気機関車は営業運転してます!

鉄法線「三家子Sanjiazi」駅にて、隣のDL牽引の王千Wangqian行きに乗ってたら、偶然隣に入ってきた「上游Shangyou1771号機」大明Daming行きの列車。日本の鉄道ファンのみなさま。今日2011年5月1日現在、間違いなく現役で営業運転していますよ!

铁煤蒸气机车博物馆Tiemmei Zhengqijiche Bowuguan(遼寧省調兵山市暁明鎮小青)

博览馆Bolanguan

昨日4月30日、例の仲良しカップルの学生と一緒に鞍山からバス(2時間20分・47元)で鉄嶺Tielingへ行き、調兵山行きバスに乗り換え。途中の小青Xiaoqingにある「鉄煤蒸気機車博物館」へ。地球の歩き方にも載ってるし、中国のネットでも見つけることができたので、まずはここへ行ってみました。博覧館と陳列館それぞれ50元で両方で100元。学生50元/教師80元と書いてあるので訊いてみると、僕の外国人登録証でOK。3人で180元でした。博物館はまあこんな感じ。ほかに誰もいないし、のんびりとおもいしろがってたんですが・・・。

陈列馆Chenlieguan

外の陳列館を開けてもらって入ったら・・・。グーグルマップの衛星写真で予想はしていたんですが、2本の線路に21機並べて倉庫状の建屋で覆ったもの。その中にはご覧のようにスクラップ同然のも「陳列」してある。これは許せん! 建設型1台とアメリカのKD型1台の他はすべて上游Shangyou型。日本のD51と同じ1ーDー1軸配置で後方視界のためテンダーはC56のようにサイドがかき取られてる。使い勝手のよさそうな中型機です。

千と千尋?・・・明月禅寺Mingyuechansi

顔に出たんでしょうね。2人の学生は「ガッカリ?」と気にしてくれました。ちょうどよくやって来たバスで調兵山駅前まで行き、予約したおいたホテル「调兵山国际宝平酒店」へ。駅の中を探検すると典型的なローカル駅。夕方になりようやく賑わってきた周辺をブラブラ。彼女のおばさんがこの街に住んでいるということで彼らがつきあってくれたんですが、そのご主人が車で迎えに来てくれて、調兵山随一の観光地である山寺に連れていってくれました。曇の夕方で寒かったのですが、写真にある山頂の塔まで歩いて登りました。驚いたのは5時過ぎなのにまだ大勢登ってくる。山頂からの眺めは残念ながらガスっててほとんど見えませんでしたが、周囲には風力発電のプロペラが林立してました。それより、大門と中門の間の門前町を形成しているところは、まさに「千と千尋」の世界。ゆっくり来てみたいところでした。その後、彼らの家に行き、おばさんとお子さんとそのいとこ(2人の可愛い男の子)にお会いしました。車の販売代理店やってて、窓フィルムやシートカバーなどを扱ってる、きれいなお店でした。従業員の若者も入れて全部で9人で食事。ごちそうになりました。日本から送ってもらっておいたチョコをお土産に持ってきてよかった。ホントにいい人たちでした。感謝です。

5月1日朝の调兵山站Diaobingshan zhan(調兵山駅)

そのおばさん情報では、もうSLは走ってないと言うので、昨日からもうガッカリしていたけど、ネットの2年前情報では走っていて、その写真でよく見る撮影ポイントのある「王千Wangqian」線に乗るだけ乗っていこうと思って、5時半起きして駅へ。朝と夕方だけ列車がある。この時間帯SLがひしめいている様子を写真では見たことあるんですが。大青Daqingからの列車が進入してきたところ。大型ディーゼル機関車ですね。王千行きはホームの無いところに停まっている。以前ならこれらが全部SLだったわけ。切符は車内で車掌から買う。なんと全線1元。ちなみに、この鉄道は中国鉄道局(国鉄)ではなく、炭鉱のグループ会社(国営企業だと思う)である「鉄煤集団(铁法煤业集团有限责任公司)」の鉄路運輸部が運行している私鉄「鉄法線」。「煤」は石炭のこと。「鉄法」は鉄嶺と法庫の頭文字。地図上は鉄嶺から調兵山まで線路が続いているけど旅客列車はない。途中の大青が鉄道局と鉄法線との境界駅らしいけど、鉄嶺から大青へ行く鉄道局の旅客列車があるかどうか不明。鉄法線は、調兵山駅を中心に、北は法库Faku(法庫)を経て东关屯Dongguantun(東関屯)まで、南方向にはその大青までと王千と大明Damingへの支線がある。南の3線は2つ目の三家子で3方向に分かれる。大青への路線が本線で複線、その途中に、昨日行った博物館がある。王千へは右へ、大明へは左へ扇状に分岐する。つまり合計4路線の旅客営業をしてる。炭鉱地帯のローカル線を想像してもらえばいいです。

偶然の出会い「世界最後の?営業運転のSL」

そのローカル列車に「乗り鉄」でいいやと思ってノンビリしてたら、発車して間もなく対向列車とすれ違う。「えっ? ウソ!」。反対側の席に座っていたんですが、音で気づきました。ちょうどカーブしていたので窓に顔を付けて過ぎた方を見ると(窓は硬くて開かない)、なんと蒸機じゃないか。えー、ショック! なんだ、駅にいれば見られたのに・・・。なくなったというのは間違いだったじゃないか・・・、ああショック。あ〜あ、でももうしょうがない・・・と思っているうち2つ目の三家子駅に到着。停車時間長そうなのでホームに降りて写真撮ってたら、またDL牽引の対向列車が進入してくるので、「これに乗って戻ろうか?」と一瞬思ったところ、今度は後方から別の列車が進入してくる気配・・・と、これが蒸機。「えっ? ホント?」 さっきのが調兵山で折り返して、後を追うように三家子に進入してきたらしい。ラッキー! これが一番上の写真。こっちも停車時間あるらしく、機関士が降りてハンマーであちこち叩いたり油差したりしてる。機関助士はテンダーの上で車掌となにやらしゃべってる。営業運転の蒸機なんて何十年ぶりだろう。なんか不思議な感じではありました。そこで、頭が切り替わらなかったのはやっぱりボケてるのか、乗り換えることまで考えが回らなかった。あっちの列車はどこ行きなのか訊いたのは発車間際。大明行きと知ったけど、ダイヤが頭に入ってないから、大明に行ってすぐ戻る便が無かったような気がしてて(駅で時刻表見たと時の記憶で)・・・。そうこうしているうちに発車時間になってしまった。王千線に入ると単線。しかも、いったん盲腸線の暁南駅へ入ってから、機関車を後ろに付け替えてスイッチバックして、王千まで1時間20分かけて、ボタ山や煉瓦造りの村の様子を見ながら、のんびりローカル線の旅。王千から、調兵山行きとなって戻る時は、一転して朝のラッシュ状態で満員に。大きな音で音楽を鳴らし大声でしゃべる若者集団と、コインを裏返す遊びで窓辺の子どもがテーブルをバンバン叩く音で、車内はスゴイ喧噪。都会っ子で、「農村人には慣れない」という2人はホントに顔をしかめ耳を塞いでました。帰りは暁南には入らず、40分で直行するのが救い。ようやく調兵山駅に着くと、さっきのSLが戻ってました。なんだ、大明から戻る列車もあったんじゃないか。三家子で乗り換えればよかったと後悔しきり。でも、あの時は心の準備ができてなかったから仕方ないです。これはもう一度、乗りに来ないといけないですね。ほとんど情報のない状態で来たので、遭遇しただけでよかったと言うべきでしょう。ここに書いたように、ここの鉄道の状況を理解出来たし、列車ダイヤも記録してきました。今度は走行写真も撮れるように、万全を期して来ようと思います。もっともいつまで走ってるとか、いつも大明線に運用しているのかとか、定期検査等でDLになることもあるじゃないかとか、わからないことだらけですが・・・。ちなみに、この給炭クレーン車のクレーンも蒸気動力のようですね。

谢谢你们(ありがとう!おふたりさん)

今回の旅行にお付き合いしてくれた2人には、感謝してもしきれません。なにせ、鉄道ファンという人種がいない(「隠れ鉄」はいるかもしれませんが)この国で、調兵山に行きたいという事自体、「なぜ?」という疑問に説明するのも難しい。自分は興味ないのに、人の趣味につきあうというのも、大変なストレスだと思うのに、よくつきあってくれました。調兵山からバスで彼女の故郷の鉄嶺に戻り、鞍山行きのバスの時間まで鉄嶺の街を案内してもらいながらブラブラして、実家に帰ってもう1泊する彼女を置いて、彼と2人で帰ってきました。調兵山の彼女のおばさんのご家族にも感謝です。彼女としては、おばさんと久しぶりに会えて(彼女だけはおばさんの家に泊まった)よかったと言ってくれたので、まあ大儀名分は立つのですが。それにしても、旅行会社に頼まずに調兵山に行けるなんて、ホントに彼女たちのおかげでした。ありがとう。