文学者としてのヴァレリーの名は承知していた一方、クローデルと聞いて頭に浮かんだのはカミーユ・クローデルのみで、しかしこちらは、確か女流彫刻家でロダンの弟子かつ愛人だったはず…… と、こう言えば私の知識の程度が知れてしまうが、そもそも両者ともその文筆の大きな部分が韻文にあることからすれば、その領域への興味・関心、いやもっと率直に感性の乏しい当方にとって、二つの芳名に馴染みの薄いのは致し方ないところである。 実際、ヴァレリーにしても、その作品を読んだ記憶はなく、改めて書棚を眺めても見当たらなかったので、単に文学史的知識として頭に入っていたに過ぎないわけだ。 クローデルに至っては文業・経歴いずれにつ…