3.8氷菓を見たとき「おや」と思った。この映画が原作の面白さに依存しているのは解る。また、かの京アニの厖大な仕事をそのまま絵コンテにしているのも解る。ただし、個人的に、映画は面白かった。山崎賢人マイナスがあったけれど、本郷奏多プラスがそれを覆い隠していたし、氷菓は、個人的に傑作だった。その根本的な理由は、安里麻里のホラーテイストにあったと思う。 この意外なB級出身監督の才能は暗澹の空気づくりであろうかと思う。もとよりホラー色がない氷菓の謎解きが、中村義洋の残穢を思わせる暗い雰囲気のなかで語られる。千反田家の暗い陰影など殆ど犬神家のように見えた。その暗さが、類型的な学園ものにおちいるのをふせぎ、…