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後期クイーン問題

読書

後期クイーン問題

こうきくいーんもんだい
  • 作家・批評家の法月綸太郎が提唱した、推理小説に関する問題。「作中で探偵がたどりついた真相が、本当かどうかは作中の探偵にはわからない」という状況を指す。
  • 推理小説の多くは、探偵役が特権的な地位から「事件の真相」を語るという形式をとっているが、作家が読者にしかけたトリックと、作中の犯人が探偵に仕掛けたトリックを、作中人物である探偵は区別することができない。つまり、探偵は、たどり着いた真相が唯一無二のものであるのか、本当は特定できないことになる。
  • 後期クイーン問題」という名称はエラリー・クイーンが、この問題を重大なテーマとして扱ったことからとられている。初期作品である『ギリシャ棺の謎』(1932)から、既に「犯人によって誤った推理に導かれてしまう探偵」というモチーフが登場しているが、後期の長編『十日間の不思議』(1948)と『九尾の猫』(1949)では、主人公がこの問題に直面し苦悩する姿が描かれている。
  • また、この問題から派生して、特権的な立場から犯人を断罪する探偵は容認され得るのか、という論点も生じており、「後期クイーン問題」には、こうした倫理的な問いかけも含まれる。
  • 諸岡卓真の研究によれば,《後期クイーン的問題》という語の生成については明らかではないとしつつも,笠井潔が『野生時代』1996年4月号に掲載した評論において法月が提起した問題を指して「いわゆる後期クイーン的問題」と称していることが,この語の流通する契機であったろう,としている。*1
  • この問題を自作に取り入れた作家として、瀬名秀明小森健太朗などが挙げられる。また二階堂黎人のように、こうした問題提起は不毛だと反対する作家もいる。

*1:諸岡『現代本格ミステリーの研究――〈後期クイーン的問題〉をめぐって』ISBN:9784832967328北海道大学出版会,2010年)6頁以下を参照。