峠から峠へ (1) 駐車場から5分、地蔵峠に登り着いたその瞬間に3人の元気な女性たちが新鮮な朝の挨拶をしてくれた。彼女らは北側から縦走してきたらしい。「ほらこれよ、ハバヤマボクチ。」と一人が紹介すると、他の一人が「あら気づかなかった。いたのね、あなた。」とカメラでパチリ。「どこまで行かれますか」と問うてみる。ひょっとしたら駒返峠まで一緒なのかな、という期待と不安を込めて。すると即座に、「俵山の方へ戻ります。」と呆気ない返事であった。この稀な植物が目当てで七曲峠(俵山山麓)からここまでの、かなりの距離を歩いてきたということだった。 (2) 山では女たちの方が断然元気がいい。男どもは総じて寡黙であ…