京都市中京区の壬生寺で演じられる狂言で、正しくは「壬生大念仏狂言」という。鎌倉時代、壬生寺を興隆した円覚上人(1311年没)が京の町に道場をもうけ、融通念仏の教えを庶民にわかりやすく伝えるため、因果応報の道理を無言の所作によって諭したのが、この狂言の始まりと伝えられる。
「壬生のガンデンデン」の名でも親しまれ、現在は壬生大念仏講中により、節分(2月3日)と4月後半・10月中旬の特別公演に、壬生寺境内の念仏堂で演じられている。能・狂言と異なって一切のせりふのない無言劇で、鰐口(わにぐち)・篠笛・締太鼓の囃子に合わせてパントマイムによってストーリーが展開する。重要無形民俗文化財。
なお、同様の大念仏狂言としては、嵯峨釈迦堂・清涼寺(右京区)の「嵯峨大念仏狂言」、千本閻魔堂・引接寺(上京区)の「閻魔堂狂言」、神泉苑(中京区)の「神泉苑狂言」などがある。
『桶取』、『餓鬼相撲』、『節分』、『焙烙割』、『大原女』、『山端とろろ』、『賽の河原』、『夜討曽我』、『花盗人』、『土蜘蛛』、『湯立』、『棒振り』