ノンフィクション作家。1938年福島県生まれ。 早稲田大学第一文学部演劇科中退。在学中から著述業に入り、政治、社会問題、スポーツなど幅広い分野で活躍、現在に至る。 主な著書に『マッキンリーに死す』(第8回講談社ノンフィクション賞受賞)、『エベレストに死す』『サハラに死す』の“死す”三部作、『虚構地獄 寺山修司』などがある
「サハラに死す」上温湯隆の一生 長尾三郎 編 講談社文庫 1987年7月15日 第一刷発行 東西7000キロのサハラ砂漠を、ラクダとともに単身で横断しようと挑んだ上温湯(かみおんゆ)青年の話。残念ながら、その夢はかなわなかった。遊牧民に死体として発見されて、その22年の人生の幕を閉じた。 そんな、実話。 知人が、この本に影響されて若いときに1年ブラジルで暮らした、と言っていたので、読んでみた。 冒険の旅は、好きだ。 でも、これは、あまりにも、無茶だ。と、私は思った。 青年よ、命を大切にしてくれ! やっぱり、生還した冒険の話なら元気が出るけど、道半ばで途絶えた冒険の話は、読み終わった後に、なにか…
サハラ砂漠は東西7000キロ,横断するルートは皆無で,途切れ途切れにあるオアシスの点と点を結ぶしかない.この前人未到の熱砂の海に,一頭のラクダとともに単身で挑んだ上温湯青年.だが不幸にも,思い半ばに22歳の孤独な青春に幕を閉じた.苛酷な旅の中で,人間の極限を生き,凝視めた青春とは――. 上温湯隆(かみおんゆたかし)という珍しい名は,バガボンド――放浪者――として今も記憶される日本人である.1952年生まれの上温湯は,高校中退後,1970年にはアジア,ヨーロッパを経てアフリカへなど50か国に渡る世界放浪の旅に出た.世界一広大なサハラ砂漠は,当時は前人未踏と知られており,その熱砂の海にすっかり魅せ…