特段野球が好きというわけではないものの、以前たしか神戸の空港のテレビで野球中継を流してて、あと一球で空振り三振に仕留めることができる場面で投手側に感情移入しつつ(投げるという行為をしているときはその行為以外を考えてない稀有な体験でああこの人も同じなのだろうかとか考えて)、つい見入っちまったことがあります。野球部にいたわけでもないしせいぜい学生時代に遊びでやった程度なのですが、私は投げるという行為にどこか引っかかりがあるようで。 ここ数年、網野善彦という二十年近く前に亡くなった甲州出身の歴史学者の著作を読んでいます。去年読んだ『異形の王権』(平凡社ライブラリー・1993)の中には「中世の飛礫につ…