1974年刊行の短編集『八面体』に加えて、『最終ラウンド』(1969年)から3編と短編小説について論じたエッセーを加えた短編集。 コルタサルについては、これまで以下の2つの短編集を読んだ。『動物寓話集』は彼の初期短編集で、『悪魔の涎・追い求める男他八篇』は、『動物寓話譚』『遊戯の終わり』『秘密の武器』『すべての火は火』から10編を採録した日本オリジナル短編集で、1950年代から1960年代の作品が入っている。 『八面体』は上述の通り1974年のもの。コルタサルは70年代半ばから政治運動へ傾倒して創作活動が少なくなっていき、1984年に亡くなっている。このため『八面体』は、これ以降にも短編集は出…