(昨年公演された本作をWOWOWで鑑賞しました。以下、ネタバレしています) 野田秀樹が言うところの「コトバの一群」が引用された終盤のクライマックスは、圧巻としか言いようがない。墜落直前の飛行機の搭乗員に扮する、高橋一生、川平慈英、伊原剛志、村岡希美が発する言葉は、ボイスレコーダーに残った最後の数分間の彼らの戦い。緊迫と絶望と最後まであきらめない強い意志が、揺れる機内の混乱を表す群像の動きと共に、観る者に波のように打ちかかり、異様な緊張感と込み上げて来る熱いもので体中がいっぱいになった。 そのシーンもそうだが、動きの演出はさすがだ。開始直後の森の中の木、後から思えば、飛行機が山に墜落の瞬間を表し…