寄付は、金額の大小よりも、その心がけが大切。「長者の万灯より貧者の一灯」


こんにちは、木村耕一です。


東北、関東を襲った大震災は、あまりにも悲惨で、テレビの報道を見続けることができないほどです。
被害に遭われた皆様には、心よりお見舞い申し上げます。


復興支援や義援金の輪が、日本中に広がっていますが、最も大切なのは、物資や金額の大小よりも、「少しでも力になりたい」という心です。
そのような心がけの大切さを教えたエピソードを、『こころの朝』から掲載しましょう。




100万円の寄付と、1万円の寄付では、どちらが尊いか。
大切なのは「心」であって、金額の大小ではないことを、昔から、
「長者の万灯より貧者の一灯」
といわれている。


約2600年前、インドに難陀(なんだ)という貧しい女性がいた。
毎日、乞食をしながら命をつないでいたが、町の人々が、釈迦に灯を寄進するのを見て、我が身を嘆いた。
「お金のある人は、仏さまに布施して仏縁を深めているのに、なぜ、私にはできないのだろう。こんなみじめなことはない」
しかし、難陀は、なんとか自分も灯を寄進させていただきたいと念じて、乞食していると、1人の慈悲深い人から、わずかなお金を恵まれたのであった。
彼女は、さっそく油屋へ走った。
「私にも、油を分けてください」
「たったそれだけの金じゃ売ってやれないよ。何にするんだい」
「ほんの少しでもかまいません。お釈迦さまに、灯を布施したいのです……」
尊い心に感激した主人は、油を多めに分けてくれたので、難陀は、一つの灯を寄進することができた。
貧しい彼女の一灯は、富者の万灯の中で、明々と燃えていた。


明け方になると、すべての灯が消えてしまったのに、難陀の一灯だけは輝きわたっていた。仏弟子の目連が消そうとするが、どうしても、消えない。
釈迦は、弟子に言った。
「とてもおまえの力では、あの灯を消すことはできない。海の水を注ごうとも燃え続けるであろう。
なぜならば、海よりも広い尊い心から布施されたものであるからだ」


津波地震の被災者への義援金を、何千万円と出す行為は、もちろん尊い
しかし、小遣いが毎月1000円の中学生が、欲しい物をガマンして1万円を寄付したとしたら、その心がけは、決して富者に劣るものではない。





こころの朝
木村耕一編著
定価 1,575円(税込)
(本体1,500円)
四六判上製 296ページ
ISBN4-925253-18-2
http://www.10000nen.com/?p=592