私は見た!「生命保険、保険料の秘密公開」
1月28日、半蔵門某所にて「生命保険、保険料の秘密公開」ブロガーミーティングが開かれました。
これはアジャイルメディア・ネットワーク(AMN)さん主催による、昨年11月に保険の原価を開示して話題を呼んだ生保会社、ライフネット生命保険株式会社さんから保険料の秘密を聞けるというスペシャル企画です。
私もブロガーの端くれとして潜りこんでみました。以下その時のメモ。
19時22分
会場到着。ライフネット生命さんのオフィス。
思ったよりこぢんまりとした部屋に通された。ちょっと手狭に感じた。
会社情報
まずはライフネット生命の会社情報にも載っている内容について。特にソルベンシー・マージン比率の特徴を強調。28913%(2008年9月30日現在)。この中に既存生保は一切入っていない。
3つの願い
- 生命保険料を半分にしたい
- 平均所得はこの10年で15%減少
- 20代、30代の世代は平均所得以下
- だから生命保険料を半分にした(願い達成)
- 保険金不払いをゼロにしたい
- 「不払い」とは保険会社が払わないケースを指す
- 商品が複雑すぎて生保も分からなくなっている
- シンプルにすることが不払いをなくす
- 比較して納得して入る習慣を広めたい
- 今、比較情報が全くない。約款を見ないと分からない(電話して問い合わせたら手に入る)
- 1945年、日本の生保は壊滅した。大蔵省がすべてを決める形で復興した。
- ひたすら売ればいいだけで、比較する必要はなかった
- 法令改正により自由化。比較情報規制が緩和された
- どうして日本では代理店が発達しなかったのか?
- 構成員契約規制
- 圧力販売規制
- 規制はインチキ
- ガン保険は自由じゃないか!
- 「一社専属」モデルは日本だけ(損保も同様)
付加保険料率(生命保険の「原価」)の開示について
- 他社は約款を見ないと分からない
- 純保険料はほぼ決まっている。付加保険料(手数料)はバラバラ(純保険料から逆算)。
- 74年ぶりに誕生した完全独立性会社。絶対に生保を株主にはしたくなかった
- 国民生命表。30歳→50歳(5倍)。女性は男性の半分。だから女性の保険料も半分
- 付加保険料開示のもう一つの意味
- 一長一短あるが、収入の低い20〜30代(ことに女性)には保険料は負担
- 「子供が大学生になったら要らない」
- 「どういう保険があったらいいのか考えてほしい」
- 比較例:フランスでは2.2%人口増加
3つの願い、4つの経営方針
ライフネットと既存生保の違い
- 安くて良い保険会社を作りたかった(営業時間等)
- SBIアクサが大幅割引をやった
- 健全な競争が始まって本望
- アクサの社長とはよく相談しあっている
「信用」に対する考え方
- お客様に見えないリスクを「最小限」にする
- なぜ掛け捨てだけ?
- 将来にわたり生保が存続する保証はない(信用がない)
- 掛け捨て型なら「生命保険契約者保護機構」によってほぼ100%保護される
- なぜ掛け捨てだけ?
- 厚い資本金、安定感のある株主構成
生命保険の市場と商品
生命保険の入り方(1)
- 保険金額の目安
- サラリーマンになったら年収の1年分
- パートナーができたら年収の3年分
- 子供ができたら1人に1000万
- 保険期間の考え方
- 末っ子が社会人になったら生命保険は不要
- 10年定期保険が一番いいと思う
生命保険の入り方(2)
- FP(ファイナンシャルプランナー)は1年型がいいと言う
- しかし1年更新は「変動金利」
- 10年更新は「固定金利」
生命保険見積もりページ
- 「約款と保険料を開示するのは保険会社の義務だと思う」
お願い
- とにかく誰にでもお勧めしている
20時33分
出口氏への質疑応答。
会社を作ったきっかけ
ある人(谷屋氏)に保険の話をしたら「ぜひ保険会社に参加してほしい」と言われた。30分話を聞いただけで、運命を感じて「はい」と言った。
1秒考えて「パートナーだけ決めてほしい。若くて保険を知らない人がいい」。→「それなら良い人がいる」→岩瀬氏に即決。
- 遺書として「生命保険入門」を書いて、子会社(ビル管理会社)に転向する予定だった
- 谷屋氏がいい顔をしていたのが印象に残った
- 誘われて断ったことはない
出資会社について
- 理念に賛同する会社にだけ出資してもらった
- たくさん断った
点数表について
- 医療点数表
- 「高額療養費制度」というしくみを活用。分かりやすい
- 定義が難しいのが不払いの定義
はじめに
- 「生保をやるなら詳しい人が必要だ」と前から言っていた。
- 出口氏との食い違い(笑)
出口さん評
- 飽きない人。ああみえて感覚が若く、ビジネスセンスが良い。
- ベンチャーとエスタブリッシュメントに断絶があった。だからGoogleのような成功が日本に出てこなかった。
何か一番大変か
- 特にない。非常に面白い分野を見つけたと思っている。
- 金融機関は活動範囲が広い。生保もその一種で、すそ野が広い。
知的好奇心
- 保険数理の世界、法律の世界、医学の世界、社会保証制度など、関係する分野が広いのが面白い。
想像していたより・・・
- 一般の方のスイッチングコストが高い。
- 3時間くらい勉強すれば数十万浮く計算が理解できるが、人間はそこまで論理的にできていない。
- エモーショナル(情緒、感性)に訴えていかなければならない。
なかやまきんに君を起用したキャンペーンについて
- なかやまきんに君、もう中学生、鉄拳の特別コント講座 生命保険
- 保険業界では「禁じ手」。
死亡保険の純保険料
- 「標準生命表2007」に準拠している。
- 死亡率のバッファーの利益。
「保険料原価開示」後の他社のリアクション
- 「ノーコメント」。
- むしろセミナーやると業界人がバッと集まる。
- 立教大の若手社会人向けとかに紛れ込んでる。
- 興味は持っているが、長年の慣習とのジレンマがある。
岩瀬氏との質疑応答
今後のビジョンは?
- 日本で成長するためには、海外か他業種(金融)に進出するしかない、と考えている。
世界不況の影響は?
- 低コスト構造の会社には追い風となる。
- 一般の理解が深まること
- 圧倒的な情報格差
アフィリエイト活用は?
- 資格が必要になる(募集人登録)
- 信用商売なので効果に疑念がある(逆効果かも?)
- 表現にデリケートさが求められる(過剰表現はアウト)
損保との違いは?
- 損保は比較が簡単。手数料が簡単に出せる。
- 生保はまだこれから。
- ネットとリアル、ハイブリッドなモデルを構築していきたい
仮想ターゲットは?
- 30代既婚で1子あり、かつ健康な人
予想と実際の加入数の差について
やはりちょっと少なかった。不況の影響という言い訳はできるが。
(質問を失念)*1
- バンドルしてある「貯金はできないけど保険料は払える」(行動ファイナンス)
- 超長期の運用であれば、メリットがある
- 「トンチン年金」(長生き保険)
- 日本:多めに貯め込んで死ぬ
- 欧米:使いきって死ぬ
競合の動きは?
- ない、かな?と。水面下の動き程度でいいかと。
- 既存のビジネスとの競合がある。
- 楽天もSBIもやらなかった。
- ライフネットが成功するまではやってこない。
最後に
- 応援してください!
- 保険売ってもうけたいより、社会の不効率に対して新規のビジネスをもって変えていきたい、社会に訴えていきたい。
- そのためにあまりお金が使えないので、皆さんのペンの力を貸してほしい。
以上
いかがだったでしょうか?
私は以前、他と比べて手頃に思われた生命保険に加入して満足していましたが、ライフネット生命さんの登場で考え直す必要が出てきました。よく比較してメリットが理解できたら移ってみようかな、と。
皆さんもぜひライフネット生命さんの
などを活用して、今の生命保険と比べてみてください。
*1:聞き逃しました。参加者でこれを覚えてる方は教えて頂けると助かります。